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大量焼死体遺棄事件:裏サイド

side:裏

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 無警戒にやってきた兄を反逆の疑いで拘束した。
 同級生だった山下香苗を陽子に会わせて、「従妹の冨士」が来なかったことを詫びて別れたのを確認した後、兄が逃げ出したことを知らされた。
 単なる学者馬鹿か、と思っていたが、多少なりとも術が使えたらしい。
 逃げたことで、反逆は確定となった。

 予想通り、兄は錯乱して、病院に担ぎ込まれた。
 訓練もせずに、術を使った反動だ。
 早速、手配をして、病院から連れてこさせる。
「醜態だな」
 もう、その顔に、知性を感じることができない。
 「ぎしきにつかわれる」などと呟いているので、その通りにしてあげよう。
 適性はないので、単なる実験台だが、自分の研究成果だ、光栄だろう。
 見開かれギョロギョロ、と左右に泳ぐ目。
 あのとき、自分へ「お前に力なんかない」と言い放った母親と同じ目でイラつく。
「実験台なだけ、母親よりはマシか」
 そんな呟きに、兄の目の焦点が合った。
「お前が殺したのか?」

 残念ながら、月林檎生成の実験は失敗だった。
 でも、
「やっぱり力はある」
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