上 下
32 / 66
魔王国滅亡編

下着できました

しおりを挟む
 ネット・クロウラーが吐いた粘液から、糸を紡ぐのは、単なるテクニックだったが、元々できたサクラ、カエデ、ラン以外には、キラができただけだった。
「・・・難しいです」
「み、右手で捩りながら、あう右手がネチョネチョになっちゃった、お父さん見て」
「ヤトには無理」
 糸で布を織るに至っては、アラクネーの三人のみにしかできなかった。
 機織機のような機械をつくればいいのかもしれないが、三人は指だけで、器用に糸から布を織った。
 しかも、ネット・クロウラーの糸に加えて、より上質な蜘蛛糸を加えることができた。
「縦糸と横糸に、均等に蜘蛛糸を混ぜるのがコツです」
「だから、ヤトは糸だせないよ。カエデちゃん」

 ついに、綿花の結実を待たずに、下着ごわごわ問題が解決した。
 異世界転生してから長い、長い道のりだった。
 俺は、パンツやTシャツのような肌に触れる肌着が、肌触り滑らかになったことに、満足しきっていた。
「すっごく、肌触りがいいよ。パンツ履いてないみたい!」
「・・・ヤトお姉様、本当にパンツ、履いてますか?」
「あ、下着つけたか忘れちゃった。お父さん、つけてるか見て?」
「はいはい、シウン姉様、パンツ履いてますよ」
「ちょ、ヤダ。ヨウコちゃん、スカートめくらないで」
 俺が見逃していたのは、ごわごわしない繊維は、より繊細なデザインが可能ということだ。
 つまり、どんどんセクシーなランジェリーが、制作されていった。

 洗濯物が干される場で、ひっそりと片隅の男性用下着類に、
「なんだか、村での存在感を象徴している気がしますな」
 それよりも、存在感を主張しているのに、どんどん小さく、どんどん透けていく女性用下着の方が、問題だろうと思う。
「キラ様、今度は、こんなデザインはどうですか?」
「このデザインの前のバージョンは、主様の反応が良かったですからね」
「もう少し、色を増やしたいですね」
「街での買い出しで、染料を増やします。服よりも下着の色、とシウンちゃんも同意してくれてますから」
「ご主人は、怒らないでしょうか」
「みんなの髪色に合わせた染料を優先して、似合う服もつくりますから、文句を言えないでしょう」
「紫系も多いですし、ヤト様の黒も、ヨウコ様の白もありますからね」
「次は、ツバキちゃんの赤も試しましょう」
「カエデのくすんだ赤色も、ご主人好きそうですよね」
 俺、村長だよな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら妖精や精霊を統べる「妖精霊神王」だったが、暇なので幼女になって旅に出ます‼︎

月華
ファンタジー
21歳、普通の会社員として過ごしていた「狐風 空音」(こふう そらね)は、暴走したトラックにひかれそうになっていた子供を庇い死亡した。 次に目を覚ますとものすごい美形の男性がこちらを見、微笑んでいた。「初めまして、空音。 私はギレンフイート。全ての神々の王だ。 君の魂はとても綺麗なんだ。もし…君が良いなら、私の娘として生まれ変わってくれないだろうか?」えっ⁉︎この人の娘⁉︎ なんか楽しそう。優しそうだし…よしっ!「神様が良いなら私を娘として生まれ変わらせてください。」「‼︎! ほんとっ!やった‼︎ ありがとう。これから宜しくね。私の愛娘、ソルフイー。」ソルフィーって何だろう? あれ? なんか眠たくなってきた…? 「安心してお眠り。次に目を覚ますと、もう私の娘だからね。」「は、い…」 数年後…無事に父様(神様)の娘として転生した私。今の名前は「ソルフイー」。家族や他の神々に溺愛されたりして、平和に暮らしてたんだけど…今悩みがあります!それは…暇!暇なの‼︎ 暇すぎて辛い…………………という訳で下界に降りて幼女になって冒険しに行きます‼︎! これはチートな幼女になったソルフイーが下界で色々とやらかしながらも、周りに溺愛されたりして楽しく歩んでいく物語。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー お久しぶりです。月華です。初めての長編となります!誤字があったり色々と間違えたりするかもしれませんがよろしくお願いします。 1週間ずつ更新していけたらなと思っています!

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!? そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!? 農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!? 10個も願いがかなえられるらしい! だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ 異世界なら何でもありでしょ? ならのんびり生きたいな 小説家になろう!にも掲載しています 何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

処理中です...