レベルアップがない異世界で転生特典のレベルアップしたら魔王として追われケモ耳娘たちとひっそりスローライフ。けど国を興すか悩み中

まみ夜

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魔王国滅亡編

村へつきました

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「はじめまして、キラ様」
「はじめまして、サクラ。みなさんもお疲れ様です」
 途中、二泊して、無事に村へ帰りついた。
「なかなかの巨乳ですね」
「キラ様こそ、腹筋が割れてますね」
 よくわからないが、同世代の女性では、そういう挨拶なのか?

 まだ、冷蔵庫で事足りているので空のままだった将来のための農作物用倉庫を改造して、アラクネー親子の小屋にする予定ではあるが、とりあえずは、ワー・ウルフ兄妹の小屋の物置部屋をキラが整理し、客用寝室でサクラと最も幼いアヤメ、スミレ。
「一番、小さい子たちは、ママといっしょの方がいいでしょう」
「ありがとうございます、キラ様。でも、サクラは独身ですから」
「でも、子持ちですよね?」
 よくわからないが、同世代の女性では、そういう挨拶なのか?
 
 キラの寝室で、二番目に年長のラン、小学校三年生くらいのユリ、アサガオ。
「ちゃんと、妹たちの面倒はみるから、安心して、カエデ」
 元物置部屋で、カエデ、小学校高学年くらいのヒマワリとツバキが寝ることになった。
 キラは、ハイロウの寝室の床に布団を敷いて寝る予定だが、娘たちは「絶対にリビングに逃げ出す」と予想していた。
「キラ叔母ちゃんは、こっちの小屋で眠ればいいのに」
「いいんですか?」
「ダメです、叔母様」
「お父さん争奪戦の人数増やさないで、キラ叔母さん」

 一番広い、ワー・ウルフ兄妹の小屋のリビングで、ハイロウが寝られるあの大きなテーブルでも席が足りないので脇に寄せ、全員で床に座って、夕食を囲んだ。

 村に帰ってから、これまでに、ネット・クロウラーを籠から出すときに、ヤトが糸まみれになったり、
「籠から出すよ、うわー」
 蜜蜂が麻痺から回復して飛び立つときに、ヤトが刺されたり、
「あ、蜜蜂が飛ぶよ、うわー」
 露天風呂で、ヤトが子供たちの面倒をみようとしてノボせたり、
「ツバキちゃん、髪流してあげるね。あ、ユリちゃんも、ちょっと待ってて。ふにゃん」
 といろいろあった。
 ただ、アラクネーの長女として、どうしても生真面目なカエデが、ヤトといると笑顔になるのには、サクラも目を細めていた。

 男女比率が激変し、二人だと広々とした一部露天の男湯だが、伸び伸びできる気分でなくなった俺とハイロウは、湯舟を広げようと相談した。
「二対十三では、この広さは、さすがに気まずいですな」
「むしろ、これを言い訳に、娘たちが、こっちに乱入してくるぞ」
「それは、ハイロウに出ていけということですから、容赦いただきたいですな」
「あっち、狭いから来ちゃった、お父さん」
「お姉ちゃん、ズルイよ!」
「二人とも、もう!ハイロウ叔父様、わかってますよね?」
「・・・お嬢。今回の探索いろいろ、がんばったと思うんですが」
「アヤメもー!」

 俺たちにとっては久しぶりだが、アラクネー親子にとっては、初の冷蔵や冷凍の肉、採りたての野菜での料理だ。
「知識では知っていましたが、本当においしいです。ありがとうございます、ヨウコ様。ご主人」
「カエデちゃん、おいしい?」
「うん、うん!」
「おいしー」
「アヤメさん口元、拭きましょうね」
「ヨウコお姉ちゃん、すきー」
「・・・お、お姉ちゃん」
「お父さん、すきー」
「・・・どうして、いつの間にか、シウン姉様は、お父様の隣にいるのでしょう?」

 長いこと、たった二人だったワー・ウルフ兄妹が、俺たちと暮らすようになり、更に増えた大人数の食卓を、感慨深げに見ていた。
「オジサン、あーん」
「ス、スミレ殿。あ、あーん?」
「ユリもするー」
「アサガオは、オバサンに、あーんする!」
「あ、あーんですか」
 俺一人なはずの異世界転生物語は、総勢十五名の村となった。
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