中高年がジムに通ってもムキムキになれない理由

なぜ筋肉は増えてくれないのか

　人類が誕生してから、肥満になれるようになったのは、この数百年です。
　つまり、脳も身体も「いつでも好きなだけカロリー摂取が可能」な世界に慣れていません。
　未だに、脳も身体も「いつ餓死するかわからない」世界に生きていると認識し、対応しようとしているのです。
（以降、この時代錯誤な状況を原始時代対応脳と呼称します）

　原始時代対応脳にとって、筋肉はとても厄介です。
　なぜなら、エネルギーを大量に消耗するからです。
　筋肉が増えれば、それだけ消費が大きくなり、燃費が悪くなり、餓死の危険が増します。
　しかし、ある程度の筋肉がなければ、狩や採取、天敵からの逃走が不可能になり、これも死に直結する、と原始時代対応脳は現代においても、そう信じているのです。
　つまり筋肉とは、原始時代対応脳にとって、増やしすぎても、減らしすぎても「死」につながる厄介者なのです。
　もっと簡単に筋肉が増え、消費が増え、いくら食べても脂肪がつかないのが現代の理想、なんて原始時代対応脳は知らないのです。

　そのため、原始時代対応脳は、様々な方法で、なるべく筋肉を増減させないように制御しています。
　だから、就職と同時にほぼ運動をしなくなっても、歩けなくなるほど筋肉が落ちたりしないし、逆に多少の運動をしたところで、劇的に体格が変わる、ということもないのです。