【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した

1806年/夏

おやつ≪アイスクリーム≫

　競技会で勝ったチームは、授業のあと、練習を許される。
　まあ、みんな同じ場所での練習なので、公開練習すぎる。
　もちろん、暇なクラスメートも見にくる。
　そうなれば、できる練習は、当たり前な物だけになるので、秘密の特訓は、早朝とか、夜になる。
　そうする、とお腹が減るので、その対策を練ることになる。
　特に俺は、マーサー先生から、食が細いアリスに食べさせるように言われているので結構、気を使っている。
　って、俺は保護者か！？
　なんか、嬉しいけど。
　とはいえ、腹が減るのは育ち盛りの俺もいっしょなので、暗黙の了解で競技会で勝ち残っている、と厨房のオバチャンから材料などをもらえるので、助かってはいる。
　今日は、借りてきた小鍋と牛乳と卵でオヤツだ。
　小鍋に向かって、≪凍れ≫。
　そこに、牛乳と卵黄に砂糖を入れて混ぜて冷やして保存しておいたのを、少量注ぐ。
　薄く鍋の底に広げて、できあがり。
　スプーンを配って、
「できたぞ、いただきます」
　なんだか、昼食の時、無意識でやっていたみたいで、手を合わせるのが俺の住んでいた地方の風習として受け入れられたので、周りを気にせずやるようになった。
『いただきます』
　こそげるようにして、鍋底から剥がして食べる。
「つめたっ」
「冷たいのに、柔らかいよ、これ」
　前にも言ったことがあるが、この世界にもジェラートがある。
　でも、お菓子は劇甘なのが常識なので、冷えて甘さを感じにくい氷菓には、大量の砂糖が必要になる上、じゃりじゃりした食感になるので、あまり開発が進んでいない。
　でも、運動した後だから、そんなに甘くない方がいいので、試してみた。
　とはいえ、かき混ぜながら冷やすのは大変だし、何より凍り具合を均一にするのも大変だ。
　できれば、滑らかなのが食べたい。
　前世（？）の記憶にあった、冷却板の上で冷やすコールドストーンアイスの応用だ。
　スプーンで、クルクルと丸めて剥ぐのが楽しいし、ふわふわしている。
「これ、なんてお菓子？」
　三人だけだし、言い訳を考えるのも面倒になって、
「アイスクリームだよ」
『へえー』
　二人が、争って食べるので、一回でつくれる量が少ないので、何回もつくる。
　でも、腹を冷やしすぎるのもよくないので、最後は温めてホットミルクをつくった。
　これはその場での思いつきだったので、コップがなかったので、鍋から直接の回し飲みになった。
『ごちそうさまでした』
　後片付けを始めて気がついだ。
　うわ、間接キスだ。
　やっちまったんじゃないか、俺？