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1806年/夏
競技会≪第一試合≫
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「はじめ!」
ローザ先生の掛け声とともに、オフェンス・チームが走ってくる。
俺とハンナで前へ出て、オフェンスの視線を盾で塞ぐ。
ブロー役は、俺がやっている。
≪風/始点/横穴/上へ/包む/ボール≫と≪風/始点/ボール/下へ/包む≫を一定のリソースでやり続けていた。
なので、ボールは見ずに、ひたすら盾を持って走り回っている。
ポールの後ろ側には、アリスが立ち、攻撃で揺れるボールをサポートしていた。
継続的なブローは俺がやって、瞬間的なサポートをアリスがやる。
コンパイルに関しては天才だし、スペル構成を考えるのも早いので、ほぼプレキャストせずに、リアルタイムでコンパイルして対応している。
俺の視界の中に、スクロールが現れた。
そこには『下向きを弱めて』と書いてあり、消えた。
アリスからの≪つながれ≫での通信だ。
つなぎっぱなしだと、継続的にリソースを使ってしまうので、これも短時間でだ。
声を出してしまう、と魔法の情報がバレてしまうので、重宝する。
ちなみに、俺はプロセッサがブローで、ふたつ使っているので、返信はしない。
『戻して』のスクロールの文字で、ブローのリソース量を戻す。
そんな風にして、そのまま三分を凌ぎきった。
「アリス、疲れてないか?」
「大丈夫、それよりエイミーは?」
「エイミー、汗びっしょりだよ」
二人の言葉に、ぐびぐびとドリンクを飲み干し、不敵に笑って見せる。
「鍛えてるからな」
俺がフィールドと場外を隔てる線のそばに立つ、とドヨメキが起こった。
ルールでは認められているとはいえ、今までは、誰もが手ぶらだったからだ。
俺は、リュックを背負い、ホウキを持っていた。
そう、改造したホウキだ。
これであれば、ボールを撃ち抜いて、壊せる。
一撃必殺が理想だが、念のために、予備の弾や塩水で濡らした紙などは、フタをした木のコップでリュックに入れている。
正直に言って、自作とはいえ、銃を使って、お咎めナシとは、思っていない。
だが、勝つためには、手段を選ばない。
そう決めた。
ルールで、銃の使用を禁止していないのが、悪い。
黒い円柱の幻影が立ち上がる。
まあまあ、射撃にいい位置に柱があるが、目の前に盾を持って立たれたら厄介だな。
しかし、俺たちのチームには、天才アリスがいる。
ディフェンスとしては、どうしても、アリスをフリーにしたくない。
そうなれば、俺がフリーになるチャンスは大きい。
「はじめ!」
ローザ先生の掛け声とともに、走り出した。
ディフェンスは、ポールの前に三人が、逆ブイの字に立っている。
一番奥が、ブロー役だろう。
ポールを背にして、細かい調整できない代わりに、盾が三枚つかえる。
そのうち、二枚がアリスへ、もう一枚は、汗まみれの俺ではなく、ハンナを選んだようだ。
小刻みに、柱をつかって、フェイントをかけて近づき、プレキャストしておいた≪赤い光/先/伸びろ≫をキャスト。
ホウキの先からの赤い光を、ボールに当てる。
観戦しているクラスメイトから、ざわめき。
それで、ディフェンスの全員が、ポールを振り返った。
その瞬間、ボールが砕けた。
アリスの大火力の風が、防御を突き破っていた。
俺たちの勝利だったが、決意を決めていた、ホウキの出番はなかった。
教師ローザ・ロッテルーノは、ヤンデル・ローラウと、エイミーが持っていたホウキについて話し合っていた。
ローザ先生の掛け声とともに、オフェンス・チームが走ってくる。
俺とハンナで前へ出て、オフェンスの視線を盾で塞ぐ。
ブロー役は、俺がやっている。
≪風/始点/横穴/上へ/包む/ボール≫と≪風/始点/ボール/下へ/包む≫を一定のリソースでやり続けていた。
なので、ボールは見ずに、ひたすら盾を持って走り回っている。
ポールの後ろ側には、アリスが立ち、攻撃で揺れるボールをサポートしていた。
継続的なブローは俺がやって、瞬間的なサポートをアリスがやる。
コンパイルに関しては天才だし、スペル構成を考えるのも早いので、ほぼプレキャストせずに、リアルタイムでコンパイルして対応している。
俺の視界の中に、スクロールが現れた。
そこには『下向きを弱めて』と書いてあり、消えた。
アリスからの≪つながれ≫での通信だ。
つなぎっぱなしだと、継続的にリソースを使ってしまうので、これも短時間でだ。
声を出してしまう、と魔法の情報がバレてしまうので、重宝する。
ちなみに、俺はプロセッサがブローで、ふたつ使っているので、返信はしない。
『戻して』のスクロールの文字で、ブローのリソース量を戻す。
そんな風にして、そのまま三分を凌ぎきった。
「アリス、疲れてないか?」
「大丈夫、それよりエイミーは?」
「エイミー、汗びっしょりだよ」
二人の言葉に、ぐびぐびとドリンクを飲み干し、不敵に笑って見せる。
「鍛えてるからな」
俺がフィールドと場外を隔てる線のそばに立つ、とドヨメキが起こった。
ルールでは認められているとはいえ、今までは、誰もが手ぶらだったからだ。
俺は、リュックを背負い、ホウキを持っていた。
そう、改造したホウキだ。
これであれば、ボールを撃ち抜いて、壊せる。
一撃必殺が理想だが、念のために、予備の弾や塩水で濡らした紙などは、フタをした木のコップでリュックに入れている。
正直に言って、自作とはいえ、銃を使って、お咎めナシとは、思っていない。
だが、勝つためには、手段を選ばない。
そう決めた。
ルールで、銃の使用を禁止していないのが、悪い。
黒い円柱の幻影が立ち上がる。
まあまあ、射撃にいい位置に柱があるが、目の前に盾を持って立たれたら厄介だな。
しかし、俺たちのチームには、天才アリスがいる。
ディフェンスとしては、どうしても、アリスをフリーにしたくない。
そうなれば、俺がフリーになるチャンスは大きい。
「はじめ!」
ローザ先生の掛け声とともに、走り出した。
ディフェンスは、ポールの前に三人が、逆ブイの字に立っている。
一番奥が、ブロー役だろう。
ポールを背にして、細かい調整できない代わりに、盾が三枚つかえる。
そのうち、二枚がアリスへ、もう一枚は、汗まみれの俺ではなく、ハンナを選んだようだ。
小刻みに、柱をつかって、フェイントをかけて近づき、プレキャストしておいた≪赤い光/先/伸びろ≫をキャスト。
ホウキの先からの赤い光を、ボールに当てる。
観戦しているクラスメイトから、ざわめき。
それで、ディフェンスの全員が、ポールを振り返った。
その瞬間、ボールが砕けた。
アリスの大火力の風が、防御を突き破っていた。
俺たちの勝利だったが、決意を決めていた、ホウキの出番はなかった。
教師ローザ・ロッテルーノは、ヤンデル・ローラウと、エイミーが持っていたホウキについて話し合っていた。
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