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1806年/春
競技会≪模擬戦≫
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「それでは、競技の練習をする授業を始めます」
ローザ先生と俺たちは野外、学園の裏山にいた。
競技のチームで集められているので、俺の隣には、ハンナとアリスがいる。
前回と同じく、教師は他にヤンデル先生とナンシー先生だけだった。
ハンナが、いろいろとアリスに話しかけ、いろいろと会話している。
俺は、対戦する場合にどうするか考えていた。
「それでは、対戦をする練習を始めます。でも、今日は半分くらいの人は、見るだけになりますが、ちゃんと見ましょう」
『はーい』
何チームかが呼ばれ、俺たちもディフェンスの列、それも先頭になった。
いきなり対戦か。
急いで、打ち合わせる。
「ブロー役は、アリスでいいか?」
こくり、と頷くアリス。
かわいいな、アリス。
「でも、立つ位置は、ポールの後ろ側。俺とハンナで前に立って盾でオフェンスからボールが見えないように邪魔する」
「わかった」
頷くハンナ。
頼りになるな、ハンナ。
「アリスは、ボールの上下だけ、見ていてくれ」
盾を渡されたので、ポールを囲んで立つ。
「その並びでいいですか?」
ローザ先生に聞かれたので、頷く。
「ボールは、ヤンデル先生が、魔法でポールの上に置きますので、合図があったらブローしてください。幻の柱は今回は出しません。時間は、競技で使う砂時計で三分計ります。いいですか?」
『はーい』
ヤンデル先生が、手に持ったボールを魔法でポールの上に移動させる。
「ブローしてください」
ヤンデル先生の合図で、アリスがブローを開始する。
ボールが安定するのを待って、ローザ先生が、
「はじめ!」
俺とハンナで、オフェンスの視線を盾で塞ぐ。
ボールが見えない状態でコンパイルができずに、困るオフェンス・チームの面々。
しかし、盾を持っているのは、二人。
オフェンスは三人。
どうしても、一人がフリーになるので、ボールは攻撃される。
でも、そこはアリスが、対応した。
基本、≪風/始点/ボール/下へ/包む≫が防いでいる。
チラ、っと砂時計を見る。
この調子なら、防ぎ切れそうだ。
そう思った瞬間に、後ろから音が響いた。
振り向く、とボールが落ちていた。
どうやって落とした!?
オフェンスの三人を睨む、と三人とも驚いた顔をしていた。
ボールが落ちた音に比べたら、ずっと小さな音をたてて、アリスが倒れていた。
「アリス!」
走りよろうとする俺たちをナンシー先生が押さえつけた。
「どけって!」
怒鳴るが、その腕は、ほどけない。
くそっ!
アリスのそばに、ローザ先生とヤンデル先生がシャガミ込んでいる。
「はなせよ!」
こいつ退かすのに、スクロールに、なんてスペル書けばいいんだ?
アリスが、ふわっと浮いて、ローザ先生といっしょに高速で移動し始めた。
「アリス!」
叫んだ俺は、何かスペルを書きかけて、目の前が真っ暗になった。
目が覚める、と医務室だった。
「忙しいときに、手間かけせさせないでよ。ナンシー先生に失神させられるなんて、ヘタすれば彼女が問題になるんだから」
マーサー先生が、疲れた様子で言ってきた。
どうやら俺は、魔法を使おうとして、ナンシー先生にオトされたようだ。
「アリスは!?」
「隣」
慌てて見る、とアリスが寝ていた。
「ア!、りす」
声をひそめて、
「様子は?」
「誰かさんと同じくリソースの使いすぎで、安静が必要」
そうか、よかった。
「よくないわよ」
え?
「この子、コンパイルが天才的で、今までわからなかったけど、リソースに問題があるみたい」
なんだって?
「瞬間的に大きな力はいいんだけど、持続的に魔法を使うのが、かなり無理がかかるみたい。三日は安静かな」
俺は、アリスの寝顔を見つめることしかできなかった。
ローザ先生と俺たちは野外、学園の裏山にいた。
競技のチームで集められているので、俺の隣には、ハンナとアリスがいる。
前回と同じく、教師は他にヤンデル先生とナンシー先生だけだった。
ハンナが、いろいろとアリスに話しかけ、いろいろと会話している。
俺は、対戦する場合にどうするか考えていた。
「それでは、対戦をする練習を始めます。でも、今日は半分くらいの人は、見るだけになりますが、ちゃんと見ましょう」
『はーい』
何チームかが呼ばれ、俺たちもディフェンスの列、それも先頭になった。
いきなり対戦か。
急いで、打ち合わせる。
「ブロー役は、アリスでいいか?」
こくり、と頷くアリス。
かわいいな、アリス。
「でも、立つ位置は、ポールの後ろ側。俺とハンナで前に立って盾でオフェンスからボールが見えないように邪魔する」
「わかった」
頷くハンナ。
頼りになるな、ハンナ。
「アリスは、ボールの上下だけ、見ていてくれ」
盾を渡されたので、ポールを囲んで立つ。
「その並びでいいですか?」
ローザ先生に聞かれたので、頷く。
「ボールは、ヤンデル先生が、魔法でポールの上に置きますので、合図があったらブローしてください。幻の柱は今回は出しません。時間は、競技で使う砂時計で三分計ります。いいですか?」
『はーい』
ヤンデル先生が、手に持ったボールを魔法でポールの上に移動させる。
「ブローしてください」
ヤンデル先生の合図で、アリスがブローを開始する。
ボールが安定するのを待って、ローザ先生が、
「はじめ!」
俺とハンナで、オフェンスの視線を盾で塞ぐ。
ボールが見えない状態でコンパイルができずに、困るオフェンス・チームの面々。
しかし、盾を持っているのは、二人。
オフェンスは三人。
どうしても、一人がフリーになるので、ボールは攻撃される。
でも、そこはアリスが、対応した。
基本、≪風/始点/ボール/下へ/包む≫が防いでいる。
チラ、っと砂時計を見る。
この調子なら、防ぎ切れそうだ。
そう思った瞬間に、後ろから音が響いた。
振り向く、とボールが落ちていた。
どうやって落とした!?
オフェンスの三人を睨む、と三人とも驚いた顔をしていた。
ボールが落ちた音に比べたら、ずっと小さな音をたてて、アリスが倒れていた。
「アリス!」
走りよろうとする俺たちをナンシー先生が押さえつけた。
「どけって!」
怒鳴るが、その腕は、ほどけない。
くそっ!
アリスのそばに、ローザ先生とヤンデル先生がシャガミ込んでいる。
「はなせよ!」
こいつ退かすのに、スクロールに、なんてスペル書けばいいんだ?
アリスが、ふわっと浮いて、ローザ先生といっしょに高速で移動し始めた。
「アリス!」
叫んだ俺は、何かスペルを書きかけて、目の前が真っ暗になった。
目が覚める、と医務室だった。
「忙しいときに、手間かけせさせないでよ。ナンシー先生に失神させられるなんて、ヘタすれば彼女が問題になるんだから」
マーサー先生が、疲れた様子で言ってきた。
どうやら俺は、魔法を使おうとして、ナンシー先生にオトされたようだ。
「アリスは!?」
「隣」
慌てて見る、とアリスが寝ていた。
「ア!、りす」
声をひそめて、
「様子は?」
「誰かさんと同じくリソースの使いすぎで、安静が必要」
そうか、よかった。
「よくないわよ」
え?
「この子、コンパイルが天才的で、今までわからなかったけど、リソースに問題があるみたい」
なんだって?
「瞬間的に大きな力はいいんだけど、持続的に魔法を使うのが、かなり無理がかかるみたい。三日は安静かな」
俺は、アリスの寝顔を見つめることしかできなかった。
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