【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した

1806年/冬

調理≪エイミー・フライ≫

　水素燃焼での射撃がうまく成功したので、調子に乗って、興奮した俺は、ナンシー先生のマネをして、ホウキを背中に担いだり、手で構えたりして、野山を走りまわった。
　汗だくになり、汗を流して風呂を出る、と猛烈に、腹が減った。
　食堂に急ぐが、既にイナゴの大群が、食べ尽くした後だった。
　調理場のオバちゃんたちは、既に昼食の準備を始めていて、忙しそうだった。
　それでも、憐れに思ったのか、ジャガイモと牛乳、生卵をくれた。
　カマドも、小さいのを一つ使っていいとのことなので、ジャガイモを茹でたり、牛乳でマッシュポテトをのばしたりできる。
　しかし、俺の胃袋は、もうちょっとなんかこう、料理を欲していた。
　野山を走ったせいか、胃にもたれそうなくらいのモノが食べたい。
　俺は、小鍋を借りて、オリーブオイルを入れ、細長く切ったジャガイモを揚げ焼きにした。
　いい匂いがしてきた。
　皿に取って、塩を振る。
　油に卵白だけ入れて、揚げるとこれも皿に盛る。
　油に、≪冷えろ≫ をキャスト。
　卵黄、酢を加えて、泡立て器でかき混ぜる。
　モッタリしてきたので、味見をして、少し塩を入れる。
　泡立て器にからめるようにして、マヨネーズをすくい取る。
　ジャガイモの脇に、泡立て器を軽く叩くようにして、マヨネーズを落とす。
　手で触れるくらいになったので、手づかみし、慎重にフーフーして大口を開けた、ところで凝視するオバちゃんたちと、目が合った。
　ギラギラとしたその目に、十秒は、耐えたと思う。
　俺は、敗北を認め、ジャガイモを皿に戻し、彼女らに差し出した。
　全員に分けるため、かなり小くされて、俺以外の口に入る。
　くわっと目を見開き、一斉に、俺を睨む。
「これ、なんて料理だい？」
「い、いや、適当につくったから・・・」
　前世（？）の記憶での名前、フライドポテトを言うわけにもいかない。
　その後、「エイミー・フライ」の名で学園で一大ブームを起こすのだか、今現在、俺の腹は悲しげに鳴っていた。

　教師ローザ・ロッテルーノは、エイミー・フライを食べるために、忙しく口を動かしながら、呟いた。
「また、エイミー？」