26 / 90
1806年/冬
競技会≪チーム≫
しおりを挟む
「それでは、競技会の説明をします」
ローザ先生が、教壇に立っている。
この学園は、全国から魔法の才能を持つ子供が集められている学校の一つだ。
つまり、他にも同じような学園がある。
そして、互いに最先端を自称していため、微妙にカリキュラムが異なる。
その上、自分らのカリキュラムが最優秀だとも自称している。
なので、カリキュラムの優秀さを示したい。
ようは、学園同士の順位争いだ。
それに、子供を巻き込むって、大人として、どうなんだ?
しかし、カリキュラムによって、どう成長しているか測りたいのは、わかる。
そこで、競技会だ。
「知ってい人もいるかもしれませんが、一年生はフィズ・ボールを行います」
縦横約三十メートルのフィールド(バスケットのコート幅が倍になったくらい)の中心に高さ約四メートルのポールを立て、その上に乗せたボールを割る競技だ。
攻守交替制で三分づつ、三名チーム同士が戦う。
もちろん、魔法使用可だ。
というより、魔法が使えないと成立しない競技だ。
「一チーム三人での競技ですので、これからチーム分けをしてもらいます」
三人か、誰もが隣席で同室の子と二人組みだから、中々難しいな。
俺も、ハンナといっしょの方がいいから、バラけてくれる奴を探すか。
「ハンナさん、エイミーさんには、お話があります」
なんだ?
俺、なんかやったか?
やばい、身に覚えがありすぎる。
どれが、バレた?
ハンナも俺を疑いの目で見ている。
俺も目が泳いでいることだろう。
「お二人とも、前へどうぞ」
呼ばれて、おとなしく教壇の前に立つ。
クラス中の注目を浴びているのが、居心地悪い。
「お二人には、申し訳ないのですが、隣のクラスの方とチームを組んでいただきます。このクラスも、三人で組むと、一人足りないのです」
お、そういえば三で割り切れない人数だ、が割り算も九九もまだ習っていないので、知らない顔しておこう。
「先生、どなたとなのでしょうか?」
ハンナが聞くが、俺は隣のクラスの名前まで知らないから、聞いてもなあ。
「アリス・ウォルフガングさんです」
『おおー』
クラスが沸く。
え?
誰?
ハンナも驚いた顔をしていた。
もしかして、知らないの俺だけ?
俺が、あまりに情けない顔をしていたからだろうか、ハンナが教えてくれた。
「魔法の授業で、すっごく優秀って言われてた人だよ」
あ?
ああー。
なんでも一発でコンパイルしてたって天才児のことか。
天才って、高飛車っぽそうな、奴だったら困るな。
そんなのと組むのって、大変なんじゃないのか?
面倒くさい。
っていうか、どうして、俺とハンナとなんだろう?
「アリスさんかあ、憧れちゃうよねえ」
ハンナの目が、ハートになっている。
え?
そういう反応なの?
クラスも、
「アリスさんとなんて、うらやましい」
「できることなら、代わりたいですわ」
じゃあ、代わってくれ。
俺は、まだ見ぬアリスに、ちょっと嫉妬した。
「ハンナさん、エイミーさん、こちらがアリス・ウォルフガングさん。アリスさん、こちらがハンナ・チェスタさん、エイミー・ロイエンタールさんです」
クラスでのチーム分けが行われている最中、俺たちは廊下で、ローザ先生に紹介されていた。
「こんにちは、ハンナ・チェスタです。よろしくね。ハンナって呼んでね。アリスって呼んでいい?」
こくり、と頷くアリス。
無口系か?
アリスは、ストレートのプラチナブロンドスをおかっぱにして、小柄で肌が透けるように白かった。
「エイミー・ロイエンタールだ、よろしく」
「アリス・ウォルフガング」
えーと、俺も人のこと言えないが、会話が続かないぞ。
ハンナは、いろいろと話したいようだが、初対面で遠慮しているし、ローザ先生、温かく見守ってないで、介入してくれ。
俺の心の声が聞こえたわけでもないのだろうが、
「それでは、競技の練習のときは、三人で仲良くお願いします」
その言葉で、その場は解散となり、各々のクラスへと戻った。
ローザ先生が、教壇に立っている。
この学園は、全国から魔法の才能を持つ子供が集められている学校の一つだ。
つまり、他にも同じような学園がある。
そして、互いに最先端を自称していため、微妙にカリキュラムが異なる。
その上、自分らのカリキュラムが最優秀だとも自称している。
なので、カリキュラムの優秀さを示したい。
ようは、学園同士の順位争いだ。
それに、子供を巻き込むって、大人として、どうなんだ?
しかし、カリキュラムによって、どう成長しているか測りたいのは、わかる。
そこで、競技会だ。
「知ってい人もいるかもしれませんが、一年生はフィズ・ボールを行います」
縦横約三十メートルのフィールド(バスケットのコート幅が倍になったくらい)の中心に高さ約四メートルのポールを立て、その上に乗せたボールを割る競技だ。
攻守交替制で三分づつ、三名チーム同士が戦う。
もちろん、魔法使用可だ。
というより、魔法が使えないと成立しない競技だ。
「一チーム三人での競技ですので、これからチーム分けをしてもらいます」
三人か、誰もが隣席で同室の子と二人組みだから、中々難しいな。
俺も、ハンナといっしょの方がいいから、バラけてくれる奴を探すか。
「ハンナさん、エイミーさんには、お話があります」
なんだ?
俺、なんかやったか?
やばい、身に覚えがありすぎる。
どれが、バレた?
ハンナも俺を疑いの目で見ている。
俺も目が泳いでいることだろう。
「お二人とも、前へどうぞ」
呼ばれて、おとなしく教壇の前に立つ。
クラス中の注目を浴びているのが、居心地悪い。
「お二人には、申し訳ないのですが、隣のクラスの方とチームを組んでいただきます。このクラスも、三人で組むと、一人足りないのです」
お、そういえば三で割り切れない人数だ、が割り算も九九もまだ習っていないので、知らない顔しておこう。
「先生、どなたとなのでしょうか?」
ハンナが聞くが、俺は隣のクラスの名前まで知らないから、聞いてもなあ。
「アリス・ウォルフガングさんです」
『おおー』
クラスが沸く。
え?
誰?
ハンナも驚いた顔をしていた。
もしかして、知らないの俺だけ?
俺が、あまりに情けない顔をしていたからだろうか、ハンナが教えてくれた。
「魔法の授業で、すっごく優秀って言われてた人だよ」
あ?
ああー。
なんでも一発でコンパイルしてたって天才児のことか。
天才って、高飛車っぽそうな、奴だったら困るな。
そんなのと組むのって、大変なんじゃないのか?
面倒くさい。
っていうか、どうして、俺とハンナとなんだろう?
「アリスさんかあ、憧れちゃうよねえ」
ハンナの目が、ハートになっている。
え?
そういう反応なの?
クラスも、
「アリスさんとなんて、うらやましい」
「できることなら、代わりたいですわ」
じゃあ、代わってくれ。
俺は、まだ見ぬアリスに、ちょっと嫉妬した。
「ハンナさん、エイミーさん、こちらがアリス・ウォルフガングさん。アリスさん、こちらがハンナ・チェスタさん、エイミー・ロイエンタールさんです」
クラスでのチーム分けが行われている最中、俺たちは廊下で、ローザ先生に紹介されていた。
「こんにちは、ハンナ・チェスタです。よろしくね。ハンナって呼んでね。アリスって呼んでいい?」
こくり、と頷くアリス。
無口系か?
アリスは、ストレートのプラチナブロンドスをおかっぱにして、小柄で肌が透けるように白かった。
「エイミー・ロイエンタールだ、よろしく」
「アリス・ウォルフガング」
えーと、俺も人のこと言えないが、会話が続かないぞ。
ハンナは、いろいろと話したいようだが、初対面で遠慮しているし、ローザ先生、温かく見守ってないで、介入してくれ。
俺の心の声が聞こえたわけでもないのだろうが、
「それでは、競技の練習のときは、三人で仲良くお願いします」
その言葉で、その場は解散となり、各々のクラスへと戻った。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる