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1805年/秋
実験≪ドライアイス≫
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見学の記念に、ナンシー先生にもらった鉛弾を布の上に乗せ、眺めていた。
銃は、弾を無限に用意できるのが、理想だ。
でも、魔法でも、無から有はつくれない。
空気の成分を、凍らせてつくり出す?
氷ならば、空気中の水分を凝縮してつくるより、水筒で水そのものを補給した方が、魔法も使わなくていいし、楽そうだ。
空気中で一番多いのは、たしか窒素だけど、液体窒素って、めちゃめちゃ低温だったはず。
それを個体にして、弾にすると、リソース使いすぎて、倒れるだろう。
酸素とかも、変わらないだろうし。
二酸化炭素も、ドライアイスになるから、温度低かったはず。
でも、アイス用に用意されているんだから、実験に使う液体窒素に比べれば、極低温というわけでもない。
常温で気体な成分を凍らせるのは、どれをとっても低温だろうから、まだマシかもしれない。
実験してみるか。
もし、ドライアイスができたら、手では触れないので、電気分解の実験で使った木製のコップに、水を入れる。
木に、直接触れると、急激な温度変化で、割れてしまうのでは、と思ったからだ。
スクロールを出して、気がついた。
二酸化炭素って、この世界の言葉で、なんて書くんだ?
たしか辞書にも載ってなかったぞ。
イメージで、行けるか?
まあ、それも実験か。
空気に向かって、≪凍れ≫。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
空気中の水分だよな、きっと。
もうちょっと、イメージを深める方法はないか?
二酸化炭素で、CO2だから、酸素が二つに、炭素が一つ、って想像できるか!
なんか、二酸化炭素が増える状況ないか?
火が燃えると増える。
火を燃やして、≪凍れ≫なんて、それでなくても低温にしないといけないのに、ハードル上がってる。
ため息が出た。
あ、息だ。
吐いた息は、二酸化炭素が、増えている。
それをイメージしてみよう。
手で、口の周りを覆って、息を出し入れしながら、コンパイル。
手を開いて、キャスト。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
さっきとは違い、微妙に泡がたっている。
何度かキャストを繰り返す、と水は泡だった。
恐る々々、指を入れてみる、と冷えていて、微妙に刺激がある。
恐る々々、口をつけてみる、と微かに舌を刺激する。
炭酸水?
どうやら、二酸化炭素を凍らせて、ドライアイスにすることは、できたみたいだ。
でも、これでは弾には、できないなあ。
「やっぱ風呂だよなー」
湯に乳を浮かべているバカ先輩は放っておいて、俺は急いで髪を洗っていた。
「なあ、それ何?」
「うん、怪しい」
二人は、俺を見た。
フタをした木製のコップを持ち込んでいた。
「ちょっと、実験するんで」
俺は、髪についた石鹸を流した。
リンスを酸性である炭酸水で代用できないか、と思いついたので、確かめてみようと考えていた。
髪が滑らかになると分かれば、傷痕を気にしてか風呂に来ないハンナも、固い髪質が改善される、と来てくれるようになるかもしれない。
本当は、隣で洗っているナレッツ先輩のような長い髪の方が、効果がわかりやすいと思うのだが、先輩を生贄(いやいや)実験台にするわけにもいかない。
実験、と聞いて先輩二人が、カワイソウな子を見る目で、ヒソヒソと話し合っているのが聞こえる。
フタをしたコップを開け、ドライアイスを溶かした炭酸水を頭からかぶった。
ちょっと目にしみる。
「おおおお?」
髪に、指が引っかかる?
微妙な効果だ。
炭酸が弱いからだろうか。
また、失敗か。
なんだか、涙がにじんできた。
ざばーっ!
俺の顔に、湯が浴びせられた。
「しけた顔してると悪運がくるぞ」
ニーナ先輩が、桶を手に、ニッカリ笑っていた。
バカのくせに。
俺は、素早く桶に水をくむ、とバカ胸にぶっかけた。
「つめたーーー!」
冷えて、縮めばいい、そんな乳!
「あちーーーー!」
バカ先輩が、熱い湯をかけてきた。
「あったまれば、育つかもだぞ」
ナニがだ!?
茹って、芽を摘む結果になったら、どうしてくれる!?
そそくさ、と逃げ出すナレッツ先輩。
「逃すかあー!」
ナレッツ先輩に向けて、湯をぶち撒ける。
「あ、バカ!」
バカに、バカと呼ばれる筋合いはない!
俺の湯は、脱衣所を盛大に濡らした。
バカか、俺は?
「拭くぞ、急げ!」
先輩らと、慌てて、全裸のまま、床に這いつくばって拭いている、と入浴者が来たので、急いで服を来て、部屋に逃げ帰る。
でも、ちょっと、スッキリした。
「どうしたの?」
風呂には来いハンナが、首をかしげているが、説明しづらい。
はあはあ息を荒げている、とバカ先輩が、ナレッツ先輩と俺に、コップを差し出してきた。
「エイミー・ドリンクだ、汗かいたからな」
誰のせいだ、と思いながら、口をつけるが、ヌルい。
手で、口の周りを覆って、息を出し入れしながら、コンパイル。
手を開いて、キャスト。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
息が荒くて二酸化炭素が多いせいか、キラキラの量が多い。
「きれい!」
「それ、氷じゃないな?」
ハンナの反応とは違い、バカ先輩が、ちょっと目を細めている。
息を溜めて凍らせる、と別のナニかが凍るみたいだ、とだけ説明して、もう一度やって見せる。
俺の真似をして、口を覆う先輩たち。
手を開く、と俺より多いキラキラが落ちた。
「ほとんど氷か?」
呟きながら、コップに口をつけるバカ先輩。
「おお!」
ふふん!
初めての微炭酸水に、驚くがいい!
「実家の水みたいだ! 懐かしいな」
え?
懐かしい?
どうやら、バカ先輩の実家そばには、天然の炭酸水が湧く泉があるらしい。
こっちに、炭酸水、もうあるんだ?
しかも、天然で?
全然、知らなかった。
懐かしい、と喜ぶバカを尻目に、俺は更に落ち込んでいた。
しかも、おっぱい火傷してた。
成長止まったら、どうしてくれる?
「やはり、エイミー・ロイエンタールは・・・」
ニーナ・ウォレスタは、ローザ・ロッテルーノに報告をしていた。
銃は、弾を無限に用意できるのが、理想だ。
でも、魔法でも、無から有はつくれない。
空気の成分を、凍らせてつくり出す?
氷ならば、空気中の水分を凝縮してつくるより、水筒で水そのものを補給した方が、魔法も使わなくていいし、楽そうだ。
空気中で一番多いのは、たしか窒素だけど、液体窒素って、めちゃめちゃ低温だったはず。
それを個体にして、弾にすると、リソース使いすぎて、倒れるだろう。
酸素とかも、変わらないだろうし。
二酸化炭素も、ドライアイスになるから、温度低かったはず。
でも、アイス用に用意されているんだから、実験に使う液体窒素に比べれば、極低温というわけでもない。
常温で気体な成分を凍らせるのは、どれをとっても低温だろうから、まだマシかもしれない。
実験してみるか。
もし、ドライアイスができたら、手では触れないので、電気分解の実験で使った木製のコップに、水を入れる。
木に、直接触れると、急激な温度変化で、割れてしまうのでは、と思ったからだ。
スクロールを出して、気がついた。
二酸化炭素って、この世界の言葉で、なんて書くんだ?
たしか辞書にも載ってなかったぞ。
イメージで、行けるか?
まあ、それも実験か。
空気に向かって、≪凍れ≫。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
空気中の水分だよな、きっと。
もうちょっと、イメージを深める方法はないか?
二酸化炭素で、CO2だから、酸素が二つに、炭素が一つ、って想像できるか!
なんか、二酸化炭素が増える状況ないか?
火が燃えると増える。
火を燃やして、≪凍れ≫なんて、それでなくても低温にしないといけないのに、ハードル上がってる。
ため息が出た。
あ、息だ。
吐いた息は、二酸化炭素が、増えている。
それをイメージしてみよう。
手で、口の周りを覆って、息を出し入れしながら、コンパイル。
手を開いて、キャスト。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
さっきとは違い、微妙に泡がたっている。
何度かキャストを繰り返す、と水は泡だった。
恐る々々、指を入れてみる、と冷えていて、微妙に刺激がある。
恐る々々、口をつけてみる、と微かに舌を刺激する。
炭酸水?
どうやら、二酸化炭素を凍らせて、ドライアイスにすることは、できたみたいだ。
でも、これでは弾には、できないなあ。
「やっぱ風呂だよなー」
湯に乳を浮かべているバカ先輩は放っておいて、俺は急いで髪を洗っていた。
「なあ、それ何?」
「うん、怪しい」
二人は、俺を見た。
フタをした木製のコップを持ち込んでいた。
「ちょっと、実験するんで」
俺は、髪についた石鹸を流した。
リンスを酸性である炭酸水で代用できないか、と思いついたので、確かめてみようと考えていた。
髪が滑らかになると分かれば、傷痕を気にしてか風呂に来ないハンナも、固い髪質が改善される、と来てくれるようになるかもしれない。
本当は、隣で洗っているナレッツ先輩のような長い髪の方が、効果がわかりやすいと思うのだが、先輩を生贄(いやいや)実験台にするわけにもいかない。
実験、と聞いて先輩二人が、カワイソウな子を見る目で、ヒソヒソと話し合っているのが聞こえる。
フタをしたコップを開け、ドライアイスを溶かした炭酸水を頭からかぶった。
ちょっと目にしみる。
「おおおお?」
髪に、指が引っかかる?
微妙な効果だ。
炭酸が弱いからだろうか。
また、失敗か。
なんだか、涙がにじんできた。
ざばーっ!
俺の顔に、湯が浴びせられた。
「しけた顔してると悪運がくるぞ」
ニーナ先輩が、桶を手に、ニッカリ笑っていた。
バカのくせに。
俺は、素早く桶に水をくむ、とバカ胸にぶっかけた。
「つめたーーー!」
冷えて、縮めばいい、そんな乳!
「あちーーーー!」
バカ先輩が、熱い湯をかけてきた。
「あったまれば、育つかもだぞ」
ナニがだ!?
茹って、芽を摘む結果になったら、どうしてくれる!?
そそくさ、と逃げ出すナレッツ先輩。
「逃すかあー!」
ナレッツ先輩に向けて、湯をぶち撒ける。
「あ、バカ!」
バカに、バカと呼ばれる筋合いはない!
俺の湯は、脱衣所を盛大に濡らした。
バカか、俺は?
「拭くぞ、急げ!」
先輩らと、慌てて、全裸のまま、床に這いつくばって拭いている、と入浴者が来たので、急いで服を来て、部屋に逃げ帰る。
でも、ちょっと、スッキリした。
「どうしたの?」
風呂には来いハンナが、首をかしげているが、説明しづらい。
はあはあ息を荒げている、とバカ先輩が、ナレッツ先輩と俺に、コップを差し出してきた。
「エイミー・ドリンクだ、汗かいたからな」
誰のせいだ、と思いながら、口をつけるが、ヌルい。
手で、口の周りを覆って、息を出し入れしながら、コンパイル。
手を開いて、キャスト。
キラキラとしたモノが、パラパラと水に落ちた。
息が荒くて二酸化炭素が多いせいか、キラキラの量が多い。
「きれい!」
「それ、氷じゃないな?」
ハンナの反応とは違い、バカ先輩が、ちょっと目を細めている。
息を溜めて凍らせる、と別のナニかが凍るみたいだ、とだけ説明して、もう一度やって見せる。
俺の真似をして、口を覆う先輩たち。
手を開く、と俺より多いキラキラが落ちた。
「ほとんど氷か?」
呟きながら、コップに口をつけるバカ先輩。
「おお!」
ふふん!
初めての微炭酸水に、驚くがいい!
「実家の水みたいだ! 懐かしいな」
え?
懐かしい?
どうやら、バカ先輩の実家そばには、天然の炭酸水が湧く泉があるらしい。
こっちに、炭酸水、もうあるんだ?
しかも、天然で?
全然、知らなかった。
懐かしい、と喜ぶバカを尻目に、俺は更に落ち込んでいた。
しかも、おっぱい火傷してた。
成長止まったら、どうしてくれる?
「やはり、エイミー・ロイエンタールは・・・」
ニーナ・ウォレスタは、ローザ・ロッテルーノに報告をしていた。
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