【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した

まみ夜

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登場人物と用語説明

薀蓄時代考証

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このページの説明は、各話によっては、ネタバレになります。

この物語の舞台であるプロイセン王国(魔法がある世界でもあるけど)の時代考証(産業革命直前の科学や一般常識。本作の語り手であるエイミーが知らない知識)や現代とのギャップの補足説明になります。

なお、お読みにならなくても、物語は十分に楽しめますので、薀蓄や理屈っぽいことが苦手でしたら、スルーしてください。
推奨は、まずは本編の最終話まで、お読みになった後ご覧になり。もう一度、本編をお読みいただける、と二度楽しめるかと思います。



























【プロイセン王国】
もちろん実在した国で、後にドイツ帝国に発展する。鉄血政策のビスマルクが宰相になるのは、もう少し先の時代。

【単位表記】
長さなどを共通認識するための定義。世界で統一された単位の体系の一つが、MKS単位系で、メートル(m)、キログラム(kg)、秒(second)。当時は、メートル法が制定、確定キログラム原器が作成されていたが、まだ普及せず、秒は機械時計でしか計ることができなかった。また温度に至っては、セルシウス度(摂氏)、ファーレンハイト度(華氏)、ニュートン度、レミュオール度、レーマー度が提唱されていた。このように、当時はまだ地域によって、使用単位がバラバラだった。
本作では、フィート、ポンド等馴染みのない単位表記を行なっても読者にはイメージし辛く、読むテンポを悪くするだけ、と判断して、現代の単位にエイミーが脳内変換している。

【眼鏡】
レンズで視力を矯正する器具。当時は、鼻に乗せるタイプ、柄を手で持つタイプ、紐で耳にかけるタイプなどが全盛期で、ツルもすでに発明されていたが、頭を挟み込む方式だったので、普及しなかった。ツルが巻かれていて、耳にかけるタイプは、当時では最新式。ちなみに、鼻当てを発明したのは、鼻が低くまつ毛がレンズに当たるのに困った日本人、という説が有力。

【温度】
構成する粒子の運動。動きが激しければ温度が高く、動かなければ低温と表現される。粒子が運動を停止するとゼロK(マイナス二百七十三点一五度:絶対零度)であり、最低エネルギーの状態となる(物理学の古典論では、前述のように定義されているが、量子論等では、ゼロKでもエネルギーを持つ、という論理もある)。原子などの提唱は、まだ先の時代。

【磁石】
双極性の磁場を発生させる物質。すでに、方位磁石などが使用されていた。しかし、鉄が磁石につくことは、当時はあまり知られていなかった。電磁石の発明は、もう少し先の時代。エイミーは、この世界の「磁石」という言葉は辞書で知った。

【リンス】
すすぐの意味。アルカリ性の洗浄剤で洗った髪はキューティクルが開くため、酸性水溶液ですすいで中和すると滑らかになる。現代でも酢を使用してリンスする方はいるが、臭いに関しての解決法は未だない。当時は、入浴そのものが不健康と、考えられていたので、発明されるのは、まだ先の時代。

【フレンチ・トースト】
卵と牛乳、砂糖を混ぜ合わせた卵液をパンに吸わせて焼く料理。卵と牛乳をパンに吸わせる、というレシピはかなり古くからあるが、砂糖は当初サトウキビからしか抽出できなかったため、貴重品であった。その後、テンサイからの抽出に成功したり、サトウキビが増産されるようになって、低所得者層も入手できるようになるのは、まだ先の時代。このため当時は、卵液を吸わせたパンはあったが、それを甘くする発想がなかった。

【マヨネーズ】
卵、酢、油を攪拌し、油と酢を卵で乳化した調味料。当時は、レシピ自体は、既に存在していたが、乳化させる作業が困難で、ほとんど知られていなかった。なお、卵と酢を混ぜ合わせたものに、油を少量づつ加えないと分離する可能性が高いが、本作ではエイミーがこれを知らず、材料すべてをまとめてかき混ぜている。

【泡立て器】
食品を泡立てる調理器具。撹拌した卵でケーキなどを膨らませる調理法が、既に発明されていたが、木の枝(アジアでは茶筅のようなものがあったが、ヨーロッパに竹は生えない)などを使用しており、より優れた器具の実用化が望まれていた。当時は、金属の生産が本格的になり、ようやく現在とほぼ変わらない泡立て器が、生産されていたが、ステンレスが発明されていなかったので、手入れは重要だった。泡立て器の素晴らしさを実感するために一度、使わずにマヨネーズをつくってみていただきたい。

【ストレッチ】
身体の骨格筋、腱を伸ばし、柔軟性を高め、関節の稼動領域を広げる運動。学校体育では、ウォーミングアップの印象が強いが、運動後に身体が温まった状態でクールダウンとして行うと、効果が高い。筋を伸ばす、という考え方は古くからあるが、ストレッチとして体系化されるのは、まだ先の時代。

【キュロット・スカート】
スカートの股の部分を縫い合わせたりしたもの。本来の女性が乗馬をするために発明されるのは、まだ先の時代。もちろん、女性がズボンを履く、という発想も当時はなかった。

【ウォーキング】
持久力を高めることを目的に歩く、有酸素運動。走るのに比べ、関節への衝撃、循環器系への負担が小さいのが、特徴。一定の速度をキープして歩けば、エネルギー消費も大きく、運動量が少ないわけではない。全力で走る以外のトレーニング法、心拍数を一定にして走るジョギングなどの提唱も、まだ先の時代。

【電気分解】
水溶液に電極を入れ、電圧をかけることによって、陽極、陰極に科学分解された物質(気体)が析出する現象。当時は、イタリアでボルタ式電池が発明されたことで、研究され始めたばかりで、最先端の研究者でも、ほんの一部しか知らない。水を電気分解すると、水素と酸素に分解される。また実験時、水は電気を通し難い性質のため、電解質(学校の実験では水酸化ナトリウムなど)を加える。
本作では、電極なしに電気分解できている。これはスペル≪雷≫を使っているが、コンパイル中のイメージにより、≪電気分解≫に近い効果の魔法になっているため。なお、この世界の「電気分解」という言葉をエイミーは知らないため、スペルを書くことはできない。

【スポーツドリンク】
運動による発汗で失われやすい電解質や、エネルギー生産のクエン酸回路(途中生成物の乳酸は、筋肉痛の原因ではない)を回すために必要なクエン酸、エネルギー源である糖分などを含んだ飲料。経口保水液とは目的も作用も組成も異なるので代用には注意が必要。汗などで体内の電解質が減った状態で水分を摂っても、濃度が薄くなりすぎたのを戻すために、積極的に水分を排泄し脱水症状を引き起こすため、運動中・後の電解質補給の重要性が認識されるのは、まだ先の時代。ナンシーが警備隊に「秘伝の水」を持ち込み、疲労回復などが早いことを経験し、学園でも理論が追いついていないが採用された、という経緯。

【マスケット】
火縄銃を始めとした、銃口から火薬(装薬)・弾を詰める先込め式銃の総称。ライフリングはなく(球形の弾のため、あっても意味がない)命中精度が低い。当時は、撃鉄の先に火打石(フリント)をつけたフリントロック式が全盛期。薬莢を使う銃が開発されるのは、もう少し先の時代。

【二酸化炭素】
酸素二、炭素一からなる無機化合物で、炭素の酸化物。当時は、スコットランドで二酸化炭素と現代で呼ばれている物質は発見されていた。しかし、発見者はフロギストン説に囚われていたため、燃焼により発生(酸化)した物資ではなく、燃焼を止める(フロギストンを発生させないように固定する)物質と考えていた。物性がはっきりするのは、もう少し先の時代。

【ドライアイス】
二酸化炭素を冷却し、固体にしたもの。マイナス七十八点五度。実際の製造は、五点二気圧に加圧、マイナス五十六点六度に冷却して液化し、大気圧に戻すと気化熱が奪われ固体になる、という方法。発明されるのは、もう少し先の時代。ちなみにエイミーが検討した他の気体の融点(固体化温度)は、窒素はマイナス二百十度度、酸素はマイナス二百十八点四度なので、魔法で実現しようとすれば、リソースの使いすぎで倒れると予測される。ドライアイスを水に溶かすと、二酸化炭素が溶け込み炭酸水になるが、容器(ペットボトルなど)が破裂する事故、二酸化炭素中毒が後を立たないので、よい子はマネしないこと。ダメ、絶対!

【炭酸水】
二酸化炭素を溶け込ませた水。製造方法は大分して、水とガスを加圧する、酸と炭酸水素ナトリウムを反応させるの二つの方法がある。炭酸水素ナトリウムを含む重曹(ベーキングパウダー)が大量生産されるのは、もう少し先の時代。加圧式はもっと先の時代。天然の炭酸水(温泉)は、世界中に存在するため、出身地域によって知る、知らないが分かれる。

【九九】
一桁の掛け算(一桁掛ける二桁、二桁掛ける二桁も九九と呼ぶが、二桁の九九として区別される)を九掛ける九まで、暗記する学習法。紀元前からあった。欧米では、日本語のように語呂よく覚える風習はない。また、十二掛ける十二までを覚えるので、既に記憶済み、と舐めていたエイミーは、後に地獄を見ることになる。

【ハート】
聖杯、女性を表わすシンボル。紀元前より存在していた。また、愛の表現としても古くから使われており、聖フランシスコ・ザビエル像で、キリストへの愛を表わした手に持ったハートは、有名な例。

【ゴム】
樹液(ゴムを分泌する樹木は四百種類以上あり、ゴムの木は総称)を固めた弾力や防水性を持つ物質。当時は、生ゴムが存在したが、伸びが悪く温度に影響を受けやすく油に溶けるので、レインコートなどに多少使用され始めた程度だった。加硫法が発明され、ゴムが改良されるのは、もう少し先の時代。

【紙】
植物などの繊維を薄く平らにしたもの。当時は、すでに工業的に製造されていたが、非木材原料であった。活版印刷が発達したこともあり、原材料不足が慢性的だった。木材原料での製造法が発明されるのは、もう少し先の時代。

【ジャガイモ】
地下茎にでんぷんが多く蓄えられるナス科の植物。中世ではヨーロッパに伝わっていないので注意。当時は、プロイセン公国時代に三十年戦争で農地が荒廃して飢饉が蔓延したのを期に、栽培が奨励・強制された後のために普及している。

【フライドポテト】
ジャガイモを油で揚げた料理。肉や魚を揚げるレシピは古くからあった。当時は、河が凍り魚が獲れないときの代用品として、ベルギーで発明されていたが、油は生産量が少なく、高価であったため、揚げ物のバリエーションは、広がるのに時間がかかったので、学園まで伝わっていなかった。食用油の増産などにより、揚げ物が庶民の口に入るようになるのは、もう少し先の時代。

【クィントゥス・イキリウス】
プロイセン王国の古代学者、軍事史家にして軍人、更には経済人。その著書で、「現代(当時)の歩兵は古代ローマ兵に比べたら装備の重さで苦労していない」と書いたため、近衛兵に全装備をタスキ掛けされ、「現代兵の苦労を理解していなかった」と敗北を認めるエピソードがある。当時は、既に故人。

【リュックサック】
荷物を入れ、両肩にかける肩紐で背負う袋。発明したのは、猟師という説もあるが、定かではない。当時は、一方の肩に掛ける肩紐のもの(ワンショルダー)しかなく、重量物のときには、不安定なこともあり肩を痛めることもあった。また、タスキ掛けにすると、胸を圧迫した。本来の実用化は、もう少し先の時代。

【ゼラチン】
動物の皮や骨などから抽出される、加熱されると溶け、冷えると固まる物質。紀元前に発明されていた。当時は、ゼリーなど食用としても利用されていたが、常温で固めるため、現代よりもっと固くつくられていた。

【マシュマロ】
ソフトキャンディーの一種。ウスベニタチアオイのエキスと蜂蜜を混ぜたノド飴を元に、砂糖とゼラチンを使った菓子として、フランスで開発されるのは、本来はもう少し先の時代。レシピは、メレンゲに熱いシロップ、ゼラチンを加え、泡立てる(と、言われているが、発明されたフランスではメレンゲを使わないものが主流であり、大手菓子メーカーがメレンゲを使わないのは不誠実のような書き方をしている資料の根拠には疑問を感じる)。また、できあがったマシュマロ同士がくっつかないように、コーンスターチなどを塗すが、すぐに全部を食べる気だったエイミーは、やらなかった。なお、砂糖とゼラチンを入れた容器にお湯を加えた方が失敗が少ないが、本作では、エイミーのうろ覚えレシピのため、逆の手順となっている。現代では、マシュマロフラフという、クリーム状にしてパンに塗りやすい製品も販売されている。最後に、キャンプでマシュマロを焼いて食べるのは美味しいが、他に甘いモノがないからって調子に乗ると気持ち悪くなるので、気をつけろ!

【ホワイトデー】
バレンタインデーにチョコレートをもらった男性が、お礼を返す日。日本特有(最近ではアジア一部でも定着)の習慣で欧米にはない。三倍返し、貰うのは女性陣からまとめて一つでも返すのは女性一人ひとり、などの苛烈なルールも存在する。

【グルーピング】
銃を固定して、弾が中る範囲の広さで測定する集弾率のこと。この範囲が狭いほど、命中率が高い(グルーピングが良い)。もっとも、グルーピングが悪いのは、目的によっては悪いことではない。例えば、面制圧(大人数の動きを射撃で制限する)では、サブマシンガンなどのグルーピングが悪い方が、弾が散らばり、効果的となる場合もある。

【レーザーサイト】
銃などに取り付け、レーザーを目標に当てる照準器。銃後方の凹型の照門の間に銃口近くの凸型の照星を重ねるようにして、照準をつけるのに比べ、短時間で狙いをつけやすい。映画などで、登場人物に赤い光が当たり、狙われている、という表現に使われることがある。発明されるのは、もっと先の時代。

【トマトケチャップ】
トマトを使用した調味料。古くから(トマトを使わない)ケチャップの名称は使用されていたが、魚醤に近いものだった。当時は、アメリカにこのケチャップが伝わり、トマトを使うようになったが、砂糖と酢が使われず、隠し味的な使われ方をしており、現在のものとは、まだ異なっていた。現在に近いものが開発され、発売されるのは、もう少し先の時代。

【ウスターソース】
果物、野菜を使用し、熟成させた調味料。イギリスで、林檎と野菜クズを捨てずに、腐らないように塩や酢を混ぜて貯蔵したところ偶然発明され、発売されるのは、もう少し先の時代。

【ポテトチップ】
ジャガイモを薄く切って揚げた料理。フライドポテトがアメリカに渡り、某ホテルで、フライドポテトが厚い、と何度もつくりなおさせられたコックが、嫌味でフォークに刺さらないくらい薄くしたところ、大好評となった、という説が有力。本来の商品化は、もう少し先の時代。なお、一般的には、薄く切ったジャガイモを水にさらした後、水気をとって揚げるが、本作ではエイミーが知らないため、スライスした直後に揚げている。

【ポムスフレ】
某漫画に出てきたポテトボンボンのこと。厚く切ったポテトチップを冷やし、もう一度揚げると、内部の水蒸気が膨張して膨らむ、というもの。フランス料理での付け合わせに使用される、らしい。漫画では、膨らむ率は百パーセントのように描かれていたが、実際にはかなり難しい。

【ホルスタイン】
牛の品種。黒地に白斑のいわゆるウシ柄の牛。欧州では、肉乳両用として飼育されており、フリーシアンの呼び方がやや優勢だが、ホルスタインはホルシュタイン公国(後にプロイセン王国に編入されるが、当時はデンマーク王領)にちなむため、プロイセン王国ではホルスタインと呼称する。

【大豆】
種子を食用などにするマメ科の植物。根粒菌が共生していて、これが窒素固定(窒素肥料を生産)するために痩せた土地でも育つ。当時は、日本を経由して伝わっていたが、肥料や飼料としてしか利用されていなかった。SOYの語源は醤油である説が有力。油をとるために大量栽培されるのは、もっと先の時代。牛の飼料としては現代でも(油の搾りかすの場合も多いが)与えられている。

【味噌、醤油】
大豆を麹で発酵させた調味料。麹は、穀物にカビを中心に微生物を繁殖させたもので、カビ毒を生産しないことが最重要。ニホンコウジカビ、ショウユコウジカビは、日本固有のため、国菌に指定されている。エイミーが作り方を知っていたとしても、ほぼ製造不可能。

【岩塩】
鉱物として産出する塩の塊のことで、岩石名でもある。地殻変動などで、海水が地中に閉じ込められるなどして結晶化した化石ともいえる。これを採鉱(当時は乾式採取法のみ)して利用する。実は、岩塩のまま使えるのは稀で、作中のように溶解、再結晶化しているコモンソルト(お持ちの製品のラベルに溶解・再結晶と書いてあったらこれ)も多い。

【乳鉢】
スパイスなどをすり潰すための鉢。すり鉢とは、櫛目(みぞ)がないこと、陶器ではなく石製が多いことが違う。世界各地でかなり古くから使用されていた。

【にがり】
塩化マグネシウムを主にする食品添加物。塩を作成時に、塩化ナトリウムが先に結晶化するため、残った液体部分に含まれ、苦味成分として除かれる。溶解、再結晶した塩では、後から添加することもある。

【豆腐】
大豆を絞った豆乳を固めた食品。チーズの代用品として発明された、という説もある。凝固剤にニガリを使うと、その苦味が甘さを引き立てる役目をする。大豆をすり潰した呉を煮てから豆乳を絞る製法が主だが、呉を絞ってから煮る生絞り製法もあり、より雑味が少ないと言われる。なお、生絞りの場合、雑味を嫌うため、皮や芽を取り除くが、エイミーはそれを意図していないので、行われていない。当時は、すでにイギリスに製法が伝わっていたが、ブームになるのは、ずっと先の時代。

【銃口の跳ね上がり】
銃を撃つ、と銃口が上方向へ跳ね上がるように見える運動のことで、実は上方向ではなく、回転運動。銃口(銃身)の延長線が銃の重心と重なっていないことが原因。大抵の銃は、銃身のラインより下に重心がきているために発生する。つまり銃身と重心が合えば、理論上は銃口の跳ね上がりは発生せず、命中率を向上できる。このコンセプトで製作された国際競技MP-8用ピストル「MC-3」は、あまりに好成績を収めたため、国際試合のレギュレーションが変更となり、使用不可となった。エイミーのホウキは付属物が少なく、期せずして銃身と重心が合っているため、銃口の跳ね上がりがなく、命中率が高い。

【油揚げ】
薄切りにした豆腐を油で揚げた食べ物。一般的には、二度以上に分けて揚げるが、エイミーは知らずに一度でやったため、膨らみの率が悪かった。狐の好物といわれるのは、ネズミの天ぷらが転じた、という説もある。

【ケーニヒスベルク】
当時は、プロイセン王国の都市の一つ。ケーニヒスベルク風肉団子煮が名物。現在ではロシア連邦のカリーニングラードとなっている。

【カタクチイワシの塩漬け】
カタクチイワシを塩漬けにした食品。アンチョビは、塩漬けにした食品名ではなく、カタクチイワシそのものの英語名称。ただし、日本では塩漬けのみをアンチョビと呼ぶ場合が多い。煮干しや魚醤もカタクチイワシでつくられる場合がある。魚醤は、魚を塩漬けにして、魚のタンパク質が発酵で分解されて旨味となった調味料。タイのナンプラー、ベトナムのニュクマムが代表的。独特の臭いがするが、加熱で消えやすい。
本作で魚の端が崩れている、と表現したのは発酵によるもので、オバちゃんはより旨味の強いアンチョビの塩漬けを求め、長期貯蔵で発酵したものを選んで使用した。

【ハンバーグ】
ひき肉を捏ね焼いた料理。タルタルステーキ(生肉料理)を焼いた料理として、古くからあり、発明されたハンブルグにその名が由来する。ただし、これはアメリカでの呼称で、プロイセン王国では、フリカデレと呼ぶ。

【ショウガ】
ショウガ科の植物。根茎を食用や生薬として用いる。はるか昔に伝わっていたが、食用にはほぼ使われない時期が長かった。その後、コショウと共に需要が増え、当時は、西インド諸島で栽培されたものが使われるようになっていた。

【ダシ醤油】
醤油に出汁の旨味を加えた調味料。醤油にカツオ節などを加えて加熱したものと、漬けただけのものがある。本作のソイ用ソースは、煮干しや魚醤の原料ともなるカタクチイワシの旨味、魚の風味、鶏スープの旨味、スパイスなどで、似た風味のソースとして原形ができた。今後もオバちゃんたちにより改良が進められる。

【湯葉】
豆乳を加熱して、タンパク質と脂肪を熱で変性して膜にした食品。とりだしたままを食べる、くみ上げ湯葉は、製作所そばでないと食べられないため珍重される。

【バイエルン】
ドイツではバイエルン州だが、当時は、神聖ローマ帝国のバイエルン選帝侯領で、プロイセン王国とは別の国。シュバイネハクセが名物料理。

【ホースラディッシュ】
根を食用とするアブラナ科の植物。山ワサビなどの呼び方もされ、市販のローストビーフに小袋としてついていることが多い。ワサビとは、辛味成分がグルコシノレートで同じだが、香り成分が異なる。ヨーロッパでは主に薬用として用いたのに対し、プロイセン王国では食用としたため、フランスでは今でも「ドイツ人の辛子」と呼ぶ。非常に生命力が強く、庭に植えると大繁殖するので、プランターでをお勧めする。

【テリヤキソース】
本来の照り焼きは、醤油ベースの甘いタレを塗りながら焼く調理法。これに対し、テリヤキソースは、照り焼きで使うような醤油ベースの甘いタレであり、塗りながら焼くという工程はない。土井善晴氏が、このタレを使って鍋で肉、魚を調理する鍋照りを提唱したり、モスバーガーがこのソースのハンバーガーで、テリヤキバーガーを発売したことで、海外にも浸透した。

【ウナギ】
ウナギ科の総称。ヨーロッパでは、川魚として、ナマズと合わせて好まれて食べられている。ハンブルグでは、ぶつ切りにして、野菜やドライフルーツなどと煮たアールズッペが名物料理。燻製にしても、食べられている。血にはイクチオヘモトキシン(タンパク毒なので加熱で無毒化する)があるので、生食は厳禁。なのだが、厳密な血抜きをすることで、生の昆布締めなどを提供する店舗も存在するが、良い子はマネしちゃダメ、絶対!

【ガレット】
フランス発祥のクレープの原形となったソバ粉でつくられる料理。塩味の丸く焼いた皮に肉や魚を乗せて折りたたんで食べる。偶然焼けた石(ガレ)の上で薄く焼けたことから、ガレットと呼ばれるようになった、という説が有力。当時は、既に小麦粉の甘いクレープの方も開発されている。

【ローマ】
後のイタリアの首都。はるか昔にローマ帝国は滅び、当時はもうローマ教皇領でもないのだが、今後の物語に深く関わるために、詳しくは語れない。

【クスクス】
世界一小さなパスタとも呼ばれる北アフリカ発祥との説が有力な食品。ローマには、移民してきたユダヤ人経由で伝えられた。フランスに植民地から伝わるのは、もう少し先の時代。生のクスクスは蒸すが、この学園では一度、蒸したクスクスを乾燥させた物を使っている。現代のクスクスには、熱湯を加えて混ぜるだけで食べられる製品もあり、アウトドアでも扱いやすいので、お試しあれ。

【ラーメン】
アルカリ性のかん水などを加えた中華麺を使用した麺料理。かん水が小麦のグルテンを変性してコシを出すのが他の麺料理にはない特長。沖縄には、ガジュマルやデイゴを燃やした灰(アルカリ性)を入れた水を、かん水代わりにしてつくった木灰ソバがある。

【アイスクリーム】
乳製品を凍らせた氷菓の一種。冷却時に空気を取り込むように攪拌することで、滑らかにしている。魔法がなくても、紀元前から雪などで果汁や乳製品を凍らせた、もしくはそれらで味付けした氷菓が存在していた。作中でエイミーが参考にしたコールドストーンアイスは、コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン社が提供する冷却した御影石の上でアイスとトッピングを混ぜ合わせる物ではなく、テレビで見たタイ屋台でのアイスクリームロールの方。ハピロール・アイスクリームメーカーは、冷凍庫で凍らせたプレートで、手軽に同じようにロール状のアイスクリームをつくれるので、保冷さえできれば野外でもできるので、お勧め。

【ホットサンドイッチ】
パンに具材を挟み、焼いた料理。サンドイッチの起源は諸説あるが、一世紀くらいから料理法として存在すると言われている。これを加熱したクロックムッシュなどとしてホットサンドイッチが発明されるのは、ずっと先の時代。ホットサンドメーカーを使うと、アウトドアでも手軽にパンだけでなく、冷ご飯を焼きオニギリにできるので、お勧め。

【コロッケ】
茹でて潰したジャガイモにパン粉をつけて揚げた料理。ベシャメルソースを使った所謂クリームコロッケに近いクロケットが発明されるのは、まだ先の時代。これが、日本に持ち込まれ、ジャガイモを使ったコロッケになるのは、ずっと先の時代。多くのお肉屋さんのコロッケが、冷凍品になって久しいのは残念。パンを持参してのソースまみれの自作コロッケサンドの味は奇跡認定してもいいと思う。

【ガトリング銃】
複数の銃身を束ね、回転させて連射する銃。複数銃身の構想は、火縄銃時代からあったが、薬莢式が発明されて後、実用的になる。発明されるのは、少し先の時代。

【薬莢】
弾丸と共に、発射用火薬を包み込んだ容器。それまでの、火薬を詰め、弾を詰めという前装式から進化、ブレークスルーするための技術のひとつ。金属製になると、湿気等から火薬を保護する機能なども有することとなった。実際には、火薬を発火させるための雷管などが必要になるが、エイミーは仕組みを知らないため、魔法で≪燃えろ≫することにより、薬莢を採用しようと考えた。発明されるのは、少し先の時代。

【ライフリング】
銃身内部に刻む螺旋の溝。この溝により、円錐形の弾丸を横回転させて、回転軸保存性を高めて、弾丸の直進性を高める。つまりは、命中率を上げる。アイディアとしては、以前からオーストリアで発明されていたが、円錐形の弾と薬莢と組み合わされることで、日の目を見るのは、少し先の時代。

【燃焼薬莢】
薬莢を紙などの燃える素材でつくったもの。薬莢を取り出す排莢の動作を省略できる。発明されるのは、少し先の時代。しかし、現在でも、排莢を省略したがために、不発だった弾を抜く機構がない、という矛盾を解消できていない。

【スピードローダー】
弾薬を短時間で装填するための器具。リボルバータイプの拳銃用が映画などによく取り上げられている。それ以外もあるのだが、エイミーが知らないため、本作のガトリング砲用は、銃身の束に合わせてリボルバー用のローダーを大きくしただけの物。

【ライオットシールド】
機動隊などが装備している全身を覆える長方形の盾。透明のポリカーボネートを使うことで、視界の確保、軽量化を図っている。遙か古代から、この形状の盾は実戦投入されおり、運用方法なども洗練されている。

【装甲車】
装甲を施して、銃撃などへの防御力を向上させた車両。紀元前には、ウォーワゴンという移動型の要塞を馬で引く物があったが、エイミーが考えているのは、これの簡易版とも言える。

【鎖帷子】
金属を輪にした物を繋いだ鎖で製作した防具。金属板の鎧に比べて軽く柔軟で、皮鎧に比べ堅牢なのが特長。また、防刃効果は高いが、刺突に弱いため、防弾効果は弱い。ナンシーが身に着けて戦場に行くのは、傭兵隊(警備隊)の突撃班に所属しているため。

【人造繊維】
化学合成などで人工的につくられた繊維。天然繊維に比べ、強い引っ張り強度などの物性を持つ。ケブラー、ナイロンは、デュポン社の商標。発明されるのは、先の時代。

【迷彩模様】
敵に視認されるのを防ぐための模様。周りに溶け込むような色合いで、緑が中心の森林迷彩(広葉樹が多い地域ではオレンジを混ぜた物もある)、茶色が中心の砂漠迷彩、白が中心の都市迷彩、雪用迷彩などがある。近年では、ドットでのデジタル迷彩が主流になっている。船舶の幻惑迷彩は、目立たせなくするのではなく、進行方向などを誤認させる効果を狙っているので、他の迷彩とはまったく目的が異なるので注意。発明されるのは、少し先の時代。

【ギリースーツ】
迷彩模様を施した服の一種。狙撃手などが使う、全身もしくは上半身を覆い木の枝・葉・細く切った布などを立体的につけ、より視認されにくくなっている。その分、移動し辛いデメリットがある。猟師がすでに発明していたが、戦争で使われるのは、少し先の時代。

【片栗粉】
元々はユリ科の植物カタクリの地下茎からつくった澱粉。安価なジャガイモの澱粉に取って代わられたが、名称は残った。片栗粉は、エイミーにとっては澱粉の総称。

【ダイタランシー効果】
液体に力を加えると固体になる現象。水と片栗粉を混ぜた上に立つと沈むが、足を叩きつけるようにすると走れる、という例がテレビなどで取り上げられて有名。エイミーが「ダイ」だけでも覚えていたのは奇跡的。発見されるのは、もう少し先の時代。

【リキッドアーマー】
ダイタランシー効果を利用した、普段は中身が液体で柔軟だが、衝撃が加わると固化する装甲。現在も開発中。エイミーのつくったのは、防御より冷却効果を期待した物となっている。

【防災頭巾】
綿などを詰めた長方形を二枚組み合わせて、頭部を守る防具。対衝撃力は綿なので弱い。難燃性素材を使用したり、水を含ませたりして、対火災としての性質が強い。防空頭巾として発明されるのは、ずっと先の時代。

【畳めるヘルメット】
携帯、保管スペースを小さくするように折り畳めるようにしたヘルメット。防災用品として複数発売されている。ただ、畳んでしまうと災害時に見つけ辛い、日常の携帯は困難、ヘルメット着用のタイミングは少ない、など実用性には疑問がある。

【前衛芸術】
保守的な芸術に対して攻撃的、芸術としての常識を壊すような傾向で、シュールレアリズム・抽象絵画のこと。言葉が使用されるのは、ずっと先の時代。

【肉ジャガ】
肉をジャガイモ、タマネギなどの野菜を醤油と砂糖で甘辛く煮た料理。東郷平八郎がイギリスで味わったビーフシチューを艦内での食事にしようとつくらせてできたのが発祥という説がある。一方、知らない料理であるならば、すき焼きと同じにするはずがない、すでにハヤシライスがあったからつくれたはず、などから俗説との意見もある。軍のレシピで確認できるのが千九百二十八年なので、この前に発明されたと考えられる。すき焼きが割下によって煮る料理になったのが千九百二十三年以降なので、煮るすき焼きを知らなかった可能性は高い。日本でデミグラスソースをフランス料理人が使いだしたのが千九百年代初期なので、知らなかった可能性も高い。

【缶詰】
金属製の缶に、食品などを殺菌状態で密封する貯蔵方法。ナポレオンの「食料の長期保存、運搬を容易にする方法」の懸賞に応募するために発明され、採用された。先に発明された瓶詰に比べ、軽くて破損しにくい大きな特長があった。当初、フタの接着に鉛入りのハンダが使われていたため、鉛中毒による死亡。殺菌が不十分なための破裂による怪我などが発生した。発明されるのは、ほんの数年先。

【瓶詰】
ガラス製の瓶に、食品などを殺菌状態で密封する貯蔵方法。ナポレオンの「食料の長期保存、運搬を容易にする方法」の懸賞に応募するために発明され、採用された。後に採用された缶詰に取って代わられたが、フタをし直せる、中身が見えるメリットから、今だに利用され続けている。ボツリヌス菌の萌芽は、百度では六時間以上加熱しないと死滅しないため、自家製瓶詰の食中毒原因である。つまりエイミーの保存法は、不完全であった。

【ソーダ灰】
炭酸ナトリウムのこと。ルブラン法により、大量生産が可能になった。ガラスの材料であるケイ砂に混ぜる、と融点(千六百五十度)を千度まで下げることができ、加工が容易になる。しかし、水溶液になってしまうのを防ぐために、酸化カルシウムを加える必要が出る。

【生石灰】
酸化カルシウムのこと。水を加えると発熱するのを利用して、温められる弁当や缶入りの酒などがある。また、火が出ないため、ガス漏れの恐れがある災害後に、粉ミルクをつくるためのお湯を沸かすなどの防災グッズもある。仙台の牛タン弁当、神戸のすき焼き弁当、横浜のシウマイ弁当(発売終了)などがあるが、匂いが広がるため、混む時間帯の新幹線で食べるには勇気がいる。なお、ライン引きが生石灰というのは、エイミーの勘違い。以前は消石灰(水酸化カルシウム)であったが、現在は安全性の問題から炭酸カルシウムになっている。

【軍事教育】
兵士に対して、戦闘だけでなく、作戦を遂行するために様々な知識などを教育すること。この時代、プロイセンでは参謀本部制度の産みの親であるゲルハルト・フォン・シャルンホルストにより、将校訓練が行われていた。この後は、世界に先駆け陸軍大学校が創立されることとなる。

【加圧調理器】
圧力をかけることにより、ボイル=シャルルの法則により百度以上に加熱し、短時間で調理を終わらせるための調理器。ドニ・パパンがプロイセンに来る前に発明。動物の骨まで柔らかくできる、という宣伝文句だったが、巨大なため、普及はしなかった。本作では、発明からしばらく後、プロイセン王国のマールブルク大学教授となってからも何台かつくったが、売れ残りを学園が引き取った、という設定。

【滅菌法】
食品、傷口などが腐敗するのを防ぐために、微生物・ウィルスなどを不活性化する手法。当時は、顕微鏡が発明されて、微生物も発見され、腐敗の一因とわかっていた。しかし、生物は無からも発生する、という自然発生説が信じられていたため、菌(ウィルスは発見されていない)を殺しても、また無から発生する、と思われていたので意味を見出されていなかった。パスツールにより、滅菌の概念が発明されるのは、もう少し先。ボツリヌス菌の萌芽は、百二十度四分の加熱で死滅する。このため、本作の瓶詰は、調理時間を短くすることを目的として加圧調理器を使うことで、偶然だが完成度の高い保存法となった。

【ボイル=シャルルの法則】
体積・温度・圧力に関する法則。ボイルの法則・シャルルの法則・ゲイ=リュサックの法則を組み合わせたもの。圧力が高まれば水の沸点が高まり百度以上になる、逆に高山などで圧力が低くなれば沸点が下がる、などを説明できる。この時代、ボイルの法則、シャルルの法則は発表されていたが、ゲイ=リュサックの法則は未発表のため、ボイル=シャルルの法則という言い方は存在しない。

【カップ麺】
お湯を入れただけで食べられる器付の食品。丼に入れるチキンラーメンを、丼のない海外に展開するために、器に入れた。器を料金に含むため、割高で当初販売は苦戦したが、あさま山荘事件で包囲する機動隊に寄付され、食べるシーンがテレビに流れたことから、売れ出した、という逸話がある。また、麺を籠で揚げる方法は、発明者が夢で見た、という逸話もある。発明されるのは、ずっと先の時代。

【カレー】
様々なスパイスを組み合わせたインド料理。植民地であるインドから、イギリスに伝わり、貴族のパーティー料理を請け負うC&B社がミックス・スパイスとして、カレー粉を開発した。これを一般向けに発売したことから、カレーが普及した。本作のカレーは、肉ジャガの作りかけ(こんにゃくは入っていない)に、エイミーがルーを作る知識がなかったため、直接カレー粉を入れ、小麦粉ではなく、片栗粉でトロミをつけたもの。小学生が初めて野外でつくるカレー程度に思っていただきたい。

【高野豆腐】
凍結させた豆腐を解凍、乾燥させた食品。豆腐を冬に野外に出したら、製法が発見された、という説がある。しかし、野生動物が多い時代に、貴重な食料を野外に一晩放置することがありえるかは疑問。

【謎肉】
カップヌードルの具として入っていた(現在も他商品には入っている)四角い肉で、正式名称はダイスミンチ。豚肉をベースにした小さなハンバーグに近い物。愛好者が多く、2017年7/29-8/31の期間限定、カップヌードルミュージアム限定、一日二十九食限定で、謎肉丼が発売されていた。

【ブラウンシュヴァイク=リューネブルク公】
カール・ヴィルヘルム・フェルディナント。当時、ブラウンシュヴァイク=リューネブルクの領主。現在もドイツのベルリンにあるブレンデンブルク門は、彼を先代国王が「プロイセン軍最高の軍師」と称えて建造させた、という説がある。

【ビット】
中心に火薬、その外側の層に脂をつめた木の球。≪動け≫などの授業で使った物を改造した。魔法で宙を舞わせ、敵からの銃弾を防ぎ、更に爆破炎上させることで、敵の進撃を止める。某ガンダムのビットから発想して命名。ちなみに、フェンネルは、更に小型でジェネレーターを積んでいず充電式の違いがある。ので、使い捨て感があるフェンネルの方が命名としては正しいのかもしれない。

【ブラウンシュヴァイク宣言】
フランス革命中、マリー・アントワネットが、捕らえられたルイ十六世を救うために、駐仏オーストリア大使を介して、プロイセン=オーストリア連合軍最高司令官ブラウンシュヴァイク=リューネブルク公に配布させた宣言書。ルイ十六世に危害を加えたらパリを破壊する、という強迫文。これに激昂した人々によって、より激しく王制廃止へと突き進んでいく。

【師団】
軍隊の編成単位。指揮官以下、幕僚を有する。つまり独立で、作戦立案をし、それを実行できる最小単位。
プロイセンは、この戦争で初の師団制をとったが、命令系統が不明確など、まだまだ運用しきれていなかった。

【消毒】
傷口などに感染した細菌等を無害化すること。
パスツールが(無からではなく何かの)汚染によって腐敗が生じる現象を発見、コッホが細菌を発見、ナイチンゲールらが清潔な環境が治療に重要と提唱した。これらからリスターは、手術傷の化膿は細菌が原因、と考え器具や手術部位を消毒し、実証するのは、もう少し先の時代。ちなみに、口腔洗浄液リステリンは、リスターの功績を讃えての命名。

【穴焚火】
地面に穴を掘り、その中で薪などを燃やすこと。風の影響を受けにくく、光量を調整できるなどのメリットがある。自然環境の破壊になる、という主張には、山切り開いてキャンプ場つくっておいて今更、とも思えるが、禁止は禁止。ちなみに、焚火より七輪で黒炭派。

【湿潤療法】
傷が化膿しないよう、消毒および乾燥させる従来の方法とは異なり、患部組織の細胞も殺す消毒をせず、また乾燥は組織の再生を遅らせるため、患部を湿潤状態にする皮覆材で保護する治療法。具体的には、キズパワーパットなどがそれで、傷跡が残りにくく、回復も早い、と言われている。ただし、異物(砂など)や壊死組織(剥がれた皮膚など)を除去しなければ感染症の危険があるので、前処理の洗浄は、消毒と変わらずに痛い。

【サイドサドル】
女性が横座りで馬の鞍(サドル)に騎乗する方法。そもそも女性は、キュロットスカートが発明されるまでは、スカートしか服装の選択肢がなかったので、すべての女性が横座りで騎乗していた。なお、横座りだと、足が馬体の片側のみに集まるので、逆側での扶助(馬への合図)のために、長い鞭を用いる。ローザ先生の趣味ではない。ちなみに、西部劇で見る重量感のある鞍は、ウェスタン式でアメリカ発明。ヨーロッパではもっと華奢なブリティッシュ式が主流。

【軍馬】
戦闘の騒音に脅えない、などの特殊な訓練を受けた馬のこと。歴史的に、重装備の騎士を乗せる大型の馬から、銃の発明により軽騎馬へ、と移り、車両の発達で衰退していった。サラブレッドは、当時すでに品種として確立されていたが、まだ大量生産には至っていなかった。ちなみに、よく見る絵画「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」の馬マレンゴは、純血のアラブ馬。

【ドクロマーク】
人間の頭蓋骨と交差した大腿骨を組み合わせたマーク。死や危険の象徴として、古くから使われ、当時はすでに軍旗・海賊旗として使用されていた。古くから、中二病気質の琴線に触れるマークのようだ。

【拍車】
拍車をかける、の語源。古代から騎馬に、脇腹の刺激で後足が動くのを利用して、前進を促す扶助(合図)道具。西部劇で視る突起の先に円盤がつく輪拍は、アメリカで発明。ヨーロッパでは、突起だけの棒拍が主流。また、ヨーロッパでは騎士の叙勲時に授与されるなど、重要だったが、日本では鞭が主流で、明治に輸入されるまで使用されなかった。戦国時代に、拍車をかけてはダメ。

【ロシアと合流】
開戦前、軍を国内から動かさず、ロシアからの援軍を待ち、フランス軍を迎え撃つ、という作戦が提示されていたが、消極的すぎるとして採用されなかった。プロイセン上層部は、ルイ王子戦死の報で撤退およびロシアとの合流を再検討し始める。そして、ナウムブルクが陥落したことで、撤退を決意し、そこをフランス軍に追撃され大敗。領土と国民の半分を失う発端、となる。ところを本作では、ルイ王子が生き残った。
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