【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した

まみ夜

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1805年/秋

魔法発動方法

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 この世界の魔法は、誰にでもつかえる。
 誰もが持っている、世界を改変する魔法回路(プロセッサ)を世界につなぐだけだ。
 ちなみに、この魔法回路(プロセッサ)がどこにあるかというと、「心」はそこにあるのです、くらいの感じだ。
 確かにあるのだが、目には見えないし、触られない。
 誰にでもある代わりに、使いこなすには、一種の才能が必要なのだ。
 例えば、チェスのルールで遊ぶことは、誰にでもできる。
 しかし、二十手三十手先を読めるのは、数が限られて来る。
 更に、百手ニ百手を一瞬で、となると。
 そういう才能だ。
 ロウソクに火をつける程度であれば、誰でも使えるが、雨に当たらないようにして、更に歩ける者は、数が限られる。
 魔法より、雨具を使った方が、ずっと楽なのだ。

 魔法の使い方は、こうだ。
 巻物(スクロール)に、魔法として起こしたい現象(スペル)を書く。
 このスクロールにスペルを書く、は実物への行動ではなく、魔法回路(プロセッサ)が目に見えないのと同じで、概念(イメージ)的なものだ。
 記憶に刻み込む、という感覚が、微かに近いかもしれない。
 これを魔法変換(コンパイル)する。
 と、魔法回路(プロセッサ)が変形する。
 えーと、耳を動かすくらいの感じ、ぐらいしか似た感覚がない。
 このプロセッサを世界につなぐ(キャスト)と、存在力(リソース)が流れ込んで、魔法が発動、世界を改変する。
 幽門が開いて、満腹のお腹が楽になるような感じ?
 リソースは、物質を存在させている力で、魔法を使おうとする人間の近くから消費される。
 リソースが失われると、その存在は、消滅する。
 つまり、魔法を使いすぎると、その人は(魔法の規模によっては、周りを巻き込んで)消える。
 もちろん、リソースは、時間とともに回復するが、一番気をつけなければいけないこととして、一番初めに習う。

 魔法は、これまで感覚的に使っていたので、こういう風に体系づけて理解できたのは、前世(?)の記憶のおかげだ。
 でもむしろ、文字も知らないのに(イメージだけで)スペル書く幼児って、すげーかも。

 魔法の才能は、随所に影響する。
 スクロールにスペルを書く早さ。
 スペルをどこまで、細かく書くか。
 (風よ吹け、東から西に風よ吹け、で効果が異なるが、今回必要な記述かの判断力だが、魔法よりは知性か?)
 コンパイルの柔軟さ。
 (記述ミスをどう許容するか、水よ凍れでコンパイル可能か、水の範囲を指定して温度を 何度下げるスペルでないとコンパイルできないか、など。スペルの内容によっては、コンパイル・エラーが発生して魔法が失敗する)
 プロセッサ変形の早さ。
 リソース消費の効率。

 一般人が、火をつけるため、スクロールにスペルを書くところから始めると、目を閉じ動きを止めて集中し、五分程度かかる。
 この学園に入学した子供たちならば、五秒程度でできるようになる。
 もっとも、実は、魔法を使うために、毎回プロセッサを変形させる必要はない。
 いつも同じ魔法を使うのであれば、プロセッサの変形を保持(プレキャスト)できる。
 つまり、一般人であっても、火をつける魔法をプレキャストしていれば、一瞬だ。

 ここで問題になるのが、プロセッサの数だ。
 数が多ければ、プレキャストできる魔法の数が増える。
 人は平等でない、という証明だ。
 一般人は、ほとんど一つ。
 学園入学生ならば、三つ以上。
 さて、俺のプロセッサは四つ。
 しかも、一つは、壊れてしまっていた。
 どうやら昨日、頭をぶつけたのが、原因らしい。
 この学園は、肉体の損傷などでの魔法喪失治療の研究が進んでいるので、治ることを期待したい。
 プロセッサの損傷は、人生変わるくらいの一大事、しかも魔法学園に入学しているのだから、もっと大事件なのだが、魔法の使えなかった前世(?)の記憶のせいか、あまり気にならなかった
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