【完結】中身は男子高校生が全寮制女子魔法学園初等部に入学した

まみ夜

文字の大きさ
上 下
74 / 90
1806年/秋

≪特異点≫

しおりを挟む
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
 キョロキョロ、と周りを見渡す、と真っ白い。
 夢か?
 負傷した馬鹿王子を、今夜は安静にして動かしたくない、というマーサー先生の判断で野営し、俺たちは交代で仮眠をとっている。
 昨日は戦闘で大変だったし、今日も夜明け前から逃避行で大変だ。
 夢の中とはいえ、寝たい。
 ので、夢の中で、横になった。
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
 無視して、眼を瞑る。
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
『これを見ている、ということは、歴史の特異点にいるようだね』
 だー、うるさい!
 そこには、いつの間にか、二十代半ばから後半の青年が立っていた。
 日に焼けた細マッチョで、現代でいうところの、アスリートっぽい。
「録画された映像か?」
『残念ながら、これは記録映像みたいなもので、質問には答えられないんだ』
 俺が声を出したことで、映像が進み始めたのか、ズレた問答に、イラっとする。
 第一声は、「お前は誰だ」とか、「ここは何処だ」とかを想定していたのだろう。
 誰だ?
『これは、未来の子孫に、未来を救ってほしくて、残したものだ』
 未来の子孫?
 それって、俺か?
 ってことは、ご先祖、と仮称で呼んでたけど、本物のご先祖?

 俺は、夢の中(?)だというのに、頭痛を覚えて、頭を抱えて、しゃがみ込んでいた。
 ご先祖の記録映像のせいだ。
 ご丁寧にも、オートリピート機能付きで、只今も絶賛無限ループ中だ。
 うるさいが止められない、とも言う。
 記録でのご先祖の主張は、

・俺の前世の記憶ではなく、ご先祖自身の記憶
・記憶にある魔法のない世界から、この世界の俺がいる時代より、更に過去へ迷い込んだ(異世界転移?タイムスリップ?)
・日本語で書かれた本を見つけ、それには(俺が学校でも習った)魔法の使い方が書いてあった(誰が書いた?)
・魔法が使えるようになり、魔法を周りにも教えていたら、断片的な未来が視えた(本当に未来か?)
・ドイツが世界大戦で世界を滅ぼす
・歴史改変の特異点が俺のいる「今」であり、歴史を変えるための知恵(ご先祖の記憶)を空間固定し、子孫(俺)に繋いだ
・この映像も空間固定された情報に含まれ、プロセッサが一つ使えないのは、情報につながり続けているため
・後は、よろしくガンバって

 はい、ほとんど謎、解明。
 って、自分がやらかした歴史改変の尻拭いを子孫にやらせるなよ、ご先祖!
 うん?
 ご先祖が異世界から来たのなら、歴史改変ではないのか?
 ご先祖の映像が二十代なのに、高校生までしか記憶(記録)がないのは、空間固定とやらの容量がいっぱいだったからだろうか。
 それとも、こっち(異世界?過去なだけ?)に来る、と記録に残せない?

 情報には、ご先祖が視た、という今後の未来予想が補足されており、この戦争で大敗し、領土も国民も半分になった後、悲願の祖国開放戦争のため、急速に軍事化が進み、その果てに世界大戦で勝ち進むのだ。
 世界滅亡に向かって。

『ルイという名の人物の死が、領土と国民を半分にする敗戦と、その後の軍事化の引き金となるらしい』
『彼を、ルイを守ってくれ』
『銃で撃たれるのが視えた、盾となれとはいわないが』
『ちゃんと撮れてるかな、不安だな』
『備えあれば患いナシとも言う。俺の知識を使って』

「うっさい、オッパイ原理主義者のくせに!」
 俺は、無限ループで語り続けるご先祖の映像を、無駄と思いつつ、八つ当たりで蹴った。

『頭にくるのは、仕方がない。俺も、運命には、怒りを覚えた経験があるからね。だけど、』
 映像が進んだ。
 蹴られるの予想していたのか?
『俺が愛した人たち、君が愛している人たち、そしてその子供たちを救ってやってくれ』
 実家の両親の顔が浮かんだ。
 ご先祖の記憶が蘇ってから、ちゃんと話してないな。
 学校の、ヤパンの使徒の、顔が浮かぶ。
 でも、自分で、ナニ言っているのか本当に、わかっているのか、ご先祖?
 馬鹿王子が生き残れば、そのために死ぬ人々が出るってことを。
 世界は、ご先祖と俺に滅ぼされるのかもしれないんだぞ。
 それに、ご先祖の家族は、そして、この俺は、どうなるんだ?
「あーあ、わかった、やるよ、やる。まかせろ」
 そもそも、ヤパンの使徒から、プロイセンが戦争で負け、領土と国民が半分になるのを防ぐ、と聞いたときから、覚悟は決めていたのだ。
 映像のご先祖は、聞こえもしないのにニッコリ、と笑い、
『途中で蹴られて、大事なことを伝え終えていないかもしれないから』
『残念ながら、これは記録映像みたいなもので、質問には答えられないんだ』
 また、最初から語り始めた。

『俺が愛した人たち、』
『俺が愛、』
『俺が、』
『俺が、』
『俺、』
『俺、』
『俺、』
『お、』
『お、』
『お、』
『俺、』
「ウザがられるのも予想しとけ!絶対領域は、ミニスカにしか適応を許さないくせに!」
 蹴るたびに、蹴られたバージョンへ移るのにイラつきながらもゲシゲシ、とご先祖を蹴り続けた。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

PMに恋したら

秋葉なな
恋愛
高校生だった私を助けてくれた憧れの警察官に再会した。 「君みたいな子、一度会ったら忘れないのに思い出せないや」 そう言って強引に触れてくる彼は記憶の彼とは正反対。 「キスをしたら思い出すかもしれないよ」 こんなにも意地悪く囁くような人だとは思わなかった……。 人生迷子OL × PM(警察官) 「君の前ではヒーローでいたい。そうあり続けるよ」 本当のあなたはどんな男なのですか? ※実在の人物、事件、事故、公的機関とは一切関係ありません 表紙:Picrewの「JPメーカー」で作成しました。 https://picrew.me/share?cd=z4Dudtx6JJ

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...