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五話 サイド美夏

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サイド美夏
入学以来、彼の夢は、見なくなっていた、学校に慣れる事で精一杯で、あっという間に一年がたち、高校生活で最初で最後のクラス替え、ウチの高校は、二年生から三年生は、持ち上がりでクラス替えはない、高校生活の半分以上を一緒に過ごすクラスメイトである、仲良くできればいいな、と思いながら、2年I組の教室に入る、生徒はまだまばらで、すくない、私は黒板に貼られ席順表を見て、自分の席を確認する、やっぱり、アイウエア順だった、廊下側の前から二番目、大体予想していた通りだ、ふと、席順表の私の前の席の名前にめがとまった。
そこには、相原の文字があった。
でも、私は首を振り、
「ありえないな、」
そして、自分の席にすわる。腕の時計に目をやる始業式までには、まだ時間ある、かばんから文庫本を取り出し読み始めた。
しばらく読み進めているとふと、前の席に人が座る気配を感じ、顔を上げる、そこには大きな背中が見えた、だが、顔は見えない、やはり、私は相原という、名前が気になっていたのか、前に座る彼の顔を見たいという衝動にかられる、1分、1秒が過ぎるたびにその思いは、どんどんましていき、わたしは、それが押さえきれなくなり、彼の背中を叩いていた、
「はじめまして、井口といいます、二年間よろしくね」と笑顔を作り彼が振り向くのをまった。
こちらに向いた彼の顔には、見覚えがあった、何度も見た夢の中の誠君だった、間違いない、彼は、誠君、相原誠君だ、
「相原だよろしくな。」そういった彼の声は、私が知っている彼の声より大人びた感じがする。そして何か熱いものが込み上げてくる。
「なんでお前泣いてんだ」と言う彼の声に気づき目に手をやる。
あれ、わたしの指先は、微かにぬれていた。慌てて、
「目にゴミはいっちゃった。」どう見ても苦しい言い訳だった。
彼は、特に反応もせず前を向いてしまった。
でも、同姓同名って事ないよね。
やっぱり憶えてないのかな、なら、今日から、始めよう、胸の奥のこの思いに蓋をしたまま、新しい気持ちで、新しいわたしで、新しい恋を始めよう。
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