青春-4つの物語-

Zero

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第3の物語「青春の悪夢」

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刑事さんが殺された翌日、俺に執着していた綿平良子が仲田秀哉と南原京花を監禁していたことを自白したらしい。動機は「充くんのため。」としか言ってないらしい。その事は櫻井刑事の同期の薄葉さんという人から聞いた話だ。
そして、後に仲田秀哉と綿平良子は『愛します同盟』というものを組んでいたらしい。目的は互いの好きな人と結ばれるためだ。

「執着女の末路」とSNS上で玩具にされている綿平さんは気持ちの整理がついていなく、時々、留置所で奇声を発するといった問題行動をしているようだ。

一方、京花は病院を退院した。そして俺は京花に気持ちを伝えた。

ミチル
 「俺、気づいたんだ。京花のことが好きだって…」
キョウカ
 「遅いよ、ずっと待ってたんだよ。」

俺は京花を優しく抱き締めた。

7月18日、いつの間にか7月の中旬だった。
2人で学校に行くと皆から祝福された。

ミチル
 「え?何で知ってるの?」

すると、クラスの男子が「お前ら2人の写真が出回ったんだよ」と言う。

俺が詳しく聴くとその男子生徒はスマホを見せる。そこには俺と京花が抱き合う写真だった。アカウント名は『HIRO』。もしかしたらこのアカウントは刑事さんの息子の広助くんじゃないかと思った。

そして、チャイムが鳴ると鹿羽先生が入ってくる。先生は教壇に立ち出席をとる。出席を取り終わったあと先生はチョークを取り黒板に文字を書いていく。

『青春』そう先生は書くと皆にこう質問した。

鹿羽 先生
 「青い春と書いて青春。じゃあこの対義語は?」
ミチル
 「赤い夏って書いてセッカとか?」
鹿羽 先生
 「…」
キョウカ
 「白秋…中年を指す言葉ですよね」
鹿羽 先生
 「さすが南原!」
ミチル
 「…で、それがどうしたんですか?」
鹿羽 先生
 「青春は今だけだ。」
ミチル
 「え?」
鹿羽 先生
 「青春っていうのは白秋の0段階。すなわち、準備期間ってことだ。」
ミチル
 「準備期間?」
鹿羽 先生
 「青春を楽しむことも大事。しかし、とことん悩め!悩んで悩んで、いっぱい悩め!そして、白秋を充実させろ、」
ミチル
 「悩む…」
鹿羽 先生
 「進路のことでも恋愛のことでも、部活のことでも良い。悩むことは、そこら中にある。」

「あの、ちょっと良いですか?」そう言ったのはクラスの中でもおとなしい性格の清若 菫(キヨワ スミレ)だった。

鹿羽 先生
 「ん?どうした?」
スミレ
 「SSK事件についてなんですけど」
鹿羽先生
 「…」
スミレ
 「犯人は捕まったんですか?もしかしたらこの学校に犯人がいるかも知れないんですよ?私たちは今、それが一番の悩み、不安なんですよ。」
鹿羽 先生
 「今、警察の人たちが全力で捜査している」
スミレ
 「犯人が捕まったか聴いてるんです!」
鹿羽 先生
 「…まだ捕まってない。」
スミレ
 「なのに生徒たちを学校に登校させてるって、おかしくないですか?」
鹿羽 先生
 「…」
スミレ
 「家でリモート授業させるとか方法は考えられないんですか?」
鹿羽 先生
 「それは…」
キョウカ
 「私たちのためだからこそ、学校に来させてるんじゃない?」
スミレ
 「は?私たちのためなら!」
キョウカ
 「私たちが安全かどうかを確認してるんじゃない?」
鹿羽 先生
 「…これは教頭の指示によるものだ。皆の保護者には電話で伝えてある。」
キョウカ
 「何かあったら私が守るから!」
スミレ
 「わ、分かりました。」
鹿羽 先生
 「因みに深山先生は、この事件とは別件で逮捕されました。」
スミレ
 「別件って何ですか?」
鹿羽 先生
 「それは…」
ミチル
 「先生、これは僕から伝えた方が良いかと」
スミレ
 「東山くん何か知ってるの?」
ミチル
 「あぁ、」

そんな会話をしていると
 「てかさ~!菫、めっちゃイキってるじゃん!」
そう発言したのは、このクラスのトップ層の金城 桃(カネシロ モモ)だ。

モモ
 「今日、めっちゃ話してるよね!何で?」
スミレ
 「だ、だから、心配で」
モモ
 「黙れよ、陰キャが」
スミレ
 「え?」
キョウカ
 「ちょっと金城さん!」
モモ
 「何?何か文句でもある?」
キョウカ
 「文句はない。ただ呆れてるだけ」
モモ
 「は?」
鹿羽 先生
 「おい!そこら辺にしとけ、」
モモ
 「…は~い!」

気まずい空気で終わったホームルーム、先生が職員室へと戻ると教室では乱闘が起こった。

モモ
 「あんたさ、私のこと馬鹿にしてんの?」
キョウカ
 「えぇ、馬鹿にしてるよ!」
モモ
 「陰キャのこと陰キャって言って何が悪いの?」
キョウカ
 「人が傷つくってこと、分かんないの?」
モモ
 「んなもん知るかよ!」

そう言うと金城さんは、京花を黒板に押し付け爪で顔を引っ掻いた。

キョウカ
 「イッタ!何すんのよ!」

京花の顔には爪の傷がついた。

そして、俺は西道虚の話を思い出す。虚くんの父と母は首に傷が付いた人に脅されていた。そして、深山先生の言ってたことを思い出す。

ミチル
 (確か、真島先生は一番上までボタンを絞めてたな。)

そう気づき俺は職員室へと向かった。

職員室にて…俺はノックも「失礼します」というテンプレも言わず真島先生の席の横へと向かった。

ミチル
 「真島先生!首を見せてください!」
真島 先生
 「…急に何だ、」
ミチル
 「いいから!首を見せてください!」
真島先生
 「…良いだろう。」

そう言い真島先生は一番上のボタンからはずしていく。そして、首を見せた。その首には傷が付いていた。

ミチル
 「先生、あなただったんですね…」
真島 先生
 「そうだ。俺がやったんだよ…。校長を」
ミチル
 「…え?校長を?」
真島 先生
 「さすが鹿羽先生の生徒さんだ!」
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