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プロローグ
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♠︎
それからおよそ30分程、矢継ぎ早な質問責めに遭った。
インタビュアーの役は水野さんで、隣の堂島さんは書記の役を担い、こちらが口にする回答をせっせとパソコンに打ち込んでいた。
ひととおり質疑応答が完了したところで、面接官たちはふたりして席を外した。
ひとりきりとなり、ようやく肩の力が抜けた。息を吐いて、深く項垂れる。
予期していたことだが、初対面の人間に向かって自分の性事情を包み隠さず打ち明けるのは、やはりかなりのストレスだった。こんなにも辱めを受けて不採用になったんじゃあ報われない。
しかし、これらの情報が一体どのような形で試験に関わってくるのだろう……。
想像するだけ無駄だとわかっていても考えずにはいられない。
思い返せば面接官たちのあの慇懃な態度もどこか不自然ではあった。心なしか常にこちらの顔色をうかがわれていた気がする。表向きは礼節な態度で接しつつも腹の中には何かしらの一物を抱えていたに違いない。そう考えると、あの愛想の限りを尽くした笑顔もなかなか不気味に思えてくる。
面接官たちが中座して、間もなく15分が経過しようとしていた。
出された飲み物もとっくに飲み干してしまい、手持ち無沙汰な時間を過ごしていたその時、ガチャリと扉の開く音が聞こえた。
反射的に背筋を伸ばして扉の方を向くと、そこにいたのはグレーのスーツを身に纏った壮年の男性だった。例に漏れず口元には愛想の良い微笑が張り付いている。ビジネスマンのイメージをそのまま投影したような風体で、堂に入った佇まいからはどことなく気品のようなものが滲み出ていた。
「どうも、桐生さん」
後ろ手に扉を閉めながら、男はにこやかに喋りかけてきた。低いが、よく通る声だった。
悠然とした足取りで、こちらに近づいてくる。
男がまとう独特な雰囲気に当てられて、思わず身が竦んだ。品の良い身なりと余裕ありげな態度から、ここではそれなりに身分の高い人間なのだろうと察しがついた。
「待たせてしまって悪いね。選考の結果が出るまで、もう少し時間がかかるみたいなんだ。それまでの暇潰しがてら、良かったら雑談に付き合ってもらえないだろうか」
面持ちはずいぶん柔らかだが、瞳の奥には値踏みするような鋭い光が宿っていた。
その申し出には戸惑いながらも了承の意を示した。とても嫌だと言える空気ではなかった。
ふと卓上にある空のグラスに男の目が留まった。
「ああ、気がつかなくてすまないね。すぐに新しいのを持ってくるよ」
「あっ、いえ、お気遣いなく」
グラスに男の手が伸びるのを見て、慌てて腰を浮かせた。
男は微笑を崩さぬまま、まあまあ、と手で制してきた。
「遠慮することはない。それより長いこと拘束しているが、お手洗いの方は大丈夫かな」
「あ、えっと……もう少し時間がかかるなら、行っておきたいです」
恐縮しつつ申し出ると、男は承知したとばかりに首肯して踵を返した。
ついて来なさい、と促され、オフィスを横切り廊下に出る。
突き当たりがお手洗いだよ、と説明を受け、そこで一旦男と別れた。
手短に用を足して部屋に戻ると、先ほど俺が座っていた席の真向かいに男の姿があった。
卓上には緑茶が並々と注がれたグラスが、自分と彼の席の手前に置かれていた。
元の席に着席するなり、男は口を開いた。
「紹介が遅れたが、自分はこういう者だ」
渡された名刺を見て、どきりとした。
『星雲科学株式会社 代表取締役 中川良輔』
黒目だけをキョロキョロと動かして、手元の名刺と正面にいる男の涼しげな顔を見比べる。
偉い人なのだろうと予想していたが、まさか社長だったとは……。
中川さんは悪戯がばれた子供のように小さくはにかんだ。
「驚かせたみたいだね。まあうちは小さな会社だから、役職なんて飾りみたいなものだ。必要以上に気負わず、自然体で接してくれていい」
気遣いはありがたいが、そう言われたところで即座に緊張を手放せるほど俺の神経は太くない。
仮に面接の出来が良かったとしても、社長に気に入られなければ採用は見送られると考えるべきだろう。明言されていないが、これは実質的な二次面接なのかもしれない。
「さて、水野たちから話を聞いたんだが、桐生くんは映画が好きなんだってね」
は、はい、と返事する俺の声はやや上擦っていた。
「大学では映画研究会というサークルに入っています」
中川さんは、へぇと感嘆の声を漏らし、机の上に両杖を突いて顎の前で指を組んだ。
「普段はどういった活動をしているのかな」
思いのほか食いつきがいい。あるいは、こちらの心を開かせるための演技だろうか?
「主には自主映画の制作です。あとは、たまに討論会を開いて、メンバー同士でおすすめの映画をプレゼンし合ったり、話題の映画の感想を言い合ったりすることもあります」
「なるほど。そいつは楽しそうだ」
中川さんは手前のグラスを持ち上げた。涼しげな氷の音が室内に響く。喉を潤してから、中川さんは目を細めた。
「実は僕も学生時代は映画サークルに所属していたんだよ」
「えっ、そうなんですか!」
今度はこちらが食いつく番だった。打算的な反応を示そうとしたわけではなく、純粋に興味深い話だった。
中川さんは椅子の背もたれに寄りかかりながらしみじみとした口調で語り出した。
「懐かしいなあ。僕らも自主映画の制作に励んだり、気の置けない仲間たちと様々な映画について語り合ったりしたものだよ」
頭の中に当時の映像が蘇っているのだろう、その語り口には多分に感慨が含まれていた。
こちらを籠絡するための演技には見えなかった。仮に演技だとしたら、学生の頃の中川さんは相当腕のある役者だったに違いない。
「桐生くんは役者志望かい?」
「あ、いえ、自分は……」
咄嗟に目を逸らして言い淀む。はっきりとした回答は当然浮かんでいたが、不甲斐ないことにそれを堂々と口にできるだけの勇気が持てなかった。
すると中川さんは僅かに頬角を持ち上げて、推し量るような眼差しを向けてきた。
「もしかして、脚本家とか……いや、その反応からすると、もっと大きい役職だな。すると、映画監督を目指していたりするのかな」
どきりとして中川さんの顔を見返す。
中川さんは目を糸のように細くして、小刻みに頷いた。
「そうかそうか。素晴らしい夢じゃないか。どうやら君の映画好きは筋金入りのようだね」
そう言われて悪い気はしなかった。が、なんとなく気恥ずかしくもあった。
俺は愛想笑いをつくって少し下を向いた。
「ちなみに僕も学生時代は監督志望だった。いやあ、ほんとに奇遇だね。君には大いにシンパシーを感じるよ」
温かい眼差しを向けられるが、こちらは恐縮して頭を下げるほかになかった。
そんな対応がご不満だったのか、中川さんはすんと鼻を鳴らして肩を竦めた。
「ただの雑談なんだから、そう畏まらないでくれ。選考には何の影響もない。まあ立場上、その言葉を鵜呑みにするのは難しいかもしれないが。……そうだな、じゃあ君の方から僕に訊きたいことはあるかな」
話を振られ、まずは当惑する。
真っ先に思いついた質問があったが、それが失礼に当たるかどうかを精査するのに少々の時間を要した。数秒後、俺は意を決して口を開いた。
「学生時代の中川さんは、どんな映画を撮られていたんですか?」
そう尋ねると、中川さんの目がまたみるみると丸くなった。
口元の笑みは崩れていない。気を悪くされなかったようで、とりあえず安心する。
「いろいろなジャンルに挑戦したが、中でもいちばん印象に残っているのはノンフィクション映画かな」
「ノンフィクション映画?」
予想外の回答に、つい不躾なオウム返しが口を衝く。
中川さんは鷹揚に頷いて述懐を始めた。
「サークル関係者を集めてそれぞれの生い立ちを詳らかにしてね。その中から最もドラマになりそうなエピソードを選んで、それを題材にした映画を作ったんだ。もちろんエンタメ性を持たせるために多少の演出は加えたけどね」
思わず、へえ、と感嘆の声が漏れた。
面白そうな試みだなと感心する一方で、驚きもしていた。映画作りに多少ばかり造詣を持った今だからこそわかるが、優れた映画を作るのに不可欠な要素は潤沢な資金と幅広い人脈だ。学生は社会人と違って莫大な時間を有している。だが時間だけでは優れた映画は作れない。映画の質は制作期間の長さではなく、お金と人脈がもたらす選択肢の広さによって担保されるものだからだ。故に学生が作る映画は資金や人脈に頼らなくて済むものになりがちで、中でもキャストが等身大で挑める学園が舞台のジュブナイル映画や、監修や複雑な演技指導を必要としないファンタジー映画が選ばれることが多い。
対照的にノンフィクション映画は、どこまで適切な舞台とキャストを用意できるかが完成度を大きく左右する鍵となる。高校生時代のエピソードなら撮影場所としてどこかの高校を借りる必要があるし、それよりもっと昔の小学生時代のエピソードなら本物の小学生をキャストに組み込まなくてはならない。資金と方々への繋がりを持つ社会人ならまだしも、その両方が乏しい大学生にはなかなかハードルの高い工程だと思う。
無論スポットライトを当てるエピソードにもよると思うが、相当の拘りを持って取り組んだのだとしたら、完成に漕ぎ着けるまで並々ならぬ労力を要したはずだ。それは同じ映画作りに携わる者として素直に敬服に値する。
そんな風に伝えると、中川さんは満更でもなさそうな笑みを浮かべた。
「お察しのとおり、非常に骨の折れる映画だったよ。30分ちょっとの短編だったが、撮影期間は半年近くにも及んだ。もっとも、実際にカメラを回したのは2、3週間といった具合だがね。ほとんどは舞台やキャストの手配だとか、脚本と演出の擦り合わせだとかに追われていた。おまけに学祭で上映した際の評判も奮わなくてね。関係者一同から袋叩きに遭って、まったく、まいったものだったよ」
そう言って中川さんは笑い飛ばしているが、明日は我が身だと考えると、なかなかぞっとしない話だ。多大な時間と労力、それに溢れんばかりの情熱を費やして作った映画が無惨にコケようものなら、自分などは向こう十年は立ち直れないだろう。
今はすっかり開き直っているようだが、中川さんも当時はさぞ落胆したに違いない。だが次に続く発言で、それがどうやら思い違いのようだということに気づかされた。
「でも僕が監督した映画の中では、あのノンフィクション映画こそが最高傑作だったと今でも思っている。なにせあの映画は、僕の信念の結晶が詰まった作品と言ってもいいからね」
口元は綻んだままだが、瞳の中には強固な光が宿っていた。
俺は唇を結んで中川さんの真剣な眼を見返す。咄嗟に返す言葉が思いつかなかった。
「時に桐生くん」
中川さんが意味深な笑みを浮かべて告げる。
「君が映画を作る上でいちばん意識していることは何かな」
出し抜けに尋ねられ、当惑する。
しばし黙考した末に、それっぽい回答はいくつか浮かんだ。その中から最も当たり障りのないものを選んで口にした。
「物語のテンポが単調にならないようにすることですかね」
答えを聞くと、中川さんは唇を引き延ばして、うんうん頷いた。
「なるほどね。確かにそれは観客を飽きさせないようにするための配慮であり、作り手側が念頭に入れておかねばならない意識のひとつだ」
中川さんはそこで一旦言葉を区切り、グラスに手を伸ばして喉を潤した。
「おそらくは映画監督だったら誰しもが持っている意識に違いない。だが、それがいちばん重要なことかと訊かれたら、必ずしも全員が首を縦に振るとは限らないだろう。たとえば映像美を重視する監督もいれば、演者の芝居の完成度に細心の注意を払う監督もいる。みなそれぞれ自分なりの物差しを持っていて、いちばん大事にしているポリシーなんかも十人十色で、だから脚本が同じ映画でも監督によって全く色の異なる映画が完成するわけだ」
理解できる話だ。俺は同調の意を示すように首肯した。
中川さんの弁はさらに熱を帯びていく。
「面白い映画か、つまらない映画か。そういった世間の評価は作り手のポリシーがいかに世間のニーズに〝迎合〟できたかを単に表しているに過ぎない。面白いか否かという二元論で映画の善し悪しを語るのは実にナンセンスだ。映画とは大衆娯楽であるが、それと同時に〝芸術〟という名の文化遺産でもあるのだから」
段々と話が複雑になっていく。まだなんとか理解できているつもりでいたが、今度は迂闊に首肯を挟めなかった。
中川さんはやや自嘲気味に見える笑みを浮かべながら吐息を漏らした。
「捻くれた考えだという自覚はある。僕が映画監督として名を残せなかったのは、このような杓子定規な考えに囚われていたからなんだろうね。まあそういうわけだから、話半分に聞いてくれ」
これまた反応に困る発言だ。
俺が瞬きを繰り返しているあいだに、中川さんは続けた。
「僕が映画を作る上で何より意識していたことは――」
控えめな前置きとは裏腹に、その毅然とした面持ちと口ぶりには揺るぎない自信がみなぎっているようだった。
「物語のリアリティーを損なわないようにすることだった」
俺は、リアリティー、と反復する。
中川さんは白い歯を覗かせて、続けた。
「言うまでもなく、ストーリーは平凡であるよりかは劇的である方が理想的だ。波風のない日常を淡々と描いただけの映画なんて、誰も観たいとは思わない。なぜなら観衆は平凡な日常から一時でも解放されたいがために映画という非日常の物語を欲しているからだ。ただし、劇的であることと非現実的であることは全く違う。いくら劇的な物語であったとて、そこに嘘くささやご都合主義の匂いが漂っていることを気取られてしまえば、観衆たちの心は忽ちストーリーから離れてしまうだろう。映画が紡ぐ非日常の物語と観衆の心を繋ぐ役割を果たしているのは〝共感〟に他ならないからだ。登場人物たちの言動、一連のシーンの整合性、主題への説得力。それらが最低限保証されていなければ、観衆から〝共感〟を得るのは難しい。物語を劇的に仕上げるのは脚本家の仕事だ。じゃあ監督の仕事は何か? ずばり、物語や映像に現実味を付与して〝共感〟の強度を高めることだと僕は考える」
「…………」
中川さんはまたグラスに手を伸ばしかけたが、すでに中身は空だった。ごほんとひとつ咳払いして、さらに言葉を続けた。
「僕の映画を観た人たちから寄せられた感想の中にはこんなものがあった――『ストーリーが生々しくて、映画っぽくなかった。役者の演技が淡泊過ぎて、見応えを感じなかった。』――手厳しい酷評に聞こえるだろう。だが、ストーリーの生々しさも、役者たちの淡泊な演技も、全てこちらが意図して作りあげたものだった。現実をまざまざと見せつけられているようだと感じてもらえたのなら、酷評でも映画を作った甲斐はあったというわけだ。大衆娯楽としては落第だったかもしれないが、芸術としては認められたと確信できたからね」
その口ぶりには陶然とした響きが含まれていた。
俺は膝の上に手を置いたまま目を伏せた。ため息が漏れそうになるのを乾いた唇を噛み締めて防いだ。
話の途中から、完全に打ちのめされていた。
その昔、映画監督を目指していた中川さんの言葉には確かな重みと含蓄が備わっていた。
映画作りに対する真摯な姿勢、高潔な意思、揺るぎない信念、溢れんばかりの情熱――そういったものが中川さんの話からひしひしと伝わってきた。
それらに匹敵するものを、果たして今の自分はひとつでも持っているだろうか? 残念ながらその問いにイエスと答えられる自信はない。
不意に自分の未熟な部分が浮き彫りとなり、暗雲が胸を覆った。
その時、ガチャリと部屋の扉が開き、人影が姿を現した。水野さんと堂島さんだった。
中川さんの姿を認めるなり、ふたりは揃って目を丸くした。社長、と水野さんが発した。
「社長室にいないと思ったら、こちらにいらしてたんですね」
中川さんはこちらを一瞥してから、穏やかな笑みを面接官たちに差し向けた。
「未来ある若人から刺激をもらっていたところだよ」
水野さんが腰に手を当てて、すんと鼻を鳴らす。
「お話があります。ちょっと来ていただけますか」
「桐生くんの採用についてだろ」
中川さんは席を立ち、空のグラスを手にする。
「僕から言うことは何もないよ。すべては君らの判断に任せる」
そう言って部屋の外に向かって悠然と足を運び始めた。
面接官のふたりはさっと脇に逸れて道を空けた。
出入り口に差し掛かる直前、中川さんはふと立ち止まってこちらを振り返った。
「お節介かもしれないが、最後にひとつ、未来ある若人にアドバイスを送ろう」
咄嗟に俺は息を呑んだ。柔和な面持ちのその中に、一瞬だけ厳然とした光が走ったように見えたからだ。
「映画は頭の中だけで出来上がるものじゃない。その人が歩んできた軌跡こそが一本のフィルムを完成させるんだ。その目で見たもの、肌で感じたもの。それらの集積が血肉となり、物語に命を吹き込む。そして虚構のストーリーは現実と見分けがつかなくなる」
中川さんは力強く言葉を紡ぐ。
俺は依然として満足に反応を返せなかった。まるで中川さんの発する言葉の重みに体の自由を奪われているみたいだった。
「だから良い映画を撮りたければ、とにかく色々な経験を積みなさい。色々な人と出会い、色々な場所に足を向けて、色々な歴史を知ることだ。人生経験の豊かさはクリエイターにとって最大の武器であり、かけがえのない財産だ。そのことは頭に入れておくと良い」
じゃあ、期待してるよ――中川さんは最後にそう言い残して、この場を後にした。
俺は終始圧倒されっ放しで、口を開くことができなかった。
頭の中に〝人生経験〟という言葉がこびりつき、すっかり離れ難いものになっていた。
自然と膝の上に置いた拳が硬くなる。不甲斐なさと敗北感とがない交ぜになったような感情が胸中に渦巻いていた。
中川さんと対等に渡り合えなかったこと。それはひとりの映画監督として、圧倒的に力が不足していることを突き付けていた。
それからおよそ30分程、矢継ぎ早な質問責めに遭った。
インタビュアーの役は水野さんで、隣の堂島さんは書記の役を担い、こちらが口にする回答をせっせとパソコンに打ち込んでいた。
ひととおり質疑応答が完了したところで、面接官たちはふたりして席を外した。
ひとりきりとなり、ようやく肩の力が抜けた。息を吐いて、深く項垂れる。
予期していたことだが、初対面の人間に向かって自分の性事情を包み隠さず打ち明けるのは、やはりかなりのストレスだった。こんなにも辱めを受けて不採用になったんじゃあ報われない。
しかし、これらの情報が一体どのような形で試験に関わってくるのだろう……。
想像するだけ無駄だとわかっていても考えずにはいられない。
思い返せば面接官たちのあの慇懃な態度もどこか不自然ではあった。心なしか常にこちらの顔色をうかがわれていた気がする。表向きは礼節な態度で接しつつも腹の中には何かしらの一物を抱えていたに違いない。そう考えると、あの愛想の限りを尽くした笑顔もなかなか不気味に思えてくる。
面接官たちが中座して、間もなく15分が経過しようとしていた。
出された飲み物もとっくに飲み干してしまい、手持ち無沙汰な時間を過ごしていたその時、ガチャリと扉の開く音が聞こえた。
反射的に背筋を伸ばして扉の方を向くと、そこにいたのはグレーのスーツを身に纏った壮年の男性だった。例に漏れず口元には愛想の良い微笑が張り付いている。ビジネスマンのイメージをそのまま投影したような風体で、堂に入った佇まいからはどことなく気品のようなものが滲み出ていた。
「どうも、桐生さん」
後ろ手に扉を閉めながら、男はにこやかに喋りかけてきた。低いが、よく通る声だった。
悠然とした足取りで、こちらに近づいてくる。
男がまとう独特な雰囲気に当てられて、思わず身が竦んだ。品の良い身なりと余裕ありげな態度から、ここではそれなりに身分の高い人間なのだろうと察しがついた。
「待たせてしまって悪いね。選考の結果が出るまで、もう少し時間がかかるみたいなんだ。それまでの暇潰しがてら、良かったら雑談に付き合ってもらえないだろうか」
面持ちはずいぶん柔らかだが、瞳の奥には値踏みするような鋭い光が宿っていた。
その申し出には戸惑いながらも了承の意を示した。とても嫌だと言える空気ではなかった。
ふと卓上にある空のグラスに男の目が留まった。
「ああ、気がつかなくてすまないね。すぐに新しいのを持ってくるよ」
「あっ、いえ、お気遣いなく」
グラスに男の手が伸びるのを見て、慌てて腰を浮かせた。
男は微笑を崩さぬまま、まあまあ、と手で制してきた。
「遠慮することはない。それより長いこと拘束しているが、お手洗いの方は大丈夫かな」
「あ、えっと……もう少し時間がかかるなら、行っておきたいです」
恐縮しつつ申し出ると、男は承知したとばかりに首肯して踵を返した。
ついて来なさい、と促され、オフィスを横切り廊下に出る。
突き当たりがお手洗いだよ、と説明を受け、そこで一旦男と別れた。
手短に用を足して部屋に戻ると、先ほど俺が座っていた席の真向かいに男の姿があった。
卓上には緑茶が並々と注がれたグラスが、自分と彼の席の手前に置かれていた。
元の席に着席するなり、男は口を開いた。
「紹介が遅れたが、自分はこういう者だ」
渡された名刺を見て、どきりとした。
『星雲科学株式会社 代表取締役 中川良輔』
黒目だけをキョロキョロと動かして、手元の名刺と正面にいる男の涼しげな顔を見比べる。
偉い人なのだろうと予想していたが、まさか社長だったとは……。
中川さんは悪戯がばれた子供のように小さくはにかんだ。
「驚かせたみたいだね。まあうちは小さな会社だから、役職なんて飾りみたいなものだ。必要以上に気負わず、自然体で接してくれていい」
気遣いはありがたいが、そう言われたところで即座に緊張を手放せるほど俺の神経は太くない。
仮に面接の出来が良かったとしても、社長に気に入られなければ採用は見送られると考えるべきだろう。明言されていないが、これは実質的な二次面接なのかもしれない。
「さて、水野たちから話を聞いたんだが、桐生くんは映画が好きなんだってね」
は、はい、と返事する俺の声はやや上擦っていた。
「大学では映画研究会というサークルに入っています」
中川さんは、へぇと感嘆の声を漏らし、机の上に両杖を突いて顎の前で指を組んだ。
「普段はどういった活動をしているのかな」
思いのほか食いつきがいい。あるいは、こちらの心を開かせるための演技だろうか?
「主には自主映画の制作です。あとは、たまに討論会を開いて、メンバー同士でおすすめの映画をプレゼンし合ったり、話題の映画の感想を言い合ったりすることもあります」
「なるほど。そいつは楽しそうだ」
中川さんは手前のグラスを持ち上げた。涼しげな氷の音が室内に響く。喉を潤してから、中川さんは目を細めた。
「実は僕も学生時代は映画サークルに所属していたんだよ」
「えっ、そうなんですか!」
今度はこちらが食いつく番だった。打算的な反応を示そうとしたわけではなく、純粋に興味深い話だった。
中川さんは椅子の背もたれに寄りかかりながらしみじみとした口調で語り出した。
「懐かしいなあ。僕らも自主映画の制作に励んだり、気の置けない仲間たちと様々な映画について語り合ったりしたものだよ」
頭の中に当時の映像が蘇っているのだろう、その語り口には多分に感慨が含まれていた。
こちらを籠絡するための演技には見えなかった。仮に演技だとしたら、学生の頃の中川さんは相当腕のある役者だったに違いない。
「桐生くんは役者志望かい?」
「あ、いえ、自分は……」
咄嗟に目を逸らして言い淀む。はっきりとした回答は当然浮かんでいたが、不甲斐ないことにそれを堂々と口にできるだけの勇気が持てなかった。
すると中川さんは僅かに頬角を持ち上げて、推し量るような眼差しを向けてきた。
「もしかして、脚本家とか……いや、その反応からすると、もっと大きい役職だな。すると、映画監督を目指していたりするのかな」
どきりとして中川さんの顔を見返す。
中川さんは目を糸のように細くして、小刻みに頷いた。
「そうかそうか。素晴らしい夢じゃないか。どうやら君の映画好きは筋金入りのようだね」
そう言われて悪い気はしなかった。が、なんとなく気恥ずかしくもあった。
俺は愛想笑いをつくって少し下を向いた。
「ちなみに僕も学生時代は監督志望だった。いやあ、ほんとに奇遇だね。君には大いにシンパシーを感じるよ」
温かい眼差しを向けられるが、こちらは恐縮して頭を下げるほかになかった。
そんな対応がご不満だったのか、中川さんはすんと鼻を鳴らして肩を竦めた。
「ただの雑談なんだから、そう畏まらないでくれ。選考には何の影響もない。まあ立場上、その言葉を鵜呑みにするのは難しいかもしれないが。……そうだな、じゃあ君の方から僕に訊きたいことはあるかな」
話を振られ、まずは当惑する。
真っ先に思いついた質問があったが、それが失礼に当たるかどうかを精査するのに少々の時間を要した。数秒後、俺は意を決して口を開いた。
「学生時代の中川さんは、どんな映画を撮られていたんですか?」
そう尋ねると、中川さんの目がまたみるみると丸くなった。
口元の笑みは崩れていない。気を悪くされなかったようで、とりあえず安心する。
「いろいろなジャンルに挑戦したが、中でもいちばん印象に残っているのはノンフィクション映画かな」
「ノンフィクション映画?」
予想外の回答に、つい不躾なオウム返しが口を衝く。
中川さんは鷹揚に頷いて述懐を始めた。
「サークル関係者を集めてそれぞれの生い立ちを詳らかにしてね。その中から最もドラマになりそうなエピソードを選んで、それを題材にした映画を作ったんだ。もちろんエンタメ性を持たせるために多少の演出は加えたけどね」
思わず、へえ、と感嘆の声が漏れた。
面白そうな試みだなと感心する一方で、驚きもしていた。映画作りに多少ばかり造詣を持った今だからこそわかるが、優れた映画を作るのに不可欠な要素は潤沢な資金と幅広い人脈だ。学生は社会人と違って莫大な時間を有している。だが時間だけでは優れた映画は作れない。映画の質は制作期間の長さではなく、お金と人脈がもたらす選択肢の広さによって担保されるものだからだ。故に学生が作る映画は資金や人脈に頼らなくて済むものになりがちで、中でもキャストが等身大で挑める学園が舞台のジュブナイル映画や、監修や複雑な演技指導を必要としないファンタジー映画が選ばれることが多い。
対照的にノンフィクション映画は、どこまで適切な舞台とキャストを用意できるかが完成度を大きく左右する鍵となる。高校生時代のエピソードなら撮影場所としてどこかの高校を借りる必要があるし、それよりもっと昔の小学生時代のエピソードなら本物の小学生をキャストに組み込まなくてはならない。資金と方々への繋がりを持つ社会人ならまだしも、その両方が乏しい大学生にはなかなかハードルの高い工程だと思う。
無論スポットライトを当てるエピソードにもよると思うが、相当の拘りを持って取り組んだのだとしたら、完成に漕ぎ着けるまで並々ならぬ労力を要したはずだ。それは同じ映画作りに携わる者として素直に敬服に値する。
そんな風に伝えると、中川さんは満更でもなさそうな笑みを浮かべた。
「お察しのとおり、非常に骨の折れる映画だったよ。30分ちょっとの短編だったが、撮影期間は半年近くにも及んだ。もっとも、実際にカメラを回したのは2、3週間といった具合だがね。ほとんどは舞台やキャストの手配だとか、脚本と演出の擦り合わせだとかに追われていた。おまけに学祭で上映した際の評判も奮わなくてね。関係者一同から袋叩きに遭って、まったく、まいったものだったよ」
そう言って中川さんは笑い飛ばしているが、明日は我が身だと考えると、なかなかぞっとしない話だ。多大な時間と労力、それに溢れんばかりの情熱を費やして作った映画が無惨にコケようものなら、自分などは向こう十年は立ち直れないだろう。
今はすっかり開き直っているようだが、中川さんも当時はさぞ落胆したに違いない。だが次に続く発言で、それがどうやら思い違いのようだということに気づかされた。
「でも僕が監督した映画の中では、あのノンフィクション映画こそが最高傑作だったと今でも思っている。なにせあの映画は、僕の信念の結晶が詰まった作品と言ってもいいからね」
口元は綻んだままだが、瞳の中には強固な光が宿っていた。
俺は唇を結んで中川さんの真剣な眼を見返す。咄嗟に返す言葉が思いつかなかった。
「時に桐生くん」
中川さんが意味深な笑みを浮かべて告げる。
「君が映画を作る上でいちばん意識していることは何かな」
出し抜けに尋ねられ、当惑する。
しばし黙考した末に、それっぽい回答はいくつか浮かんだ。その中から最も当たり障りのないものを選んで口にした。
「物語のテンポが単調にならないようにすることですかね」
答えを聞くと、中川さんは唇を引き延ばして、うんうん頷いた。
「なるほどね。確かにそれは観客を飽きさせないようにするための配慮であり、作り手側が念頭に入れておかねばならない意識のひとつだ」
中川さんはそこで一旦言葉を区切り、グラスに手を伸ばして喉を潤した。
「おそらくは映画監督だったら誰しもが持っている意識に違いない。だが、それがいちばん重要なことかと訊かれたら、必ずしも全員が首を縦に振るとは限らないだろう。たとえば映像美を重視する監督もいれば、演者の芝居の完成度に細心の注意を払う監督もいる。みなそれぞれ自分なりの物差しを持っていて、いちばん大事にしているポリシーなんかも十人十色で、だから脚本が同じ映画でも監督によって全く色の異なる映画が完成するわけだ」
理解できる話だ。俺は同調の意を示すように首肯した。
中川さんの弁はさらに熱を帯びていく。
「面白い映画か、つまらない映画か。そういった世間の評価は作り手のポリシーがいかに世間のニーズに〝迎合〟できたかを単に表しているに過ぎない。面白いか否かという二元論で映画の善し悪しを語るのは実にナンセンスだ。映画とは大衆娯楽であるが、それと同時に〝芸術〟という名の文化遺産でもあるのだから」
段々と話が複雑になっていく。まだなんとか理解できているつもりでいたが、今度は迂闊に首肯を挟めなかった。
中川さんはやや自嘲気味に見える笑みを浮かべながら吐息を漏らした。
「捻くれた考えだという自覚はある。僕が映画監督として名を残せなかったのは、このような杓子定規な考えに囚われていたからなんだろうね。まあそういうわけだから、話半分に聞いてくれ」
これまた反応に困る発言だ。
俺が瞬きを繰り返しているあいだに、中川さんは続けた。
「僕が映画を作る上で何より意識していたことは――」
控えめな前置きとは裏腹に、その毅然とした面持ちと口ぶりには揺るぎない自信がみなぎっているようだった。
「物語のリアリティーを損なわないようにすることだった」
俺は、リアリティー、と反復する。
中川さんは白い歯を覗かせて、続けた。
「言うまでもなく、ストーリーは平凡であるよりかは劇的である方が理想的だ。波風のない日常を淡々と描いただけの映画なんて、誰も観たいとは思わない。なぜなら観衆は平凡な日常から一時でも解放されたいがために映画という非日常の物語を欲しているからだ。ただし、劇的であることと非現実的であることは全く違う。いくら劇的な物語であったとて、そこに嘘くささやご都合主義の匂いが漂っていることを気取られてしまえば、観衆たちの心は忽ちストーリーから離れてしまうだろう。映画が紡ぐ非日常の物語と観衆の心を繋ぐ役割を果たしているのは〝共感〟に他ならないからだ。登場人物たちの言動、一連のシーンの整合性、主題への説得力。それらが最低限保証されていなければ、観衆から〝共感〟を得るのは難しい。物語を劇的に仕上げるのは脚本家の仕事だ。じゃあ監督の仕事は何か? ずばり、物語や映像に現実味を付与して〝共感〟の強度を高めることだと僕は考える」
「…………」
中川さんはまたグラスに手を伸ばしかけたが、すでに中身は空だった。ごほんとひとつ咳払いして、さらに言葉を続けた。
「僕の映画を観た人たちから寄せられた感想の中にはこんなものがあった――『ストーリーが生々しくて、映画っぽくなかった。役者の演技が淡泊過ぎて、見応えを感じなかった。』――手厳しい酷評に聞こえるだろう。だが、ストーリーの生々しさも、役者たちの淡泊な演技も、全てこちらが意図して作りあげたものだった。現実をまざまざと見せつけられているようだと感じてもらえたのなら、酷評でも映画を作った甲斐はあったというわけだ。大衆娯楽としては落第だったかもしれないが、芸術としては認められたと確信できたからね」
その口ぶりには陶然とした響きが含まれていた。
俺は膝の上に手を置いたまま目を伏せた。ため息が漏れそうになるのを乾いた唇を噛み締めて防いだ。
話の途中から、完全に打ちのめされていた。
その昔、映画監督を目指していた中川さんの言葉には確かな重みと含蓄が備わっていた。
映画作りに対する真摯な姿勢、高潔な意思、揺るぎない信念、溢れんばかりの情熱――そういったものが中川さんの話からひしひしと伝わってきた。
それらに匹敵するものを、果たして今の自分はひとつでも持っているだろうか? 残念ながらその問いにイエスと答えられる自信はない。
不意に自分の未熟な部分が浮き彫りとなり、暗雲が胸を覆った。
その時、ガチャリと部屋の扉が開き、人影が姿を現した。水野さんと堂島さんだった。
中川さんの姿を認めるなり、ふたりは揃って目を丸くした。社長、と水野さんが発した。
「社長室にいないと思ったら、こちらにいらしてたんですね」
中川さんはこちらを一瞥してから、穏やかな笑みを面接官たちに差し向けた。
「未来ある若人から刺激をもらっていたところだよ」
水野さんが腰に手を当てて、すんと鼻を鳴らす。
「お話があります。ちょっと来ていただけますか」
「桐生くんの採用についてだろ」
中川さんは席を立ち、空のグラスを手にする。
「僕から言うことは何もないよ。すべては君らの判断に任せる」
そう言って部屋の外に向かって悠然と足を運び始めた。
面接官のふたりはさっと脇に逸れて道を空けた。
出入り口に差し掛かる直前、中川さんはふと立ち止まってこちらを振り返った。
「お節介かもしれないが、最後にひとつ、未来ある若人にアドバイスを送ろう」
咄嗟に俺は息を呑んだ。柔和な面持ちのその中に、一瞬だけ厳然とした光が走ったように見えたからだ。
「映画は頭の中だけで出来上がるものじゃない。その人が歩んできた軌跡こそが一本のフィルムを完成させるんだ。その目で見たもの、肌で感じたもの。それらの集積が血肉となり、物語に命を吹き込む。そして虚構のストーリーは現実と見分けがつかなくなる」
中川さんは力強く言葉を紡ぐ。
俺は依然として満足に反応を返せなかった。まるで中川さんの発する言葉の重みに体の自由を奪われているみたいだった。
「だから良い映画を撮りたければ、とにかく色々な経験を積みなさい。色々な人と出会い、色々な場所に足を向けて、色々な歴史を知ることだ。人生経験の豊かさはクリエイターにとって最大の武器であり、かけがえのない財産だ。そのことは頭に入れておくと良い」
じゃあ、期待してるよ――中川さんは最後にそう言い残して、この場を後にした。
俺は終始圧倒されっ放しで、口を開くことができなかった。
頭の中に〝人生経験〟という言葉がこびりつき、すっかり離れ難いものになっていた。
自然と膝の上に置いた拳が硬くなる。不甲斐なさと敗北感とがない交ぜになったような感情が胸中に渦巻いていた。
中川さんと対等に渡り合えなかったこと。それはひとりの映画監督として、圧倒的に力が不足していることを突き付けていた。
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