きんだーがーでん

紫水晶羅

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4人だけの花火大会

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「花火しよう!」

 秋の気配が街に漂い始める十月。突然なんの前触れもなく、聖が言った。
「でも、実習報告会のまとめ作んなきゃじゃん」
 楓が口を尖らせる。
「まだ充分日にちあるじゃん。一日くらい遊んだってバチは当たんないだろ?」
「まあそうだけど……」

 あれ以来、楓と聖は、学校内では恋人同士を装っている。
 聖のファンだという女子からは、あからさまに睨まれたり嫌味を言われたりすることはあったが、思ったより酷い扱いを受けることもなく、楓はホッと胸を撫で下ろしていた。
「だから言ったろ? みんな、俺のことなんかそれほど大事に思ってないって」
 寂しそうに笑う聖に、楓の胸は締め付けられた。

「いいじゃん。たまには息抜きも必要じゃない?」
 美乃里がすかさず助け舟を出す。
「そうだな。ずっと保留になったまんまだもんな」
 政宗が同調する。
「よし! じゃあ決まり!」
「もう。聖はしゃぎすぎ」
 嬉しそうにガッツポーズする聖を横目で見ながら、「で? いつにするの?」楓が訊いた。

「今日」
 満面の笑みで、聖が答えた。
「えっ? 今日?」
「そ。思い立ったが吉日って言うじゃん?」
「はあぁぁっ?」
 呆気に取られる楓を筆頭に、美乃里と政宗も、あんぐり口を開けて聖を見つめた。

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