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第1章 北海道編
3 第1日目 稚内→網走
しおりを挟む稚内に宿泊した。
天気は穏やかであったが雪自体は降っており、深夜には人口5万の街を何台ものラッセル車が徘徊しており、都心の夜に負けずとも劣らない賑やかさであった。街を守る仕事を垣間見ることができた。
朝5時に起床し、宿を出る。
1;稚内 5:20 → 名寄 8:44 宗谷本線
早朝の稚内駅。朝というよりまだ夜であるが、遂に切符の旅の開始である。これから11000km、どんな旅になるのだろうか。胸を躍らせつつ、無人の改札を抜けてやってきた気動車に乗り込む。
乗客は私一人であった。座席は昔の特急のリクライニングシートを用いており、快適である。
動き出した時、猛烈に感動した。いよいよ始まるのだ。とはいうものの、外は暗い。
途中駅、色々な駅でそれぞれ複数の係員さんが、夜もまだ明けないのに除雪作業をしているのが目につく。しかし客は一向に増えない。
除雪を毎日しなければ列車を運行することができず、毎日数百人という人手を使っているのだ。それでも、一日の列車は数往復、利用者が0人や1人の駅も少なくない。
結局私が乗った列車は、私以外には数人が途中の区間少し乗っただけだった。私という気まぐれな旅人がいなかったら、乗客はいなかったのだろう。
JR北海道のおかれた環境の厳しさを感じざるを得ない。3時間かけて名寄駅に到着、最初の途中下車印をもらう。
夏の時期には、トロッコ風の列車が丁度いい時間に走っていて乗り通すもよし、秘境駅や観光駅に下車してみるのも良いだろう。風景を楽しんでこその路線であり、また乗ってみたいものだ。
2;名寄 10:07 → 旭川 11:35 宗谷本線快速なよろ4号
稚内から乗ってきた車両と同一だった。名寄以北と打って変わってほぼ満席である。3時間並走した天塩川と別れ、列車は盆地を目指す。
途中、殉職のエピソードが有名で小説化された塩狩峠を通過。全体的に雪で曇っててよく分からなかったのが残念だ。新旭川駅には停車しないため旭川まで乗り、一路線目、宗谷本線での旅程を終える。座席は快適といえど6時間は長かった。
3;旭川 12:03 → 上川 13:17 石北本線
旭川駅で2路線目の石北本線に乗り換え、道東を目指す。見るからに古くて重装備そうな国鉄型車両キハ40に乗り込み、駅弁に舌鼓を打つ。
ここの区間から猛吹雪が吹いてきて、厳しい天候の中ほぼ定時運行を行うことに驚いた。
4;上川 13:27 → 網走 16:35 石北本線特急大雪1号
自由席でもよかったのだが、JRの経営が厳しそうなので、ハイデッカーグリーン車に乗車することにした。高い視線に包容力のある大型座席、素晴らしい。
さて、上川を出て隣の白滝駅までは40km近く離れている。ちなみにこれは新幹線を除けば日本一の駅間だ。昔はもっと駅があったのだが人口減で瞬く間に廃止され、女子高生1人のために残っていた駅も卒業とともに廃止となった。ここは極端な例ではあるが、今後このような事態は増えていくだろう。地域交通の役割と宿命について考えざるを得ない。
話を戻す。上川から遠軽の間は人口過疎地域であり、いくつもの峠を越えなければならず、かなり厳しい自然条件となっている。石北本線の工事でもこの地域は難工事としても名高く、特に常紋峠トンネルなどはタコ部屋労働と人柱の伝説がある。
峠を越えてやっと、遠軽の市街地が見えてくる。人の営みがあることに安心感を覚えた。
遠軽ではスイッチバックし、進行方向を反対に変えて留辺蘂、北見、網走へと列車は向かう。
網走に到着した頃には、すっかり暗くなっていた。今夜は網走駅に宿泊することにする。稚内よりも寒い。
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