7 / 24
一緒に朝ご飯
しおりを挟む
店を閉めた後に宣言通りの夕食を作ろうと買い物を済ませてライナーの部屋に向かう。
帰ってくるまでに美味しく煮込めるだろう。後はとっておいたバケットとサラダを用意する。
ライナーが帰るのを待つが一向に戻らない。急患でも入ったのだろうか。
それとも別の何かがあったのか。昼間のことを思い出してそれを追い出すように頭をふるう。
ニコラはまだここに来たばかりなのだから優しくするのは当たり前だ。
そんなことは考えないでいつものようにライナーがいつ帰るか待っていようと気持ちを切り替えりが、今日に限って帰ってくるのが遅い。
「ライナー先生まだかな」
スープが美味しくできた。きっと優しい顔をして美味しいと言ってくれる。
思えば初めて作った料理を食べた時もそうだった。忙しい両親の替わりに兄と一緒にご飯の支度をしていたが、けして上手ではなかった。
一人で作ったこともなく、それでもライナーに食べてほしくてスープを作ったのだが、それが失敗作で味が濃くてまずいものだった。それなのによそった分を全部食べてくれた。また作ってくれよと頭をなでてくれた。
それから料理がエメの趣味となった。心から美味いと思ってもらえるように頑張った。
昔のことを思い出しているうちに頭が眠気が襲う。少しだけ目を閉じようかと、したら最後。ガクっと頭が下がりハッとして目が覚める。
いつの間にか眠ってしまっていたようで体を起こすと床にブランケットが落ちた。
「あ、これ」
拾い上げて椅子に掛けるとテーブルの上に置いておいたパンが一つなくなっていた。
「ライナー先生帰ってたんだね」
お出迎えが出来ずにしょんぼりと尻尾を垂らす。寝室へと向かえば寝息を立てて横になるライナーの姿があった。
「起こしてくれたよかったのに」
エメが寝れるように一人分のスペースが空いている。そこに横になりライナーの匂いをすんすんと嗅ぎ始める。
それだけで胸がいっぱいになって満たされる。安心したら再び眠くなってきて彼を抱きしめて目を閉じた。
昨日の夕食を抜いたせいかいつもより早く目が覚めてしまった。
すると隣でライナーがもぞもぞと動き、ゆっくりと起き上がった。
「起こしちゃった?」
「いや。腹が減って目が覚めた」
どうやらエメと同じ理由のようだ。
「おんなじだね」
と笑うとそうなのかとライナーも笑う。
「昨日のスープ食べようか」
「あぁ。楽しみにしていたんだ」
着替えをし、キッチンへと向かう。
その後にライナーが続き後ろから鍋を覗き込んだ。
「いいにおいだ」
後ろから抱きしめるようなかたちで、なんだか朝からむずむずとするなと尻尾を揺らした。
「こら、俺のあれを刺激するな」
「ん?」
あれと言われて顔を後ろにむければ尻尾が下半身のものへと触れていた。
「え、あ、そんなつもりじゃ!」
ただ嬉しかったから揺れてしまっただけでそういうつもりではない。
「誘っているのか?」
口角が上がり、熟した大人の色気を感じさせた。
「ライナー先生、俺、本当にそういうつもりじゃ……」
恥ずかしくてうつむくと、冗談だと頭を撫でられる。
「エメは初心だな」
昔は一緒にふろに入っていたからライナーのも見たことがある。だがそれを意識をしてしまったら駄目だ。
「ライナー先生、座って待ってい、あっ」
頭を撫でていた手がゆっくりと背中を撫でて尻尾へと触れる。
「ひゃ、せんせい、尻尾は」
「ルクス系は耳と尻尾が弱いんだったな」
ルルス系が顎の下や頭を撫でられるとゴロゴロと喉を鳴らすように、ルクス系も気持ちよくて尻尾を揺らし、キューンと甘える声が出てしまう。
「ふふ、顔が真っ赤だ。エメはそのままでいい」
とライナーの手が離れて椅子を引く音が聞こえた。
「ライナー先生こそ朝からやめてよぉ」
からかわれたのだ。
ライナー曰く、可愛いからするのだそうだ。たまにこういうことをしてくるのでそのたびにこの言葉を思い出す。
帰ってくるまでに美味しく煮込めるだろう。後はとっておいたバケットとサラダを用意する。
ライナーが帰るのを待つが一向に戻らない。急患でも入ったのだろうか。
それとも別の何かがあったのか。昼間のことを思い出してそれを追い出すように頭をふるう。
ニコラはまだここに来たばかりなのだから優しくするのは当たり前だ。
そんなことは考えないでいつものようにライナーがいつ帰るか待っていようと気持ちを切り替えりが、今日に限って帰ってくるのが遅い。
「ライナー先生まだかな」
スープが美味しくできた。きっと優しい顔をして美味しいと言ってくれる。
思えば初めて作った料理を食べた時もそうだった。忙しい両親の替わりに兄と一緒にご飯の支度をしていたが、けして上手ではなかった。
一人で作ったこともなく、それでもライナーに食べてほしくてスープを作ったのだが、それが失敗作で味が濃くてまずいものだった。それなのによそった分を全部食べてくれた。また作ってくれよと頭をなでてくれた。
それから料理がエメの趣味となった。心から美味いと思ってもらえるように頑張った。
昔のことを思い出しているうちに頭が眠気が襲う。少しだけ目を閉じようかと、したら最後。ガクっと頭が下がりハッとして目が覚める。
いつの間にか眠ってしまっていたようで体を起こすと床にブランケットが落ちた。
「あ、これ」
拾い上げて椅子に掛けるとテーブルの上に置いておいたパンが一つなくなっていた。
「ライナー先生帰ってたんだね」
お出迎えが出来ずにしょんぼりと尻尾を垂らす。寝室へと向かえば寝息を立てて横になるライナーの姿があった。
「起こしてくれたよかったのに」
エメが寝れるように一人分のスペースが空いている。そこに横になりライナーの匂いをすんすんと嗅ぎ始める。
それだけで胸がいっぱいになって満たされる。安心したら再び眠くなってきて彼を抱きしめて目を閉じた。
昨日の夕食を抜いたせいかいつもより早く目が覚めてしまった。
すると隣でライナーがもぞもぞと動き、ゆっくりと起き上がった。
「起こしちゃった?」
「いや。腹が減って目が覚めた」
どうやらエメと同じ理由のようだ。
「おんなじだね」
と笑うとそうなのかとライナーも笑う。
「昨日のスープ食べようか」
「あぁ。楽しみにしていたんだ」
着替えをし、キッチンへと向かう。
その後にライナーが続き後ろから鍋を覗き込んだ。
「いいにおいだ」
後ろから抱きしめるようなかたちで、なんだか朝からむずむずとするなと尻尾を揺らした。
「こら、俺のあれを刺激するな」
「ん?」
あれと言われて顔を後ろにむければ尻尾が下半身のものへと触れていた。
「え、あ、そんなつもりじゃ!」
ただ嬉しかったから揺れてしまっただけでそういうつもりではない。
「誘っているのか?」
口角が上がり、熟した大人の色気を感じさせた。
「ライナー先生、俺、本当にそういうつもりじゃ……」
恥ずかしくてうつむくと、冗談だと頭を撫でられる。
「エメは初心だな」
昔は一緒にふろに入っていたからライナーのも見たことがある。だがそれを意識をしてしまったら駄目だ。
「ライナー先生、座って待ってい、あっ」
頭を撫でていた手がゆっくりと背中を撫でて尻尾へと触れる。
「ひゃ、せんせい、尻尾は」
「ルクス系は耳と尻尾が弱いんだったな」
ルルス系が顎の下や頭を撫でられるとゴロゴロと喉を鳴らすように、ルクス系も気持ちよくて尻尾を揺らし、キューンと甘える声が出てしまう。
「ふふ、顔が真っ赤だ。エメはそのままでいい」
とライナーの手が離れて椅子を引く音が聞こえた。
「ライナー先生こそ朝からやめてよぉ」
からかわれたのだ。
ライナー曰く、可愛いからするのだそうだ。たまにこういうことをしてくるのでそのたびにこの言葉を思い出す。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
魔王さんのガチペット
メグル
BL
人間が「魔族のペット」として扱われる異世界に召喚されてしまった、元ナンバーワンホストでヒモの大長谷ライト(26歳)。
魔族の基準で「最高に美しい容姿」と、ホストやヒモ生活で培った「愛され上手」な才能を生かして上手く立ち回り、魔王にめちゃくちゃ気に入られ、かわいがられ、楽しいペット生活をおくるものの……だんだんただのペットでは満足できなくなってしまう。
飼い主とペットから始まって、より親密な関係を目指していく、「尊敬されているけど孤独な魔王」と「寂しがり屋の愛され体質ペット」がお互いの孤独を埋めるハートフル溺愛ストーリーです。
※第11回BL小説大賞、「ファンタジーBL賞」受賞しました!ありがとうございます!!
※性描写は予告なく何度か入ります。
※本編一区切りつきました。後日談を不定期更新中です。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ナイトプールが出会いの場だと知らずに友達に連れてこられた地味な大学生がド派手な美しい男にナンパされて口説かれる話
ゆなな
BL
高級ホテルのナイトプールが出会いの場だと知らずに大学の友達に連れて来れられた平凡な大学生海斗。
海斗はその場で自分が浮いていることに気が付き帰ろうとしたが、見たことがないくらい美しい男に声を掛けられる。
夏の夜のプールで甘くかき口説かれた海斗は、これが美しい男の一夜の気まぐれだとわかっていても夢中にならずにはいられなかった。
ホテルに宿泊していた男に流れるように部屋に連れ込まれた海斗。
翌朝逃げるようにホテルの部屋を出た海斗はようやく男の驚くべき正体に気が付き、目を瞠った……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる