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看護師(2)
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ご飯を食べた後は互いに寄り添ってのんびりと日向ぼっこの時間だ。
「はぁ、この時間って眠くなるよね」
「あぁ。だが、この誘惑に負けてしまったら最後だぞ」
その通りだ。少しのつもりが一時間、二時間とたっている時がある。
「そうなんだけどね。こうしていたい」
「俺もだ。日向ぼっこをした後のお前の匂いが好きなんだよなぁ」
お日様の匂いだと鼻を近づけて嗅いでいる。それがくすぐったくて、体を支えている手を尻尾で叩いた。
「ライナー先生はダメ。くすぐったいんだもの」
ライナーに匂いを嗅がれると体がぞくぞくとして落ち着かないからだ。
「エメだって匂いを嗅ぐだろう?」
「俺はいいの。ライナー先生の服が臭くないかチェックしているだけだから」
「ミドル脂臭か? 獣人は人の子よりも嗅覚が優れているからな」
自分の匂いを嗅いで首を傾げている。
「ライナー先生は忙しいと何日も同じの着ているでしょ」
「そういうことか」
椅子に掛けたまま持ち帰るのを忘れることがある。
「臭いから近寄らないでと言われなくて良かった」
「言わないよ。ライナー先生の傍にいたいもの」
「そうか。可愛いなエメは」
と耳に軽く口づける。完全に子ども扱いだ。
「ライナー先生、俺は立派な大人の雄ですけど」
「わかっているよ」
乱暴に頭をなでると立ち上がった。
「さてと、そろそろ時間だな」
大きく伸びをしてズボンの後ろをはたいた。
いつも階段を下りて病院の出入り口まで送ってくれる。ゆっくりと歩くのは少しでも長く一緒にいたいからだ。
「ライナー先生、今日はレッドトマのスープだよ」
レッドトマという甘みと酸味がある赤色の野菜で作ったスープで、細かく叩いた肉を団子状にしたものをその中に入れると美味しい。それに硬めに焼いたパンを浸して食べる。
「わかった。エメ、今日もありがとうな。気を付けて帰れよ」
「うん。ライナー先生もお仕事頑張って」
またねの挨拶をしているところに、
「うわぁ」
近くで声が上がり、そろってそちらの方へと顔を向けた。そこにいるのはニコラだ。
「ごめんなさい、邪魔をするつもりじゃ……」
口元に手を当ててうつむいている。
「これ、俺とライナー先生のまたねの挨拶なんだ」
「またねの挨拶?」
診療所の人は皆知っている。ふたりにとっては挨拶だからだから誰かの前でもする。いつまでも甘えん坊だとからかわれるがそれでもやめたくはない。
「てっきり恋人同士なのかと思いましたよ」
「あ……勘違いさせちゃったかな」
あまりに距離が近いからだろう。親子ほどの歳が離れた相手などライナーは恋人のように思うことはないだろう。だから勘違いさせてしまったとエメは思うのだ。
「俺には兄と姉はいるが弟はいなくてな。つい、可愛くて甘えてしまうんだ」
そういうことだよ、とライナーがニコラにいう。
「いつまでも子ども扱いなんだよ俺は」
「あー、わかります。歳の離れた兄弟って親のように子ども扱いしますよね。俺にも歳の離れた従姉がいるので」
「そうなんだよ。エメはひとり身で可愛そうな兄を甘やかせてくれる優しい子なんだ。だから本気で嫌がったり恋人ができるまでは続けるつもりだ」
ライナーが恋人を作るまでは相手を作るつもりはないので当分は甘えられることになる。
嬉しくて尻尾を揺らしていると、ニコラが小さく笑った。
「そうなんですね。さ、そろそろお仕事の時間ですよライナー先生」
「そうだな」
ライナーが手を上げ、それにこたえるように手を振るとふたりの姿を眺める。
エメにするようにニコラの髪を撫でた。子供にする所は見たことがあるが、自分以外の同じ年頃にはなかった。だから気になってしまったのだろう。
「はぁ、この時間って眠くなるよね」
「あぁ。だが、この誘惑に負けてしまったら最後だぞ」
その通りだ。少しのつもりが一時間、二時間とたっている時がある。
「そうなんだけどね。こうしていたい」
「俺もだ。日向ぼっこをした後のお前の匂いが好きなんだよなぁ」
お日様の匂いだと鼻を近づけて嗅いでいる。それがくすぐったくて、体を支えている手を尻尾で叩いた。
「ライナー先生はダメ。くすぐったいんだもの」
ライナーに匂いを嗅がれると体がぞくぞくとして落ち着かないからだ。
「エメだって匂いを嗅ぐだろう?」
「俺はいいの。ライナー先生の服が臭くないかチェックしているだけだから」
「ミドル脂臭か? 獣人は人の子よりも嗅覚が優れているからな」
自分の匂いを嗅いで首を傾げている。
「ライナー先生は忙しいと何日も同じの着ているでしょ」
「そういうことか」
椅子に掛けたまま持ち帰るのを忘れることがある。
「臭いから近寄らないでと言われなくて良かった」
「言わないよ。ライナー先生の傍にいたいもの」
「そうか。可愛いなエメは」
と耳に軽く口づける。完全に子ども扱いだ。
「ライナー先生、俺は立派な大人の雄ですけど」
「わかっているよ」
乱暴に頭をなでると立ち上がった。
「さてと、そろそろ時間だな」
大きく伸びをしてズボンの後ろをはたいた。
いつも階段を下りて病院の出入り口まで送ってくれる。ゆっくりと歩くのは少しでも長く一緒にいたいからだ。
「ライナー先生、今日はレッドトマのスープだよ」
レッドトマという甘みと酸味がある赤色の野菜で作ったスープで、細かく叩いた肉を団子状にしたものをその中に入れると美味しい。それに硬めに焼いたパンを浸して食べる。
「わかった。エメ、今日もありがとうな。気を付けて帰れよ」
「うん。ライナー先生もお仕事頑張って」
またねの挨拶をしているところに、
「うわぁ」
近くで声が上がり、そろってそちらの方へと顔を向けた。そこにいるのはニコラだ。
「ごめんなさい、邪魔をするつもりじゃ……」
口元に手を当ててうつむいている。
「これ、俺とライナー先生のまたねの挨拶なんだ」
「またねの挨拶?」
診療所の人は皆知っている。ふたりにとっては挨拶だからだから誰かの前でもする。いつまでも甘えん坊だとからかわれるがそれでもやめたくはない。
「てっきり恋人同士なのかと思いましたよ」
「あ……勘違いさせちゃったかな」
あまりに距離が近いからだろう。親子ほどの歳が離れた相手などライナーは恋人のように思うことはないだろう。だから勘違いさせてしまったとエメは思うのだ。
「俺には兄と姉はいるが弟はいなくてな。つい、可愛くて甘えてしまうんだ」
そういうことだよ、とライナーがニコラにいう。
「いつまでも子ども扱いなんだよ俺は」
「あー、わかります。歳の離れた兄弟って親のように子ども扱いしますよね。俺にも歳の離れた従姉がいるので」
「そうなんだよ。エメはひとり身で可愛そうな兄を甘やかせてくれる優しい子なんだ。だから本気で嫌がったり恋人ができるまでは続けるつもりだ」
ライナーが恋人を作るまでは相手を作るつもりはないので当分は甘えられることになる。
嬉しくて尻尾を揺らしていると、ニコラが小さく笑った。
「そうなんですね。さ、そろそろお仕事の時間ですよライナー先生」
「そうだな」
ライナーが手を上げ、それにこたえるように手を振るとふたりの姿を眺める。
エメにするようにニコラの髪を撫でた。子供にする所は見たことがあるが、自分以外の同じ年頃にはなかった。だから気になってしまったのだろう。
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