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年下ワンコはご主人様が好き
16・波多
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※※※
まずは食事を済ませ、その後はリビングに場所を移して他愛もない話をする。
久世は話が気になっているのだろう、そわそわとしていたがいつまでたっても話始めない波多にしびれを切らしたようだ。
「波多さん、お話があるんですよね?」
「そうだな。お茶を入れてくるから待ってろ」
とキッチンへ向かい、戸棚に用意しておいた湯呑を取り出し、波多好みの少し渋めの緑茶を入れてお盆にのせて運ぶ。
それを見た久世がほっこりと笑う。引っ越しをする時に渡された夫婦湯呑を使ったからだ。
『いつかこれを俺と波多さんとで使う事が出来たら嬉しいです』
と、恋人になれたら嬉しいですという思いがこもている。
「使ってくれたんですね」
「あぁ。大輝、湯呑だけじゃなくて、茶碗と箸も買ってくれるか?」
「茶碗と箸ですか?」
「あぁ」
湯呑を指させば、その意味に気が付いた久世がアッと目を見開いた。
「はい、勿論です。一緒に選びに行きましょう」
ソファーから立ち、波多の隣に座ると強く抱きしめてきて、頬を摺り寄せて頭を撫でた。
「……好きだ」
そう告げると、久世は嬉しそうに肩に額をぐりぐりとさせた。
「波多さん、俺、嬉しいです。愛してます」
「はは、本当、お前は俺が好きな」
「そういう波多さんだって、俺が告白したときには好きでしたよね?」
「違う、その前からだ。お前の指導をしていた時から好きだった」
久世に彼女がいたころに店へと連れていかれたことがあった。それがあって直に認められなかった。
それを久世に伝えると、反省するところかなぜか喜んでいる。
「そうだったんですね。そんな前から好きでいてくれたなんて」
「そうだよっ、悪いか!」
「いいえ。嬉しすぎてどうにかなっちゃいそうです」
とぎゅうぎゅうと抱きしめられて、鬱陶しいと突放す。
「恋人同士になったんですから、良いじゃないですか」
再び抱きつかれそうになり、これとそれとは別だと言って拒否する。
「うう。じゃぁ、名前で呼ぶのはイイですよね?」
そう言われて、名前くらいは別にかまわないのでOKを出す。
「やったっ! 翔真さん」
うふうふ、と、気持ち悪い笑い方をしながら名前を呼ばれて、波多は照れるよりも引いてしまった。
「お前、最高にキモイ」
「だって、恋人として名前で呼び合えるんですよ! こんなに嬉しい事はないじゃないですか」
そうだとしてもだ。
「はやまったか」
「えぇっ、そんな」
久世は頬を叩き表情を引き締める。そうしていれば男前だ。
「嘘だよ」
ほんのりと赤く染まる頬をさすってやれば、良かったと安堵のため息をつく。
「翔真さん、今日は舐める以外の事もして良いですか?」
手を掴まれて。キスをしそうな勢いで顔を近づけてくるが、顔を反らしてそれを拒否る。
「まだ駄目」
「えぇ、何で、ですか!」
まだ待てをしないといけませんかと嘆く久世に、
「今度の料理教室で、一人でカレーを作れ」
と条件を付ける。
「カレー、ですか」
「あぁ。ごく普通の家庭的なカレーで良い。できるか」
「できたら、翔真さんの全部をください」
どんなにまずいモノを作っても、波多は久世に全てをあげるつもりだった。だが、それは口にせず、
「わかった。俺が欲しければ頑張ることだ」
と返した。
次、集まるのは一週間後の予定となっていた。
それまで後を指で慣らしておきたい。いざという時に入れることが出来なかったら嫌だからだ。
素直に久世に言えばいいだけなのだが、俺がやると言われかねないので黙って準備をするつもりでいた。
まずは食事を済ませ、その後はリビングに場所を移して他愛もない話をする。
久世は話が気になっているのだろう、そわそわとしていたがいつまでたっても話始めない波多にしびれを切らしたようだ。
「波多さん、お話があるんですよね?」
「そうだな。お茶を入れてくるから待ってろ」
とキッチンへ向かい、戸棚に用意しておいた湯呑を取り出し、波多好みの少し渋めの緑茶を入れてお盆にのせて運ぶ。
それを見た久世がほっこりと笑う。引っ越しをする時に渡された夫婦湯呑を使ったからだ。
『いつかこれを俺と波多さんとで使う事が出来たら嬉しいです』
と、恋人になれたら嬉しいですという思いがこもている。
「使ってくれたんですね」
「あぁ。大輝、湯呑だけじゃなくて、茶碗と箸も買ってくれるか?」
「茶碗と箸ですか?」
「あぁ」
湯呑を指させば、その意味に気が付いた久世がアッと目を見開いた。
「はい、勿論です。一緒に選びに行きましょう」
ソファーから立ち、波多の隣に座ると強く抱きしめてきて、頬を摺り寄せて頭を撫でた。
「……好きだ」
そう告げると、久世は嬉しそうに肩に額をぐりぐりとさせた。
「波多さん、俺、嬉しいです。愛してます」
「はは、本当、お前は俺が好きな」
「そういう波多さんだって、俺が告白したときには好きでしたよね?」
「違う、その前からだ。お前の指導をしていた時から好きだった」
久世に彼女がいたころに店へと連れていかれたことがあった。それがあって直に認められなかった。
それを久世に伝えると、反省するところかなぜか喜んでいる。
「そうだったんですね。そんな前から好きでいてくれたなんて」
「そうだよっ、悪いか!」
「いいえ。嬉しすぎてどうにかなっちゃいそうです」
とぎゅうぎゅうと抱きしめられて、鬱陶しいと突放す。
「恋人同士になったんですから、良いじゃないですか」
再び抱きつかれそうになり、これとそれとは別だと言って拒否する。
「うう。じゃぁ、名前で呼ぶのはイイですよね?」
そう言われて、名前くらいは別にかまわないのでOKを出す。
「やったっ! 翔真さん」
うふうふ、と、気持ち悪い笑い方をしながら名前を呼ばれて、波多は照れるよりも引いてしまった。
「お前、最高にキモイ」
「だって、恋人として名前で呼び合えるんですよ! こんなに嬉しい事はないじゃないですか」
そうだとしてもだ。
「はやまったか」
「えぇっ、そんな」
久世は頬を叩き表情を引き締める。そうしていれば男前だ。
「嘘だよ」
ほんのりと赤く染まる頬をさすってやれば、良かったと安堵のため息をつく。
「翔真さん、今日は舐める以外の事もして良いですか?」
手を掴まれて。キスをしそうな勢いで顔を近づけてくるが、顔を反らしてそれを拒否る。
「まだ駄目」
「えぇ、何で、ですか!」
まだ待てをしないといけませんかと嘆く久世に、
「今度の料理教室で、一人でカレーを作れ」
と条件を付ける。
「カレー、ですか」
「あぁ。ごく普通の家庭的なカレーで良い。できるか」
「できたら、翔真さんの全部をください」
どんなにまずいモノを作っても、波多は久世に全てをあげるつもりだった。だが、それは口にせず、
「わかった。俺が欲しければ頑張ることだ」
と返した。
次、集まるのは一週間後の予定となっていた。
それまで後を指で慣らしておきたい。いざという時に入れることが出来なかったら嫌だからだ。
素直に久世に言えばいいだけなのだが、俺がやると言われかねないので黙って準備をするつもりでいた。
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