甘える君は可愛い

希紫瑠音

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年下ワンコはご主人様が好き

7・久世

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 机に伏せて戻ってくるのを待っていると、眠気に襲われウトウトとしはじめたが、おいと声を掛けられてびくりと体が跳ね上がる。

「波多さん。いったい何処へ行っていたんですか」

 寂しかったですと波多の肩に頭をぐりぐりとさせる。

「何処でも良いだろうが。で、三木本から話は聞いたか?」

 鬱陶しいと顔を引き離されてしまったが、寂しかったという気持ちが伝わったか、そのまま頭を撫でてくれた。

「はい。あ、八潮課長も参加することになりましたので」
「そうか!」

 やけに嬉しそうなので理由を尋ねてみれば、

「この料理教室は三木本の為でもあるからな」

 と言う。友達思いで優しい波多。その気持ちがこちらにまで伝わってきて、久世まで嬉しくなってきて気持ちがおさまらない。

「波多さん優しいですね。そういう所も大好きです」

 キスがしたい。
 
 そんな思いで、波多の唇を見つめる。

 波多はそれに気が付いたようで、顔を赤く染めて久世から顔を背けた。

 駄目だったかと諦めかけたが、

「……ついて来い」

 と手を握りしめられた。

 向かった先はミーティングルーム。部屋に入りドアを閉めた瞬間、久世は波多の唇を奪っていた。

「ん、はたさん、すき」
「んぁっ、んふ、だいき、がっつくな」

 がぶがぶと深く食いつけば、引き離されて調子にのるなと額を弾かれた。

「だって、波多さんが応えてくれたから」

 嬉しくて我慢できなかったと、もう一度、食らいつこうとしたら顔面に手を当てられて止められた。

「だからさっきのキスは受け入れただろう? でも、二度目は駄目だ」

 頬を赤く染めて色気を振りまく。そんな状態で言われても止められるわけがない。

「波多さんが足りません。もっとしたい」

 前髪を摘まみ、軽く唇を押し付ける。

 キス意外にも波多が欲しい。

 そんな欲を含んだ目をして間近で見つめる。

「そんな顔しても今は駄目だ。そうだな……今晩も俺の事を良い子で待っていられたら一か所だけ舐めさせてやるよ」

 今晩と言われ、期待に胸が高鳴る。

 それは夜のお誘いという事かと喜びかけた久世だが、

「てことで、久世、今日は用事があるから一人で帰れ」

 後に続く言葉に目を丸くする。

 昼だけでなく帰りもとは思わなかった。まさか誰かと待ち合わせでもしているのだろうか?

 面倒見が良くて優しい人なのだ。波多の事を狙っている人からの誘いかもしれない。

「もしかして誰かと会う約束でもしているのですか!?」
「そうだ」
「駄目です、波多さん、二人きりなんかで会わないで!!」

 行かせませんからと、波多を強く抱きしめるが、

「うるさい。俺が誰と会おうがかまわないだろう。それよりも、ご褒美はいらないのか?」
「うっ、欲しいですけど、二人きりで会うのは嫌です」
「なんだお前、妬いているのか? 安心しろ、相手の方には恋人がいる」

 そう言われて、安心した久世は波多を抱きしめる手を緩めた。

「一人で帰れるな」

 念を押されて、だけど一人で帰る事には変わらないので複雑な気持ちだ。

「……わかりました」
「よし。遅くなってもちゃんと待っていろよ」

 と、波多の手が優しく頬を撫でてくれる。

「良い子で待ってますから、出来るだけはやく来てほしいです」

 その手に甘えるように摺りよれば、解ったと返事をくれた。
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