17 / 59
年下ワンコはご主人様が好き
7・久世
しおりを挟む
机に伏せて戻ってくるのを待っていると、眠気に襲われウトウトとしはじめたが、おいと声を掛けられてびくりと体が跳ね上がる。
「波多さん。いったい何処へ行っていたんですか」
寂しかったですと波多の肩に頭をぐりぐりとさせる。
「何処でも良いだろうが。で、三木本から話は聞いたか?」
鬱陶しいと顔を引き離されてしまったが、寂しかったという気持ちが伝わったか、そのまま頭を撫でてくれた。
「はい。あ、八潮課長も参加することになりましたので」
「そうか!」
やけに嬉しそうなので理由を尋ねてみれば、
「この料理教室は三木本の為でもあるからな」
と言う。友達思いで優しい波多。その気持ちがこちらにまで伝わってきて、久世まで嬉しくなってきて気持ちがおさまらない。
「波多さん優しいですね。そういう所も大好きです」
キスがしたい。
そんな思いで、波多の唇を見つめる。
波多はそれに気が付いたようで、顔を赤く染めて久世から顔を背けた。
駄目だったかと諦めかけたが、
「……ついて来い」
と手を握りしめられた。
向かった先はミーティングルーム。部屋に入りドアを閉めた瞬間、久世は波多の唇を奪っていた。
「ん、はたさん、すき」
「んぁっ、んふ、だいき、がっつくな」
がぶがぶと深く食いつけば、引き離されて調子にのるなと額を弾かれた。
「だって、波多さんが応えてくれたから」
嬉しくて我慢できなかったと、もう一度、食らいつこうとしたら顔面に手を当てられて止められた。
「だからさっきのキスは受け入れただろう? でも、二度目は駄目だ」
頬を赤く染めて色気を振りまく。そんな状態で言われても止められるわけがない。
「波多さんが足りません。もっとしたい」
前髪を摘まみ、軽く唇を押し付ける。
キス意外にも波多が欲しい。
そんな欲を含んだ目をして間近で見つめる。
「そんな顔しても今は駄目だ。そうだな……今晩も俺の事を良い子で待っていられたら一か所だけ舐めさせてやるよ」
今晩と言われ、期待に胸が高鳴る。
それは夜のお誘いという事かと喜びかけた久世だが、
「てことで、久世、今日は用事があるから一人で帰れ」
後に続く言葉に目を丸くする。
昼だけでなく帰りもとは思わなかった。まさか誰かと待ち合わせでもしているのだろうか?
面倒見が良くて優しい人なのだ。波多の事を狙っている人からの誘いかもしれない。
「もしかして誰かと会う約束でもしているのですか!?」
「そうだ」
「駄目です、波多さん、二人きりなんかで会わないで!!」
行かせませんからと、波多を強く抱きしめるが、
「うるさい。俺が誰と会おうがかまわないだろう。それよりも、ご褒美はいらないのか?」
「うっ、欲しいですけど、二人きりで会うのは嫌です」
「なんだお前、妬いているのか? 安心しろ、相手の方には恋人がいる」
そう言われて、安心した久世は波多を抱きしめる手を緩めた。
「一人で帰れるな」
念を押されて、だけど一人で帰る事には変わらないので複雑な気持ちだ。
「……わかりました」
「よし。遅くなってもちゃんと待っていろよ」
と、波多の手が優しく頬を撫でてくれる。
「良い子で待ってますから、出来るだけはやく来てほしいです」
その手に甘えるように摺りよれば、解ったと返事をくれた。
「波多さん。いったい何処へ行っていたんですか」
寂しかったですと波多の肩に頭をぐりぐりとさせる。
「何処でも良いだろうが。で、三木本から話は聞いたか?」
鬱陶しいと顔を引き離されてしまったが、寂しかったという気持ちが伝わったか、そのまま頭を撫でてくれた。
「はい。あ、八潮課長も参加することになりましたので」
「そうか!」
やけに嬉しそうなので理由を尋ねてみれば、
「この料理教室は三木本の為でもあるからな」
と言う。友達思いで優しい波多。その気持ちがこちらにまで伝わってきて、久世まで嬉しくなってきて気持ちがおさまらない。
「波多さん優しいですね。そういう所も大好きです」
キスがしたい。
そんな思いで、波多の唇を見つめる。
波多はそれに気が付いたようで、顔を赤く染めて久世から顔を背けた。
駄目だったかと諦めかけたが、
「……ついて来い」
と手を握りしめられた。
向かった先はミーティングルーム。部屋に入りドアを閉めた瞬間、久世は波多の唇を奪っていた。
「ん、はたさん、すき」
「んぁっ、んふ、だいき、がっつくな」
がぶがぶと深く食いつけば、引き離されて調子にのるなと額を弾かれた。
「だって、波多さんが応えてくれたから」
嬉しくて我慢できなかったと、もう一度、食らいつこうとしたら顔面に手を当てられて止められた。
「だからさっきのキスは受け入れただろう? でも、二度目は駄目だ」
頬を赤く染めて色気を振りまく。そんな状態で言われても止められるわけがない。
「波多さんが足りません。もっとしたい」
前髪を摘まみ、軽く唇を押し付ける。
キス意外にも波多が欲しい。
そんな欲を含んだ目をして間近で見つめる。
「そんな顔しても今は駄目だ。そうだな……今晩も俺の事を良い子で待っていられたら一か所だけ舐めさせてやるよ」
今晩と言われ、期待に胸が高鳴る。
それは夜のお誘いという事かと喜びかけた久世だが、
「てことで、久世、今日は用事があるから一人で帰れ」
後に続く言葉に目を丸くする。
昼だけでなく帰りもとは思わなかった。まさか誰かと待ち合わせでもしているのだろうか?
面倒見が良くて優しい人なのだ。波多の事を狙っている人からの誘いかもしれない。
「もしかして誰かと会う約束でもしているのですか!?」
「そうだ」
「駄目です、波多さん、二人きりなんかで会わないで!!」
行かせませんからと、波多を強く抱きしめるが、
「うるさい。俺が誰と会おうがかまわないだろう。それよりも、ご褒美はいらないのか?」
「うっ、欲しいですけど、二人きりで会うのは嫌です」
「なんだお前、妬いているのか? 安心しろ、相手の方には恋人がいる」
そう言われて、安心した久世は波多を抱きしめる手を緩めた。
「一人で帰れるな」
念を押されて、だけど一人で帰る事には変わらないので複雑な気持ちだ。
「……わかりました」
「よし。遅くなってもちゃんと待っていろよ」
と、波多の手が優しく頬を撫でてくれる。
「良い子で待ってますから、出来るだけはやく来てほしいです」
その手に甘えるように摺りよれば、解ったと返事をくれた。
0
<シリーズ>
社員食堂で休息を(URL)
社員食堂で休息を(URL)
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説

僕の部下がかわいくて仕方ない
まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
しのぶ想いは夏夜にさざめく
叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。
玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。
世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう?
その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。
『……一回しか言わないから、よく聞けよ』
世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる