甘える君は可愛い

希紫瑠音

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年下ワンコとご主人様

5・波多

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 それが気まずく、

「ていうか、お前、なんでここで寝てんだよ」

 ハウスとリビングの方を指さすが、ベッドから降りようとしない。

「あの、波多さんになら、俺、触られたっていいんですよ?」
「は、何を言って」
「寧ろ、どんどん触って欲しいです!」

 甘えるよう言われ、ごくとつばを飲み込む。

 この頃、縁がなくてベッドでこういう雰囲気になるのもご無沙汰だ。

 期待するような顔で見つめられるが、彼女の姿がちらりと脳裏に浮かび、その手は肌を撫でるのではなくベッドから突き落とした。

「のわっ。乱暴だなぁ」
「てめぇなんて触りたくねぇよ。そういう事は彼女に言え!」

 触りそうになった自分に対する怒りが、久世に対しての怒りに変わる。

「俺が、ゲイだから言っているのか!」

 勢いあまって、言わなくてもいいことをつい口にしてしまった。

「え、波多さんって、ゲイなんですか?」

 と驚いた顔をする久世に、血の気を失った。なぜ、ばらしてしまったのだろう。

 だが、気持ち悪いと思って離れていくかもしれない。そうだ、そう望んでいたじゃないか。

「そうだよ、俺の恋愛対象は男なんだよ!」

 開き直り、そう口にする。

「そうなんですか」

 久世は特に気にする様子もく、波多をベッドに組み敷いて顔を近づける。

「お前、解っているのか!?」
「はい。波多さんは男の人が好きってだけですよね」
「あぁ。気持ち悪い、だろ?」
「全然。だって、波多さんは波多さんでしょう?」

 久世は、何故そんな事を言うのかと小首を傾げた。

「さっきの続きなんですが、触ってくれないのなら、俺が波多さんを舐めて良いですか?」

 と、シャツの中へ顔を突っ込んだ。

「何をっ」

 頭を押さえて追い出そうとするが、久世の暴走は止まらない。

「波多さん、はたさんっ」

 舌先で乳首をチロチロと舐められて、熟れた実はかたく芯を持つ。

「ひゃっ、久世、よせ」
「はたさん、おっぱいきもちいい?」
「何が気持ちいい、だよ。んっ、やだ」
「乳首、かたくなってきましたね、こりこりしてます」

 もう片方を指で摘まみ刺激されて、ぷつっと何かがきれた。

「くぜぇ、いい加減にしろおぉぉっ!!」

 波多の握り拳が振り下ろされて、久世がシャツの中で飛び跳ねる。

「痛あぁぁ」

 涙目を浮かべ、何をするんだというような表情を浮かべる久世に。

「このボケが。盛りやがって」

 と、さらにデコピンをくらわせてやる。

「うっ、なんで、ですか! 俺はただ波多さんの事を舐めたいだけなのに」

 だから、どうしてそうなるのだ。

「ふざけんな!! 俺は犬用のおやつじゃない。舐めても不味いだけだ」
「ふざけてません。それに波多さんは甘くて良い味しますから!」

 そういうとシャツを捲り、唾液で濡れた乳首へと再び舌を這わそうとする。

「だから、舐めんじゃねぇって」

 頬を両手で挟み込んで、せまる久世を引き離す。

「なら噛んでもイイですか?」
「噛むのもダメ。ていうか帰れ!」
「……先にさわったの、波多さんなのに」

 ボソッとそうつっこまれて、波多は枕を顔面に向けて投げた。

「ぶふっ」
「とにかく、この部屋から出ていけ」

 蹴とばして出て行けと手を払うと、投げた枕を持ってしぶしぶと部屋を出て行った。

「こら、枕は返せって、くそ!!」

 顔が熱い。

 久世に舐められた箇所が疼いてしまう。

「なんなんだよ」

『全然。だって、波多さんは波多さんでしょう?』

 その久世の言葉が耳から離れない。その言葉がすごく嬉しかった。
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