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年下ワンコとご主人様
6・久世
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波多の枕に顔を埋めれば、彼の匂いがして落ち着く。
「波多さん、ゲイだったんだな……」
別にゲイだからといって関係なかった。それよりか寧ろ、良かったと思う。
「男の人がすきなら、俺の事、もっと可愛がってくれるかな」
もっと波多の事を舐めたいし、自分にも触ってほしい。
「今度は別の場所も舐めてイイかな」
彼の下半身のモノから流れる蜜はどんな味がするのだろう。
もっと舐めたい、もっと欲しい。そんな欲が久世の身体を熱くさせた。
結局、うつぶせのまま寝てしまい、朝、後頭部を叩かれて目が覚める。
「久世、飯。席はリビング側の方な」
山盛りの白米に焼き魚、そしてお味噌汁。久世の方にはさらに卵焼きとほうれんそうの胡麻和えもついていた。
「わぁ、おいしそう」
テーブルの上の食事の匂いをかぎつつ、早く食べたいなと、まるで犬が餌を前にマテをするように波多をじっと見る。
「て、お前、服くらい着ろよな!」
パンツ一枚でキッチンへ来てしまった事を怒られる。
「あ、すぐに着てきます」
綺麗に折りたたまれたズボンとシャツ。上着はハンガーに吊るしてあった。
「波多さん、ありがとうございます」
「脱ぎ散らかすとか、ふざけんなよ。俺はお前のオカンじゃねぇんだから」
シャツとズボンを身に着け、言われた方の席へと座る。
朝食はパンを焼いて食べるくらいなので、旅館の朝食で出てくるようなメニューに感動する。
「わざわざ作ってくれたんですか?」
「は? お前の為になんてつくらねぇよ」
とは言いつつも、頬が微かに赤く染まっているのは気のせいだろうか。
折角の休みだというのに波多はつれない。
もう少し一緒にいたかったのに、朝食を終えるとすぐに「帰れ」と言われ家を追い出されそうになる。
それでも帰りたくないと駄々をこね、なんとか昼近くまで一緒にいたが、上着やら鞄やらと一緒に外へと放り出されてしまった。
暫くは玄関のドアに張り付いて、中の波多へと声を掛け続ければ、
「うるさい。近所迷惑」
とドアが開き、そしてタクシーを呼んだと外を指さす。
「波多さぁん」
「ほら、早く外に行けよ」
甘えても中には入れて貰えず、背中を押されてドアが閉まる。
悲しすぎる。
久世は肩を落として歩き出した。
※※※
どうしたら波多の全てが手に入るのだろう。
それを相談できるのは八潮しかいないと、忙しいことは承知のうえで相談にのって欲しいと頼む。
「いいよ」
おいでと手を引かれてミーティングルームへと向かう。
「で、どうしたの?」
「実は、ですね。波多さんの事なんですけど……」
「波多君? 何、ご主人様が意地悪すぎるって」
「いえ! 違うんです。俺、波多さんの全てが欲しいんですけど、どうしたら良いと思います?」
「え、全て? それはどういう意味でかな」
八潮は驚きながらも、どこか楽しげな表情を浮かべている。
「波多さん事、どこもかしこも舐めたいんです」
「それは、ますます犬っぽいというか。そうだねぇ、それは波多君に正直に言うしかないね。無理やりに舐めるもんじゃないし」
嫌われたくないんだろうと言われ、昨日、既に無理やり舐めてしまった事は黙っておいて「はい」と頷く。
「正直に言って、嫌だと言われてしまったら?」
「おや、君はすぐにはあきらめる子じゃないでしょう? がんばりなさい」
「はい、頑張ります!」
「うん、いい子」
八潮に頭を撫でられるのも好きだ。とても優しい手をしているからだ。
しきりに頭を撫でられ、気持ち良くて瞼がとろんとし始める。
「おや、眠くなってしまったのかい? いいよ、少しお休み」
「ふぁい、おやすみなさいかちょ……」
意識が落ち始め、頭を抱えられる。
暖かいなとウットリしかけた時、ドアをノックする音が聞こえ、八潮が中に入るように言う声が聞こえる。
「なっ、おい、てめぇ、起きろ、久世!」
と怒鳴られて、ビクッと跳ね起きる。
そこにはコンビニの袋を手に、先輩の三木本蓮が立っており、元々目つきの悪い男なのだが、普段の表情には慣れたが、それにプラスして険しい表情を浮かべるものだからビビってしまった。
「三木本君、そんなに怖い顔をしないの。ワンコちゃんが驚いちゃったじゃない」
「はぁ? 俺は生まれつきこんな顔です。ていうか、課長、飯食ったんですか!」
三木本はいつも八潮の食事の事を心配している。よくこのセリフを聞くなと二人を眺める。
「時間があれば食べるから」
ね、と、言うけれど、三木本は後を振り返り、
「おい、波多、まて! お前ンちの犬、どうにかしろよな」
と波多を呼ぶ。
「はぁ? 俺は一服したいんだよ」
ブツブツと文句を垂れつつ、ミーティングルームを覗き込む。
「あらら、折角のお昼寝タイムだったのにねぇ。残念だね、ワンコちゃん」
頭を撫でる八潮に、波多も三木本同様に険しい顔つきとなる。
「久世、てめぇ、羨まし……、じゃなくて、八潮課長に迷惑かけんな」
心の声を漏らしつつ、腕を掴まれて八潮から引き離されてしまう。
「酷いなぁ、波多君。僕の癒しの時間だったのに」
しょうがないねと、立ち上がり。
「僕はご飯を食べてくるから、波多君、後は二人でお話なさいね。三木本君、行こうか」
「はい」
ぽんと三木本の背中を叩きミーティングルームから出ていってしまった。
「波多さん、ゲイだったんだな……」
別にゲイだからといって関係なかった。それよりか寧ろ、良かったと思う。
「男の人がすきなら、俺の事、もっと可愛がってくれるかな」
もっと波多の事を舐めたいし、自分にも触ってほしい。
「今度は別の場所も舐めてイイかな」
彼の下半身のモノから流れる蜜はどんな味がするのだろう。
もっと舐めたい、もっと欲しい。そんな欲が久世の身体を熱くさせた。
結局、うつぶせのまま寝てしまい、朝、後頭部を叩かれて目が覚める。
「久世、飯。席はリビング側の方な」
山盛りの白米に焼き魚、そしてお味噌汁。久世の方にはさらに卵焼きとほうれんそうの胡麻和えもついていた。
「わぁ、おいしそう」
テーブルの上の食事の匂いをかぎつつ、早く食べたいなと、まるで犬が餌を前にマテをするように波多をじっと見る。
「て、お前、服くらい着ろよな!」
パンツ一枚でキッチンへ来てしまった事を怒られる。
「あ、すぐに着てきます」
綺麗に折りたたまれたズボンとシャツ。上着はハンガーに吊るしてあった。
「波多さん、ありがとうございます」
「脱ぎ散らかすとか、ふざけんなよ。俺はお前のオカンじゃねぇんだから」
シャツとズボンを身に着け、言われた方の席へと座る。
朝食はパンを焼いて食べるくらいなので、旅館の朝食で出てくるようなメニューに感動する。
「わざわざ作ってくれたんですか?」
「は? お前の為になんてつくらねぇよ」
とは言いつつも、頬が微かに赤く染まっているのは気のせいだろうか。
折角の休みだというのに波多はつれない。
もう少し一緒にいたかったのに、朝食を終えるとすぐに「帰れ」と言われ家を追い出されそうになる。
それでも帰りたくないと駄々をこね、なんとか昼近くまで一緒にいたが、上着やら鞄やらと一緒に外へと放り出されてしまった。
暫くは玄関のドアに張り付いて、中の波多へと声を掛け続ければ、
「うるさい。近所迷惑」
とドアが開き、そしてタクシーを呼んだと外を指さす。
「波多さぁん」
「ほら、早く外に行けよ」
甘えても中には入れて貰えず、背中を押されてドアが閉まる。
悲しすぎる。
久世は肩を落として歩き出した。
※※※
どうしたら波多の全てが手に入るのだろう。
それを相談できるのは八潮しかいないと、忙しいことは承知のうえで相談にのって欲しいと頼む。
「いいよ」
おいでと手を引かれてミーティングルームへと向かう。
「で、どうしたの?」
「実は、ですね。波多さんの事なんですけど……」
「波多君? 何、ご主人様が意地悪すぎるって」
「いえ! 違うんです。俺、波多さんの全てが欲しいんですけど、どうしたら良いと思います?」
「え、全て? それはどういう意味でかな」
八潮は驚きながらも、どこか楽しげな表情を浮かべている。
「波多さん事、どこもかしこも舐めたいんです」
「それは、ますます犬っぽいというか。そうだねぇ、それは波多君に正直に言うしかないね。無理やりに舐めるもんじゃないし」
嫌われたくないんだろうと言われ、昨日、既に無理やり舐めてしまった事は黙っておいて「はい」と頷く。
「正直に言って、嫌だと言われてしまったら?」
「おや、君はすぐにはあきらめる子じゃないでしょう? がんばりなさい」
「はい、頑張ります!」
「うん、いい子」
八潮に頭を撫でられるのも好きだ。とても優しい手をしているからだ。
しきりに頭を撫でられ、気持ち良くて瞼がとろんとし始める。
「おや、眠くなってしまったのかい? いいよ、少しお休み」
「ふぁい、おやすみなさいかちょ……」
意識が落ち始め、頭を抱えられる。
暖かいなとウットリしかけた時、ドアをノックする音が聞こえ、八潮が中に入るように言う声が聞こえる。
「なっ、おい、てめぇ、起きろ、久世!」
と怒鳴られて、ビクッと跳ね起きる。
そこにはコンビニの袋を手に、先輩の三木本蓮が立っており、元々目つきの悪い男なのだが、普段の表情には慣れたが、それにプラスして険しい表情を浮かべるものだからビビってしまった。
「三木本君、そんなに怖い顔をしないの。ワンコちゃんが驚いちゃったじゃない」
「はぁ? 俺は生まれつきこんな顔です。ていうか、課長、飯食ったんですか!」
三木本はいつも八潮の食事の事を心配している。よくこのセリフを聞くなと二人を眺める。
「時間があれば食べるから」
ね、と、言うけれど、三木本は後を振り返り、
「おい、波多、まて! お前ンちの犬、どうにかしろよな」
と波多を呼ぶ。
「はぁ? 俺は一服したいんだよ」
ブツブツと文句を垂れつつ、ミーティングルームを覗き込む。
「あらら、折角のお昼寝タイムだったのにねぇ。残念だね、ワンコちゃん」
頭を撫でる八潮に、波多も三木本同様に険しい顔つきとなる。
「久世、てめぇ、羨まし……、じゃなくて、八潮課長に迷惑かけんな」
心の声を漏らしつつ、腕を掴まれて八潮から引き離されてしまう。
「酷いなぁ、波多君。僕の癒しの時間だったのに」
しょうがないねと、立ち上がり。
「僕はご飯を食べてくるから、波多君、後は二人でお話なさいね。三木本君、行こうか」
「はい」
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