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年下ワンコとご主人様
4・波多
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喫茶店から戻り、時間まで喫煙席で煙草を吸う。
当たり前のようについてくる久世に、ハウスと言い席に戻らせる。煙草を吸わないのに喫煙室まで着いてこなくていい。
「ワンコちゃん、可哀そうじゃない」
後から八潮が喫煙室に入ってきて、ポケットからシガレットケースを取り出した。それは去年、三木本と波多がジッポとセットで贈った品だ。
「だって、煙草を吸わないのにここに居ても煙草臭いだけでしょう?」
「まぁ、そうだね。あ、そうそう、定時で上がれそうだから課の皆で飲みに行かない?」
「良いですね」
明日は休みなので気にすることなく飲める。
「他の子達にも声掛けしておいて」
「わかりました」
一足先に喫煙室から出ると、すぐに久世が傍へ寄ってくる。
「久世、今日、飲みに行くぞ!」
「はい、喜んで」
波多に誘われたことを素直に喜び、どの店に行くのかを聞いてくる。
もしかしたら二人きりだと思っているのだろうか。
なので、何処の店に行くかは言わずに他の同僚にも声掛けをする。
「皆と、なんですね」
と、残念そうに呟いた。
※※※
久世は酒に弱い。飲み会ではいつもセーブしている癖に今日に限って遠慮しない。
「おい、あんまりそいつに飲ませるなよ」
一緒に飲みに来ていた後輩に釘をさすが、当の本人がやめるきがないようで。酔ってぐでんぐでんになってしまった久世を送り届けるのは飼い主の仕事とばかりに八潮に言われてタクシーへと乗り込む。
こうなるのが嫌だったから釘をさしたのに。
住所を告げろと言っても波多の家に行くと聞かない。タクシーの運転手からは行先を催促されて仕方がないので自分のマンションの場所を告げる。
酔っ払いは適当に床の上にでも転がしておけばいいだろう。
「はたさんのおうち」
酔ってご機嫌なのと、念願の場所へ来れたことが余程に嬉しいのだろう。
前から何度も家に行きたいと言われていたのだがその度に嫌だと断っていたのだが、こんなカタチで家へと連れて行くことになろうとは思わなかった。
「久世、お前はこの部屋で寝ろ」
「はーい」
手を上げながら返事を返し、ソファーに横になって寝てしまう。
スーツがしわになろうが知ったことじゃない。波多は久世を無視して寝室へと向かった。
あれからベッドに横になるとすぐに寝てしまったようだ。
喉の渇きを覚え、ライトをつけて起きあがろうとしたが身体が動かない。
「え?」
自分を抱きしめる腕。その隣には何故かパンツ一枚の久世が気持ちよさそうに寝ている。
「な、なっ!?」
大きな声を出しそうになり、あわてて口を塞ぐ。
どうにか気持ちを落ち着かせ、まじまじと久世を眺める。意外と筋肉質な体で、腹筋も程よく割れている。
そう思えば、時間があるときはジムに行くと、以前言っていたことを思いだす。
「たく、のんきに寝てやがって」
と、ぼやきつつ。そっと手で割れ目を撫でる。
引き締まった身体はかなり好みだった。割れ目を撫でているうちに、もぞっと久世が身動きをする。
しまったと思った時にはもう遅かった。
「波多さん、くすぐったい、です」
と、ふにゃりと顔をゆるませ、撫でる手を掴まれてしまう。
「は、腹、割れてんなって思って……」
羨ましいなと、苦しまみれの言い訳を口にするが、じっと見つめるだけで何も言わない。
当たり前のようについてくる久世に、ハウスと言い席に戻らせる。煙草を吸わないのに喫煙室まで着いてこなくていい。
「ワンコちゃん、可哀そうじゃない」
後から八潮が喫煙室に入ってきて、ポケットからシガレットケースを取り出した。それは去年、三木本と波多がジッポとセットで贈った品だ。
「だって、煙草を吸わないのにここに居ても煙草臭いだけでしょう?」
「まぁ、そうだね。あ、そうそう、定時で上がれそうだから課の皆で飲みに行かない?」
「良いですね」
明日は休みなので気にすることなく飲める。
「他の子達にも声掛けしておいて」
「わかりました」
一足先に喫煙室から出ると、すぐに久世が傍へ寄ってくる。
「久世、今日、飲みに行くぞ!」
「はい、喜んで」
波多に誘われたことを素直に喜び、どの店に行くのかを聞いてくる。
もしかしたら二人きりだと思っているのだろうか。
なので、何処の店に行くかは言わずに他の同僚にも声掛けをする。
「皆と、なんですね」
と、残念そうに呟いた。
※※※
久世は酒に弱い。飲み会ではいつもセーブしている癖に今日に限って遠慮しない。
「おい、あんまりそいつに飲ませるなよ」
一緒に飲みに来ていた後輩に釘をさすが、当の本人がやめるきがないようで。酔ってぐでんぐでんになってしまった久世を送り届けるのは飼い主の仕事とばかりに八潮に言われてタクシーへと乗り込む。
こうなるのが嫌だったから釘をさしたのに。
住所を告げろと言っても波多の家に行くと聞かない。タクシーの運転手からは行先を催促されて仕方がないので自分のマンションの場所を告げる。
酔っ払いは適当に床の上にでも転がしておけばいいだろう。
「はたさんのおうち」
酔ってご機嫌なのと、念願の場所へ来れたことが余程に嬉しいのだろう。
前から何度も家に行きたいと言われていたのだがその度に嫌だと断っていたのだが、こんなカタチで家へと連れて行くことになろうとは思わなかった。
「久世、お前はこの部屋で寝ろ」
「はーい」
手を上げながら返事を返し、ソファーに横になって寝てしまう。
スーツがしわになろうが知ったことじゃない。波多は久世を無視して寝室へと向かった。
あれからベッドに横になるとすぐに寝てしまったようだ。
喉の渇きを覚え、ライトをつけて起きあがろうとしたが身体が動かない。
「え?」
自分を抱きしめる腕。その隣には何故かパンツ一枚の久世が気持ちよさそうに寝ている。
「な、なっ!?」
大きな声を出しそうになり、あわてて口を塞ぐ。
どうにか気持ちを落ち着かせ、まじまじと久世を眺める。意外と筋肉質な体で、腹筋も程よく割れている。
そう思えば、時間があるときはジムに行くと、以前言っていたことを思いだす。
「たく、のんきに寝てやがって」
と、ぼやきつつ。そっと手で割れ目を撫でる。
引き締まった身体はかなり好みだった。割れ目を撫でているうちに、もぞっと久世が身動きをする。
しまったと思った時にはもう遅かった。
「波多さん、くすぐったい、です」
と、ふにゃりと顔をゆるませ、撫でる手を掴まれてしまう。
「は、腹、割れてんなって思って……」
羨ましいなと、苦しまみれの言い訳を口にするが、じっと見つめるだけで何も言わない。
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