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友達になろう
試験対策(加瀬)
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俺の成績は良くもなければ悪くもない。赤点をとらなければいいや、という気持ちでテストを受けている。
そんな考え自体が駄目なんだと、一年の時から学年トップをキープし続ける真一が俺を冷たい目で見る。
恋人同士になったというのに相変わらず遠慮がない。ビビる俺を余所に鋭い視線を向けてくる。
「桂司にお前の勉強を見る様に言っておいたから」
俺の知らない所で、勝手に話をつけてた。
小崎も何気に忙しい人物なのだ。それに自分の勉強だってあるだろう。なのに俺の勉強を見させるなんてそんな迷惑はかけられない。
「見て貰わなくてもいいよ。小崎だって自分の勉強があるだろう?」
一人でも大丈夫だとそう言おうとしたら、
「はぁ? 何、桂司の心配なんかしちゃってるわけ」
いつの間にか壁際に追い込まれていて、しかも距離が近い。
ここでカッコいい決め台詞を言われたら胸がキュンとするのだろうが、顔を近づけて睨まれる俺は縮みあがるだけだ。
「桂司が良いって言ったんだから見て貰え」
解ったなと、俺の唇に軽くキスて離れる。
「ちょっと、真一」
ここがいくら死角であり、皆が俺達の事なんて気にしていないとしても、まだ授業の合間にある休憩時間の最中だ。俺が周りを気にしてびくびくしなければいけない時間ではないはずだ。
「昼休みにはもっと長いキスをしてやるよ。あ、それとも……」
真一は見られても構わないのだろうか。寧ろ、俺の反応を楽しんでいる様に見えなくもない。
「ほら、もう教室に戻りなよ」
これ以上変な事を言いだす前に教室に戻って貰おうと真一の背中を押す。
「じゃぁ、昼休みな」
と楽しそうに去っていく年下の恋人に、俺は疲れたとばかりにがっくりと肩を落としてその姿を見送った。
昼休み。
急いで待ち合わせの場所へと行くと既に真一の姿があり、手には英語の教科書があった。
「勉強していたの?」
「いや、優と久遠にやらせるプリントを作ろうと思ってな」
教科書を閉じ、弁当を取り食べ始める。
「いつもプリントとか作ってあげてるの?」
「あぁ。じゃねぇとあいつ等直ぐに怠けるからな」
そうだとしても友達の為にそこまでするなんて。
驚く俺に、真一は大したことじゃないというような口ぶりで毎年の事だという。
「はぁ、凄いなぁ。俺にはまねできないよ」
さすが学年トップを守り続ける事だけはある。
感心しつつお弁当を食べ終えた俺は水筒の中の暖かいお茶をコップに注ぐ。
「本当は俺が付きっ切りでお前の勉強を見たかったんだが、俺はあいつ等二人で手一杯だからな」
他の男に任せるのは本当は嫌だったんだからなと腰にぎゅっと真一の腕が回り、俺の胸へと顔を埋める。
「俺まで心配かけちゃってごめんね」
真一の頭を抱きかかえて額にキスを落とせば、
「そこじゃなくて唇によこせ」
と真一が唇を突き出す。
「えっ」
じっと真一の唇へと視線を向ければ、意識してしまって顔が熱くなる。
ドキドキと心臓がうるさいし手は震えてしまう。緊張しながら真一の唇へちょっとだけ触れて離れる。
「樹……」
真一の眉間にしわがよる。
うう、あんなのキスじゃないって言いたいんだろ? でも俺にとってはあれがいっぱいいっぱいだ。
「ごめん、でも無理」
半泣き状態で真一から離れようとすれば、後頭部を押さえつけられ唇を奪われた。
「んっ」
真一からのキスはとても気持ち良くて、このまま蕩けてしまうんじゃないだろうか。
「しん、いち」
崩れ落ちる体をそのまま押し倒す様に真一が俺に覆いかぶさり、服の中へと入り込んだ手が俺の肌を撫でる。
「ん、しんいち、だめ」
「エロいキスをしてくれたらやめてやる」
無理って言ったのに、まだ強請るか。
「真一のいじわる」
ぶわっと涙があふれでる。どうしてそんななの、君は。
「はぁ……。わかった。何もしないから泣くな」
と真一は親指の腹で涙を拭い取る。
「さて、そろそろ戻るか」
予鈴がそろそろなるころだと真一が起ちあがる。
「うん」
俺は弁当箱と水筒を抱えて立てば、真一の腕が回りグイッと引き寄せられる。
ふわっと耳元に息がかかり。
「樹、試験が終わったら覚悟しとけよ」
と俺の耳に囁いて、真一は部屋を出て行った。
「……ん、何の覚悟?」
首を傾げながら何の事かなと考えていた所で、真一が俺の肌を撫でていた事を思いだして、一気に熱が上がる。
そ、そういう事だよ、ね、たぶん。
うう、俺、ちゃんとできるのかな。キスだけでいっぱいいっぱいなのに。
「うわぁん、真一のバカぁ」
なんで去り際にそんな事を言うんだよ。俺はそのまま床に力なくしゃがみ込んだ。
試験が終わり、あれから、俺はがっつりと食べられました。
しかも真一が優しくて、おねだりをいっぱいしてしまった。
今思い出しても恥ずかしい……。
そんな考え自体が駄目なんだと、一年の時から学年トップをキープし続ける真一が俺を冷たい目で見る。
恋人同士になったというのに相変わらず遠慮がない。ビビる俺を余所に鋭い視線を向けてくる。
「桂司にお前の勉強を見る様に言っておいたから」
俺の知らない所で、勝手に話をつけてた。
小崎も何気に忙しい人物なのだ。それに自分の勉強だってあるだろう。なのに俺の勉強を見させるなんてそんな迷惑はかけられない。
「見て貰わなくてもいいよ。小崎だって自分の勉強があるだろう?」
一人でも大丈夫だとそう言おうとしたら、
「はぁ? 何、桂司の心配なんかしちゃってるわけ」
いつの間にか壁際に追い込まれていて、しかも距離が近い。
ここでカッコいい決め台詞を言われたら胸がキュンとするのだろうが、顔を近づけて睨まれる俺は縮みあがるだけだ。
「桂司が良いって言ったんだから見て貰え」
解ったなと、俺の唇に軽くキスて離れる。
「ちょっと、真一」
ここがいくら死角であり、皆が俺達の事なんて気にしていないとしても、まだ授業の合間にある休憩時間の最中だ。俺が周りを気にしてびくびくしなければいけない時間ではないはずだ。
「昼休みにはもっと長いキスをしてやるよ。あ、それとも……」
真一は見られても構わないのだろうか。寧ろ、俺の反応を楽しんでいる様に見えなくもない。
「ほら、もう教室に戻りなよ」
これ以上変な事を言いだす前に教室に戻って貰おうと真一の背中を押す。
「じゃぁ、昼休みな」
と楽しそうに去っていく年下の恋人に、俺は疲れたとばかりにがっくりと肩を落としてその姿を見送った。
昼休み。
急いで待ち合わせの場所へと行くと既に真一の姿があり、手には英語の教科書があった。
「勉強していたの?」
「いや、優と久遠にやらせるプリントを作ろうと思ってな」
教科書を閉じ、弁当を取り食べ始める。
「いつもプリントとか作ってあげてるの?」
「あぁ。じゃねぇとあいつ等直ぐに怠けるからな」
そうだとしても友達の為にそこまでするなんて。
驚く俺に、真一は大したことじゃないというような口ぶりで毎年の事だという。
「はぁ、凄いなぁ。俺にはまねできないよ」
さすが学年トップを守り続ける事だけはある。
感心しつつお弁当を食べ終えた俺は水筒の中の暖かいお茶をコップに注ぐ。
「本当は俺が付きっ切りでお前の勉強を見たかったんだが、俺はあいつ等二人で手一杯だからな」
他の男に任せるのは本当は嫌だったんだからなと腰にぎゅっと真一の腕が回り、俺の胸へと顔を埋める。
「俺まで心配かけちゃってごめんね」
真一の頭を抱きかかえて額にキスを落とせば、
「そこじゃなくて唇によこせ」
と真一が唇を突き出す。
「えっ」
じっと真一の唇へと視線を向ければ、意識してしまって顔が熱くなる。
ドキドキと心臓がうるさいし手は震えてしまう。緊張しながら真一の唇へちょっとだけ触れて離れる。
「樹……」
真一の眉間にしわがよる。
うう、あんなのキスじゃないって言いたいんだろ? でも俺にとってはあれがいっぱいいっぱいだ。
「ごめん、でも無理」
半泣き状態で真一から離れようとすれば、後頭部を押さえつけられ唇を奪われた。
「んっ」
真一からのキスはとても気持ち良くて、このまま蕩けてしまうんじゃないだろうか。
「しん、いち」
崩れ落ちる体をそのまま押し倒す様に真一が俺に覆いかぶさり、服の中へと入り込んだ手が俺の肌を撫でる。
「ん、しんいち、だめ」
「エロいキスをしてくれたらやめてやる」
無理って言ったのに、まだ強請るか。
「真一のいじわる」
ぶわっと涙があふれでる。どうしてそんななの、君は。
「はぁ……。わかった。何もしないから泣くな」
と真一は親指の腹で涙を拭い取る。
「さて、そろそろ戻るか」
予鈴がそろそろなるころだと真一が起ちあがる。
「うん」
俺は弁当箱と水筒を抱えて立てば、真一の腕が回りグイッと引き寄せられる。
ふわっと耳元に息がかかり。
「樹、試験が終わったら覚悟しとけよ」
と俺の耳に囁いて、真一は部屋を出て行った。
「……ん、何の覚悟?」
首を傾げながら何の事かなと考えていた所で、真一が俺の肌を撫でていた事を思いだして、一気に熱が上がる。
そ、そういう事だよ、ね、たぶん。
うう、俺、ちゃんとできるのかな。キスだけでいっぱいいっぱいなのに。
「うわぁん、真一のバカぁ」
なんで去り際にそんな事を言うんだよ。俺はそのまま床に力なくしゃがみ込んだ。
試験が終わり、あれから、俺はがっつりと食べられました。
しかも真一が優しくて、おねだりをいっぱいしてしまった。
今思い出しても恥ずかしい……。
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