9 / 27
セドリックの舌 ※
しおりを挟む
買い物をしている途中、恋人や家族連れを見るたびに胸が痛んだが、セドリックのモフモフで癒されようと気持ちをきりかえて家へと帰る。
すると、
「おーい、ブレーズ」
どこからかセドリックの声が聞こえる。ブレーズはあたりを見渡すが見つけることができず、家の中かなと中へと入ろうとすると再び声をかけられる。
「ブレーズ、ここだよ」
今度はリュンの声だ。
「え、え?」
一体どこにいるのかと立ち尽くすブレーズに、
「屋根にいる」
と聞こえて、上を向くとふたりの姿がある。
「わ、ちょっと危ないよ」
「大丈夫だ。獣人だからな」
リュンを抱きかかえて小屋の屋根へと移り下へと降りる。その軽い身のこなしは流石に獣人だ。身体能力が優れていることはある。
だが、まだリュンは小さいのだ。心配するのはあたりまえだろう。
「セド」
「だって、リュンが『ブレーズはいつかえってくるの?』って窓から外を眺めて待ってるからさぁ、それなら屋根の上の方がわかりやすいし。俺も、帰りが待ち遠しかったから」
好意を持つ相手にそんなことをいわれて喜ばない者などいないだろう。言葉一つに舞い上がりそうな自分を必死で抑え込まねばいけない。
胸に手を当てて落ち着けと心でつぶやく。
「僕を待っていてくれたんだ」
「おかえり、ブレーズ」
両ほほに鼻先が当たる。切ない気持ちがブレーズを襲い、鼻がツンとして泣きたくなった。
「ただ、いま」
この気持ちにはけしてあらがえないのだ。それなばいっそう流されてしまえばいい。
いつか終わりがくることがわかっていても、愛おしい人と幸せな時間を過ごせるのだから。
リュンは疲れてしまったようで、ご飯を食べるとすぐに寝てしまった。
抱きかかえてベッドに寝かせた後、椅子に座って縫物をしているとふわりと良いにおいがする。
あれはドニが作ってくれた石鹸の匂いだ。
「お先」
タオルで頭を拭きながら向かい合わせの椅子に腰を下ろした。
しっとりと濡れたセドリックは湯上りで頬がほんのりと赤く染まっていて色っぽかった。
「セド、拭いてあげる」
立ち上がり乾いたタオルと手にセドリックの傍へ向かうと、
「頼む」
と自分で拭くのをやめてじっとしている。後ろを拭き始めて、耳元も濡れていてそこを指でかくように拭くとゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
「ふ、気持ちがいいの?」
「あぁ。獣人はここが弱いからな」
「そうなんだ。可愛いね」
指でかいた後にキスをする。するとピンと耳がっ立った。
「あ、ごめん、気持ち悪かっ……、んふっ」
唇が重なり合う。今、起きていることが信じられなくて何も考えられなかった。
舌が中へと入り込んで歯列を撫でる。
「ん、はぁ」
このまま共にとろけてしまいたい。
セドリックの舌にこたえるように舌を絡ませると、肩をつかまれて押され唇が離れた。
「あれはダメだ。理性が飛ぶから」
別にそうなってもかまわなかった。それなのに離れてしまったことが胸が痛み目頭があつくなる。
「ブレーズ、そんなに嫌だった……」
「やめないでっ」
言葉が重なり合い、そして唇も重なり合った。
「ふっ」
舌が遠慮なく暴れまくる。呼吸ができないほどに激しい。
そして唇が離れた瞬間、苦しさに大きく息を吸い込む。
「捕食されても文句はないよな?」
野性味あふれる表情。すっかり獲物を狙うハンターと化していた。
自分を欲している、それが体をぞくぞくとさせた。
「セドになら、何をされてもかまわない」
本当に食べてしまってもいい。セドリックの血となり肉となり、そして共に生きていけるのだから。
「それなら遠慮はしない」
シャツのボタンを外され上着を脱がされる。その姿を目を細めて眺め、そして大きく口を開いた。
「え、いィっ」
肩に食らいつき、そこにくっきりと歯型を残す。それはまるでマーキングのようだ。
痛むその個所にざりっとした感触。それがそのまま下へと這い乳首へと触れる。
まるで熟れた果実の味を確かめるように執拗になめて刺激する。
「美味そうだ」
「ん、せどぉ」
真っ赤になったそれを満足げに眺めて口角をあげる。その仕草に胸が高鳴り下半身のモノが反応して立ち上がる。
セドリックのものも見たくて下へと触れれば、ピンと爪で乳首をはねられた。
「ひゃん」
「だめだ。お前を十分に味わったらな」
ゆっくり、じわじわと。
そう口にし、にやりと笑う。
「いじわるっ」
だが、セドリックがブレーズを味わうことも、下半身のモノを見ることもできなかった。
「ブレーズ、のどかわいた」
うさぎを抱きかかえ、目をこすりながらリュンが起きてきたからだ。
「へ、あ、リュンっ、用意するから座っていて」
慌てて服を下ろしてセドリックから離れる。そのとき、
「残念だ」
と耳元でささやき、リュンの隣の席へと座る。
水をコップに入れてリュンに渡して全部飲み終えるとセドリックと共に寝室へと向かった。
一人になると椅子に座って顔を伏せた。
冷静でいられたのが奇跡だ。本当は叫びたいくらいに動揺していた。
胸がじくじくとする。そっと指で触れるとそこはまだセドリックの舌を覚えていた。
「ふっ」
あまりの快感に身が震え、下半身が反応する。
あれはただの生理現象であり深い意味などないだろう。
だけど舌の熱さが、ぎらつく目が忘れられない。
「はぁ、僕も残念だよ、セド……」
あのままリュンが起きてこなかったら後ろまで許していた。
見たことはないがセドのアレが自分の中にと想像するだけで下半身が痛み出した。
「これ、処理してこよう」
きっと今夜はセドリックが傍にいるだけで眠れない。意識をしてしまうだろうから。
トイレで体を落ち着かせ、リュンの洋服を箪笥から取り出す。
気持ちを落ち着かせるのには料理か裁縫にかぎる。ズボンの裾上げをしなくてはいけなかったので丁度良い。
黙々とやり続けていくうちに、何やら温かくてふわふわなものに包まれた。しかも好きなにおいもする。
「セドのにおい……」
ふふっと笑いふわふわのモノにすり寄ると、額に何かが触れた。
そして、気が付けばブレーズはベッドの上で眠っていた。目が覚めて一番に驚いた。
「え、あれって夢じゃなかったの?」
あの匂いと温もりは夢ではなっかた。途中で眠ってしまったブレーズをセドリックが運んでくれたのだろう。
ベッドにはリュンとセドリックが眠っていた。
すると、
「おーい、ブレーズ」
どこからかセドリックの声が聞こえる。ブレーズはあたりを見渡すが見つけることができず、家の中かなと中へと入ろうとすると再び声をかけられる。
「ブレーズ、ここだよ」
今度はリュンの声だ。
「え、え?」
一体どこにいるのかと立ち尽くすブレーズに、
「屋根にいる」
と聞こえて、上を向くとふたりの姿がある。
「わ、ちょっと危ないよ」
「大丈夫だ。獣人だからな」
リュンを抱きかかえて小屋の屋根へと移り下へと降りる。その軽い身のこなしは流石に獣人だ。身体能力が優れていることはある。
だが、まだリュンは小さいのだ。心配するのはあたりまえだろう。
「セド」
「だって、リュンが『ブレーズはいつかえってくるの?』って窓から外を眺めて待ってるからさぁ、それなら屋根の上の方がわかりやすいし。俺も、帰りが待ち遠しかったから」
好意を持つ相手にそんなことをいわれて喜ばない者などいないだろう。言葉一つに舞い上がりそうな自分を必死で抑え込まねばいけない。
胸に手を当てて落ち着けと心でつぶやく。
「僕を待っていてくれたんだ」
「おかえり、ブレーズ」
両ほほに鼻先が当たる。切ない気持ちがブレーズを襲い、鼻がツンとして泣きたくなった。
「ただ、いま」
この気持ちにはけしてあらがえないのだ。それなばいっそう流されてしまえばいい。
いつか終わりがくることがわかっていても、愛おしい人と幸せな時間を過ごせるのだから。
リュンは疲れてしまったようで、ご飯を食べるとすぐに寝てしまった。
抱きかかえてベッドに寝かせた後、椅子に座って縫物をしているとふわりと良いにおいがする。
あれはドニが作ってくれた石鹸の匂いだ。
「お先」
タオルで頭を拭きながら向かい合わせの椅子に腰を下ろした。
しっとりと濡れたセドリックは湯上りで頬がほんのりと赤く染まっていて色っぽかった。
「セド、拭いてあげる」
立ち上がり乾いたタオルと手にセドリックの傍へ向かうと、
「頼む」
と自分で拭くのをやめてじっとしている。後ろを拭き始めて、耳元も濡れていてそこを指でかくように拭くとゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
「ふ、気持ちがいいの?」
「あぁ。獣人はここが弱いからな」
「そうなんだ。可愛いね」
指でかいた後にキスをする。するとピンと耳がっ立った。
「あ、ごめん、気持ち悪かっ……、んふっ」
唇が重なり合う。今、起きていることが信じられなくて何も考えられなかった。
舌が中へと入り込んで歯列を撫でる。
「ん、はぁ」
このまま共にとろけてしまいたい。
セドリックの舌にこたえるように舌を絡ませると、肩をつかまれて押され唇が離れた。
「あれはダメだ。理性が飛ぶから」
別にそうなってもかまわなかった。それなのに離れてしまったことが胸が痛み目頭があつくなる。
「ブレーズ、そんなに嫌だった……」
「やめないでっ」
言葉が重なり合い、そして唇も重なり合った。
「ふっ」
舌が遠慮なく暴れまくる。呼吸ができないほどに激しい。
そして唇が離れた瞬間、苦しさに大きく息を吸い込む。
「捕食されても文句はないよな?」
野性味あふれる表情。すっかり獲物を狙うハンターと化していた。
自分を欲している、それが体をぞくぞくとさせた。
「セドになら、何をされてもかまわない」
本当に食べてしまってもいい。セドリックの血となり肉となり、そして共に生きていけるのだから。
「それなら遠慮はしない」
シャツのボタンを外され上着を脱がされる。その姿を目を細めて眺め、そして大きく口を開いた。
「え、いィっ」
肩に食らいつき、そこにくっきりと歯型を残す。それはまるでマーキングのようだ。
痛むその個所にざりっとした感触。それがそのまま下へと這い乳首へと触れる。
まるで熟れた果実の味を確かめるように執拗になめて刺激する。
「美味そうだ」
「ん、せどぉ」
真っ赤になったそれを満足げに眺めて口角をあげる。その仕草に胸が高鳴り下半身のモノが反応して立ち上がる。
セドリックのものも見たくて下へと触れれば、ピンと爪で乳首をはねられた。
「ひゃん」
「だめだ。お前を十分に味わったらな」
ゆっくり、じわじわと。
そう口にし、にやりと笑う。
「いじわるっ」
だが、セドリックがブレーズを味わうことも、下半身のモノを見ることもできなかった。
「ブレーズ、のどかわいた」
うさぎを抱きかかえ、目をこすりながらリュンが起きてきたからだ。
「へ、あ、リュンっ、用意するから座っていて」
慌てて服を下ろしてセドリックから離れる。そのとき、
「残念だ」
と耳元でささやき、リュンの隣の席へと座る。
水をコップに入れてリュンに渡して全部飲み終えるとセドリックと共に寝室へと向かった。
一人になると椅子に座って顔を伏せた。
冷静でいられたのが奇跡だ。本当は叫びたいくらいに動揺していた。
胸がじくじくとする。そっと指で触れるとそこはまだセドリックの舌を覚えていた。
「ふっ」
あまりの快感に身が震え、下半身が反応する。
あれはただの生理現象であり深い意味などないだろう。
だけど舌の熱さが、ぎらつく目が忘れられない。
「はぁ、僕も残念だよ、セド……」
あのままリュンが起きてこなかったら後ろまで許していた。
見たことはないがセドのアレが自分の中にと想像するだけで下半身が痛み出した。
「これ、処理してこよう」
きっと今夜はセドリックが傍にいるだけで眠れない。意識をしてしまうだろうから。
トイレで体を落ち着かせ、リュンの洋服を箪笥から取り出す。
気持ちを落ち着かせるのには料理か裁縫にかぎる。ズボンの裾上げをしなくてはいけなかったので丁度良い。
黙々とやり続けていくうちに、何やら温かくてふわふわなものに包まれた。しかも好きなにおいもする。
「セドのにおい……」
ふふっと笑いふわふわのモノにすり寄ると、額に何かが触れた。
そして、気が付けばブレーズはベッドの上で眠っていた。目が覚めて一番に驚いた。
「え、あれって夢じゃなかったの?」
あの匂いと温もりは夢ではなっかた。途中で眠ってしまったブレーズをセドリックが運んでくれたのだろう。
ベッドにはリュンとセドリックが眠っていた。
12
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
【完結】ハシビロコウの強面騎士団長が僕を睨みながらお辞儀をしてくるんですが。〜まさか求愛行動だったなんて知らなかったんです!〜
大竹あやめ
BL
第11回BL小説大賞、奨励賞を頂きました!ありがとうございます!
ヤンバルクイナのヤンは、英雄になった。
臆病で体格も小さいのに、偶然蛇の野盗を倒したことで、城に迎え入れられ、従騎士となる。
仕える主人は騎士団長でハシビロコウのレックス。
強面で表情も変わらない、騎士の鑑ともいえる彼に、なぜか出会った時からお辞儀を幾度もされた。
彼は癖だと言うが、ヤンは心配しつつも、慣れない城での生活に奮闘する。
自分が描く英雄像とは程遠いのに、チヤホヤされることに葛藤を覚えながらも、等身大のヤンを見ていてくれるレックスに特別な感情を抱くようになり……。
強面騎士団長のハシビロコウ✕ビビリで無自覚なヤンバルクイナの擬人化BLです。
勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました
雪
BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」
え?勇者って誰のこと?
突如勇者として召喚された俺。
いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう?
俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
聖女の力を搾取される偽物の侯爵令息は本物でした。隠された王子と僕は幸せになります!もうお父様なんて知りません!
竜鳴躍
BL
密かに匿われていた王子×偽物として迫害され『聖女』の力を搾取されてきた侯爵令息。
侯爵令息リリー=ホワイトは、真っ白な髪と白い肌、赤い目の美しい天使のような少年で、類まれなる癒しの力を持っている。温和な父と厳しくも優しい女侯爵の母、そして母が養子にと引き取ってきた凛々しい少年、チャーリーと4人で幸せに暮らしていた。
母が亡くなるまでは。
母が亡くなると、父は二人を血の繋がらない子として閉じ込め、使用人のように扱い始めた。
すぐに父の愛人が後妻となり娘を連れて現れ、我が物顔に侯爵家で暮らし始め、リリーの力を娘の力と偽って娘は王子の婚約者に登り詰める。
実は隣国の王子だったチャーリーを助けるために侯爵家に忍び込んでいた騎士に助けられ、二人は家から逃げて隣国へ…。
2人の幸せの始まりであり、侯爵家にいた者たちの破滅の始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる