38 / 47
獣人ハ恋ニ落チル
ゾフィード② *
しおりを挟む
ドニが落ち込んでいることには気が付いていた。
家族の話をはじめは楽しそうに聞いていたが、表情が徐々に曇り出した。
唯一の肉親であった祖父を亡くし、いつも一緒だったロシェにはファブリスという相手ができた。
ドニが求めた相手はこんな性格だから手を取らなかった。
部屋を出ていく姿を見て追いかけようと思った。だがその手をロシェがつかんで引き留められた。
「ゾフィード、ドニが心配か?」
ロシェもドニの様子がおかしいことに気が付いたのだろう。
「あぁ。途中までは楽しそうに聞いていたのにな」
家族のことは聞いていたので、きっと寂しくなってしまったのだろうと思っていたのだが、
「実はさ、村に帰っていたときに嫌なことがあって」
ロシェは村で起きた出来事を話してくれた。そのせいで気持ちが不安定なのだという。
「そんなことがあったのか」
村から帰ってきてすぐに甘えてきたのはそういう理由だったのか。
どこかホッとした表情をしていたから、家に帰って懐かしくて切ない気持ちになってしまったのかと思っていた。
だが同じ村に住んでいたというのに、相手を見るのではなく外見に目がいくなんて。
村でのことはあまり聞いたことはないが、ドニはどれほど悲しかっただろう。
「そうか。ドニの様子を見てくる」
「そうしてやってくれ」
傍にいてやってくれといわれて、そうするつもりだと言葉を返した。
やはりドニは落ち込んでいた。
風呂の中でのひとりごとをゾフィードは黙って聞いていた。
ドニに告白された時、信じてやれなかった。ひとりぼっちだという言葉に胸が痛んだ。
もうこれ以上は悲しませない、そう決めたのだ。だから服を脱ぎ風呂へと乱入した。
そして、まさかドニとあのような行為に及ぶことになろうとは思わなかった。
下半身のモノに触れられて「ドニ、よせ、もむな」と口にはしたが、気持ちが紛れるのならと気持ちを切り替えたら、そこに触れられることが気持ちよく感じた。耳と尻尾が素直に動く。
口で咥えたいと言われた時はさすがに驚いた。獣人は牙があり生肉でも食いちぎれるから、同じように思ってしまった。
だから口の中を舌を使って確かめた。人の子の口の中にも尖った歯があったが、それは犬歯というものだと知った。
それを何度も確認するように舐めると、ドニの表情がとろんとしている。
調べ終わったので舌を抜くとドニが物足りなさそうな顔をするが、すぐに興味は下半身のモノへとうつった。
人の子と違うところに驚き、そして確かめていく。
舌が先へと触れたとき、驚くほど体の芯が震えた。それは不愉快なものではなく気持ちがよくて更に欲しくなるものだった。
ドニのモノはかわいらしいサイズであったが綺麗な色をしていた。気持ちよかったから自分もとそれをなめたとたん、顔を真っ赤に染めた。
予想外の反応だった。ゾフィードに対してはグイグイとくるのに、いざ自分となるとそういう顔を見せるのかと。
胸を矢で撃ち抜かれたような衝撃をうけた。
ドニのを舐めたら一体どうなってしまうのだろう。その姿を見てみたい。
ごくっとつばを飲み込む。
だが、その姿は見ることができなかった。ドニがのぼせてしまったからだ。
残念。
そんな言葉が頭の中に浮かび、ゾフィードは口角を上げる。
まさかそんなことを思うなんて。ドニと出会ってから自分は本当にかわった。
ドニが眠りに行った後にファブリスと一緒に酒を飲む。
ニヤニヤとこちらを見ていたのでムカついて尻尾で腕をはたいた。
一緒に風呂に入ることなど一度もしたことはないし、頑なに断ってきた。それゆえにゾフィードの変化が楽しいのだろう。
「なぁ、ゾフィード。人の子は色が綺麗だとは思わないか?」
「色、だと」
すぐに浮かんできたのはドニの下半身のモノだった。
獣人は雄の象徴を守るように毛で包まれているのだが、人の子は頼りなさげに生えている。
そこから綺麗なものが顔をのぞかせていた。
「そうだな。あれは綺麗だった」
胸も淡いピンク色をしてた。
「乳首を舐めているとぷっくりと膨れて赤く染まるんだ。それが突起してさらに感じやすくなる」
そこは唾液でいやらしく濡れる。まるで下のモノから流れ落ちる蜜のように誘うのだそうだ。
「そうなのか」
それは見てみたかった。今日は下に少し触れただけなのでそこまで変化を見ることはできなかったからだ。
「ふ、いい傾向だな」
そういわれて首を傾げる。
「どういう意味だ」
「今までのゾフィードは興味ありませんと話しにのってこなかっただろう?」
その通りだ。仲間たちとそういう話になるとゾフィードは離れていく。
恥ずかしさもあったが、興味もあまりなかったからだ。
「なぁ、今、ゾフィードの中で誰を想像していた?」
「どうして、そんなことを聞く」
「もどかしいからだ」
ファブリスは立ち上がるとゾフィードの胸へと拳を当てた。
「明日は森に行くから休もう」
「そう、だな」
もどかしい、それはドニに対する想いのことか。
ファブリスまでもがゾフィードを責める。
「わかっている。俺だって、自分の性格が嫌になる」
好きになる資格がない、それはただの言い訳。ドニはきっと自分を受け入れてくれるだろう。
あと一歩、ゾフィードが前に踏み出すだけだ。
家族の話をはじめは楽しそうに聞いていたが、表情が徐々に曇り出した。
唯一の肉親であった祖父を亡くし、いつも一緒だったロシェにはファブリスという相手ができた。
ドニが求めた相手はこんな性格だから手を取らなかった。
部屋を出ていく姿を見て追いかけようと思った。だがその手をロシェがつかんで引き留められた。
「ゾフィード、ドニが心配か?」
ロシェもドニの様子がおかしいことに気が付いたのだろう。
「あぁ。途中までは楽しそうに聞いていたのにな」
家族のことは聞いていたので、きっと寂しくなってしまったのだろうと思っていたのだが、
「実はさ、村に帰っていたときに嫌なことがあって」
ロシェは村で起きた出来事を話してくれた。そのせいで気持ちが不安定なのだという。
「そんなことがあったのか」
村から帰ってきてすぐに甘えてきたのはそういう理由だったのか。
どこかホッとした表情をしていたから、家に帰って懐かしくて切ない気持ちになってしまったのかと思っていた。
だが同じ村に住んでいたというのに、相手を見るのではなく外見に目がいくなんて。
村でのことはあまり聞いたことはないが、ドニはどれほど悲しかっただろう。
「そうか。ドニの様子を見てくる」
「そうしてやってくれ」
傍にいてやってくれといわれて、そうするつもりだと言葉を返した。
やはりドニは落ち込んでいた。
風呂の中でのひとりごとをゾフィードは黙って聞いていた。
ドニに告白された時、信じてやれなかった。ひとりぼっちだという言葉に胸が痛んだ。
もうこれ以上は悲しませない、そう決めたのだ。だから服を脱ぎ風呂へと乱入した。
そして、まさかドニとあのような行為に及ぶことになろうとは思わなかった。
下半身のモノに触れられて「ドニ、よせ、もむな」と口にはしたが、気持ちが紛れるのならと気持ちを切り替えたら、そこに触れられることが気持ちよく感じた。耳と尻尾が素直に動く。
口で咥えたいと言われた時はさすがに驚いた。獣人は牙があり生肉でも食いちぎれるから、同じように思ってしまった。
だから口の中を舌を使って確かめた。人の子の口の中にも尖った歯があったが、それは犬歯というものだと知った。
それを何度も確認するように舐めると、ドニの表情がとろんとしている。
調べ終わったので舌を抜くとドニが物足りなさそうな顔をするが、すぐに興味は下半身のモノへとうつった。
人の子と違うところに驚き、そして確かめていく。
舌が先へと触れたとき、驚くほど体の芯が震えた。それは不愉快なものではなく気持ちがよくて更に欲しくなるものだった。
ドニのモノはかわいらしいサイズであったが綺麗な色をしていた。気持ちよかったから自分もとそれをなめたとたん、顔を真っ赤に染めた。
予想外の反応だった。ゾフィードに対してはグイグイとくるのに、いざ自分となるとそういう顔を見せるのかと。
胸を矢で撃ち抜かれたような衝撃をうけた。
ドニのを舐めたら一体どうなってしまうのだろう。その姿を見てみたい。
ごくっとつばを飲み込む。
だが、その姿は見ることができなかった。ドニがのぼせてしまったからだ。
残念。
そんな言葉が頭の中に浮かび、ゾフィードは口角を上げる。
まさかそんなことを思うなんて。ドニと出会ってから自分は本当にかわった。
ドニが眠りに行った後にファブリスと一緒に酒を飲む。
ニヤニヤとこちらを見ていたのでムカついて尻尾で腕をはたいた。
一緒に風呂に入ることなど一度もしたことはないし、頑なに断ってきた。それゆえにゾフィードの変化が楽しいのだろう。
「なぁ、ゾフィード。人の子は色が綺麗だとは思わないか?」
「色、だと」
すぐに浮かんできたのはドニの下半身のモノだった。
獣人は雄の象徴を守るように毛で包まれているのだが、人の子は頼りなさげに生えている。
そこから綺麗なものが顔をのぞかせていた。
「そうだな。あれは綺麗だった」
胸も淡いピンク色をしてた。
「乳首を舐めているとぷっくりと膨れて赤く染まるんだ。それが突起してさらに感じやすくなる」
そこは唾液でいやらしく濡れる。まるで下のモノから流れ落ちる蜜のように誘うのだそうだ。
「そうなのか」
それは見てみたかった。今日は下に少し触れただけなのでそこまで変化を見ることはできなかったからだ。
「ふ、いい傾向だな」
そういわれて首を傾げる。
「どういう意味だ」
「今までのゾフィードは興味ありませんと話しにのってこなかっただろう?」
その通りだ。仲間たちとそういう話になるとゾフィードは離れていく。
恥ずかしさもあったが、興味もあまりなかったからだ。
「なぁ、今、ゾフィードの中で誰を想像していた?」
「どうして、そんなことを聞く」
「もどかしいからだ」
ファブリスは立ち上がるとゾフィードの胸へと拳を当てた。
「明日は森に行くから休もう」
「そう、だな」
もどかしい、それはドニに対する想いのことか。
ファブリスまでもがゾフィードを責める。
「わかっている。俺だって、自分の性格が嫌になる」
好きになる資格がない、それはただの言い訳。ドニはきっと自分を受け入れてくれるだろう。
あと一歩、ゾフィードが前に踏み出すだけだ。
0
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
獣人の番!?匂いだけで求められたくない!〜薬師(調香師)の逃亡〜【本編完結】
ドール
恋愛
獣人に好かれる匂いをもつ、リンジェーラ=ベルタス
それが原因により起きた事件で、宮廷薬師に拾われ、宮廷魔導師団おかかえの薬師(調香師)として働いている。自分の匂いを誤魔化すため、獣人に嫌煙される匂いをまといながらも、宮廷騎士団副長の白狼獣人と結ばれるまでのストーリー。
*誤字脱字、設定などの不可解な点はご容赦ください。
だだの自己満作品です。
R18の場合*をつけます!
他作品完結済みも、宜しければ!
1作目<好きな人は兄のライバル〜魔導師団団長編〜>【完結】後日談は継続中
2作目<好きな人は姉への求婚者!?〜魔導騎士編〜>【完結】
【完結】闇オークションの女神の白く甘い蜜に群がる男達と女神が一途に愛した男
葉月
BL
闇のオークションの女神の話。
嶺塚《みねづか》雅成、21歳。
彼は闇のオークション『mysterious goddess
』(神秘の女神)での特殊な力を持った女神。
美貌や妖艶さだけでも人を虜にするのに、能力に関わった者は雅成の信者となり、最終的には僕《しもべ》となっていった。
その能力は雅成の蜜にある。
射精した時、真珠のように輝き、蜜は桜のはちみつでできたような濃厚な甘さと、嚥下した時、体の隅々まで力をみなぎらせる。
精というより、女神の蜜。
雅成の蜜に群がる男達の欲望と、雅成が一途に愛した男、拓海との純愛。
雅成が要求されるプレイとは?
二人は様々な試練を乗り越えられるのか?
拘束、複数攻め、尿道プラグ、媚薬……こんなにアブノーマルエロいのに、純愛です。
私の性癖、全てぶち込みました!
よろしくお願いします
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】糸と会う〜異世界転移したら獣人に溺愛された俺のお話
匠野ワカ
BL
日本画家を目指していた清野優希はある冬の日、海に身を投じた。
目覚めた時は見知らぬ砂漠。――異世界だった。
獣人、魔法使い、魔人、精霊、あらゆる種類の生き物がアーキュス神の慈悲のもと暮らすオアシス。
年間10人ほどの地球人がこぼれ落ちてくるらしい。
親切な獣人に助けられ、連れて行かれた地球人保護施設で渡されたのは、いまいち使えない魔法の本で――!?
言葉の通じない異世界で、本と赤ペンを握りしめ、二度目の人生を始めます。
入水自殺スタートですが、異世界で大切にされて愛されて、いっぱい幸せになるお話です。
胸キュン、ちょっと泣けて、ハッピーエンド。
本編、完結しました!!
小話番外編を投稿しました!
【完結】王子の婚約者をやめて厄介者同士で婚約するんで、そっちはそっちでやってくれ
天冨七緒
BL
頭に強い衝撃を受けた瞬間、前世の記憶が甦ったのか転生したのか今現在異世界にいる。
俺が王子の婚約者?
隣に他の男の肩を抱きながら宣言されても、俺お前の事覚えてねぇし。
てか、俺よりデカイ男抱く気はねぇし抱かれるなんて考えたことねぇから。
婚約は解消の方向で。
あっ、好みの奴みぃっけた。
えっ?俺とは犬猿の仲?
そんなもんは過去の話だろ?
俺と王子の仲の悪さに付け入って、王子の婚約者の座を狙ってた?
あんな浮気野郎はほっといて俺にしろよ。
BL大賞に応募したく急いでしまった為に荒い部分がありますが、ちょこちょこ直しながら公開していきます。
そういうシーンも早い段階でありますのでご注意ください。
同時に「王子を追いかけていた人に転生?ごめんなさい僕は違う人が気になってます」も公開してます、そちらもよろしくお願いします。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる