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夏休みの過ごし方
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◇…◆…◇
巧巳と待ち合わせをし家へと向かう。家族は四人。上に姉が居るのだという。
母親はとても明るくて可愛い人だった。そう口にすれば照れて恥ずかしがる。まぁ、素直な反応だと思う。
自分も母親のことをいわれたら同じ反応をするだろうから。
浴衣を自分で着るのは初めてで、巧巳が見ていてとパンツ一枚の姿になる。
巧巳のことを意識するようになってからその姿を見るのは色んな意味でまずかった。
あいかわらず良い身体だ。あの厚い胸板を撫で乳首に食らいつきたい。そんな欲を含んだ目で見てしまう。
あからさま過ぎたか、見ていたことはバレバレであった。
しかも触りたいのかと思ったとまで言われ、理性はかるくぶっ飛んだ。
そこからは欲のまま唇を貪り、もっと巧巳が欲しくて押し倒していた。
視線を感じ我に返る。
頭の中は急激に冷静になり、この場から立ち去ろうとしたが、巧巳に引き止められた。
祭りに行く約束のことを言われたが、あんな真似をしてしまったのだ。一緒に行けるわけがない。
もう友達にはもどれない。それならばと想いを告げる。
これでおしまい。以前のようなただのクラスメイトという関係になるだけ。
そう覚悟していたのに、巧巳の口からでた言葉は「それならば俺の傍に居ろ」であった。
一瞬、何を言っているのだろうと思ってしまった。
自分は同性で、しかもいきなりキスをするような男だ。
それでも巧巳はきちんと解っているうえで、キスをし返してくれた。
「友達じゃなくて恋人になってくれるのか?」
「あぁ。同じ意味で高貴が好きだ」
と片方の手が触れて指が絡みつく。
「じゃぁ、恋人として、夏祭りデートしてくれるか?」
もう片方の手も繋ぎ合わせて指を絡ませた。
「もちろんだ」
そうとなれば行動は早い。
二人は浴衣に着替え、祭りが行われている神社へと向かった。
屋台を見るとわくわくしてしまう。
そんな高貴を見て、巧巳が子供のようだと笑う。
「いいじゃんかよ。よし、遊ぶぞっ」
肩に腕を回すと、巧巳の口元が綻んでいる。
浴衣も良く似合うし色っぽい。つい、目を奪われてしまうのは仕方がないとおもう。
後は、と、狐のお面を二つ買い、巧巳の頭につけた。
「ヒーローのお面じゃないのか」
子供たちがつけている戦隊物のレッドのお面を指をさす。
「なんだ、巧巳はあれがよかったのか?」
ニヤニヤとしていたら、違うと顔を背ける。
「ほら、次に行くぞ。ヨーヨー釣りだ」
「良いよ」
子供たちに混ざりヨーヨー釣りをはじめる。
高貴は早々とつり紙が切れてしまったが、巧巳は慎重にヨーヨーを釣りあげようとする。
だが、すぐ隣の子供が釣り上げた途端につり紙が切れて水しぶきが上がり、運悪く巧巳のつり紙も切れてしまった。
「くぅぅっ」
本気で悔しがっている。
「お兄ちゃん、ごめんね」
流石に可哀想と思ったか謝る子供に、巧巳は立ちあがり気にするなと言う。
「あんちゃん、残念だったね」
出店のおじさんが笑いながら好きなのを一つあげるよと指差す。
それを聞いた途端、表情がみるみるうちに変わるものだから高貴は我慢できずに笑ってしまった。
「高貴」
ジト目を向けられ、笑いを必死に引っ込める。
「ほら、お前も一つ選んで良いそうだぞ。どれにする?」
水面に浮かぶ色とりどりの水風船。
そこに巧巳が着ている浴衣と同じ色を見つけた。
「俺はこれにする」
とゴムの輪っかを掴んだ。
「では俺はこれを」
明るいオレンジ色をした水風船。
どうしてそれを選んだのかが気になって、ヨーヨー釣りの出店を後にしたのち尋ねる。
「高貴のように明るくて楽しい、まるで今日の祭りのようだなと思ってな」
嬉しことを言ってくれる。
「俺は……」
「俺の着ている浴衣の色、だろう?」
水風船を指で突き、顔を覗き込む。
巧巳と待ち合わせをし家へと向かう。家族は四人。上に姉が居るのだという。
母親はとても明るくて可愛い人だった。そう口にすれば照れて恥ずかしがる。まぁ、素直な反応だと思う。
自分も母親のことをいわれたら同じ反応をするだろうから。
浴衣を自分で着るのは初めてで、巧巳が見ていてとパンツ一枚の姿になる。
巧巳のことを意識するようになってからその姿を見るのは色んな意味でまずかった。
あいかわらず良い身体だ。あの厚い胸板を撫で乳首に食らいつきたい。そんな欲を含んだ目で見てしまう。
あからさま過ぎたか、見ていたことはバレバレであった。
しかも触りたいのかと思ったとまで言われ、理性はかるくぶっ飛んだ。
そこからは欲のまま唇を貪り、もっと巧巳が欲しくて押し倒していた。
視線を感じ我に返る。
頭の中は急激に冷静になり、この場から立ち去ろうとしたが、巧巳に引き止められた。
祭りに行く約束のことを言われたが、あんな真似をしてしまったのだ。一緒に行けるわけがない。
もう友達にはもどれない。それならばと想いを告げる。
これでおしまい。以前のようなただのクラスメイトという関係になるだけ。
そう覚悟していたのに、巧巳の口からでた言葉は「それならば俺の傍に居ろ」であった。
一瞬、何を言っているのだろうと思ってしまった。
自分は同性で、しかもいきなりキスをするような男だ。
それでも巧巳はきちんと解っているうえで、キスをし返してくれた。
「友達じゃなくて恋人になってくれるのか?」
「あぁ。同じ意味で高貴が好きだ」
と片方の手が触れて指が絡みつく。
「じゃぁ、恋人として、夏祭りデートしてくれるか?」
もう片方の手も繋ぎ合わせて指を絡ませた。
「もちろんだ」
そうとなれば行動は早い。
二人は浴衣に着替え、祭りが行われている神社へと向かった。
屋台を見るとわくわくしてしまう。
そんな高貴を見て、巧巳が子供のようだと笑う。
「いいじゃんかよ。よし、遊ぶぞっ」
肩に腕を回すと、巧巳の口元が綻んでいる。
浴衣も良く似合うし色っぽい。つい、目を奪われてしまうのは仕方がないとおもう。
後は、と、狐のお面を二つ買い、巧巳の頭につけた。
「ヒーローのお面じゃないのか」
子供たちがつけている戦隊物のレッドのお面を指をさす。
「なんだ、巧巳はあれがよかったのか?」
ニヤニヤとしていたら、違うと顔を背ける。
「ほら、次に行くぞ。ヨーヨー釣りだ」
「良いよ」
子供たちに混ざりヨーヨー釣りをはじめる。
高貴は早々とつり紙が切れてしまったが、巧巳は慎重にヨーヨーを釣りあげようとする。
だが、すぐ隣の子供が釣り上げた途端につり紙が切れて水しぶきが上がり、運悪く巧巳のつり紙も切れてしまった。
「くぅぅっ」
本気で悔しがっている。
「お兄ちゃん、ごめんね」
流石に可哀想と思ったか謝る子供に、巧巳は立ちあがり気にするなと言う。
「あんちゃん、残念だったね」
出店のおじさんが笑いながら好きなのを一つあげるよと指差す。
それを聞いた途端、表情がみるみるうちに変わるものだから高貴は我慢できずに笑ってしまった。
「高貴」
ジト目を向けられ、笑いを必死に引っ込める。
「ほら、お前も一つ選んで良いそうだぞ。どれにする?」
水面に浮かぶ色とりどりの水風船。
そこに巧巳が着ている浴衣と同じ色を見つけた。
「俺はこれにする」
とゴムの輪っかを掴んだ。
「では俺はこれを」
明るいオレンジ色をした水風船。
どうしてそれを選んだのかが気になって、ヨーヨー釣りの出店を後にしたのち尋ねる。
「高貴のように明るくて楽しい、まるで今日の祭りのようだなと思ってな」
嬉しことを言ってくれる。
「俺は……」
「俺の着ている浴衣の色、だろう?」
水風船を指で突き、顔を覗き込む。
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