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短編まとめ
同年輩
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互いに四十五歳という年齢になるというのに、目の前で腕組みをしている男と自分はえらく見た目も体つきも違う。
若い頃は肌の張りが良く体力もあった。だが、今はどうだ。ただ薄くて細い身体だし、疲れがなかなかとれなくなった。
だが、目の前の男は違う。流石に老けたが身体を鍛えているようで、シャツの上から見ても解るくらいに良い体をしているのがわかる。
彼ならばもっと若い人をパートナーとして迎える事が出来るのではと思うのに、どうして自分なんかを口説いているのだろう。
久しぶりに田中の住むマンションへときた。
以前は宅飲みをしようと誘われては遅くまで何本も酒を空けたものだが、この頃はたまに居酒屋で飲むか喫煙室で話をするくらいだ。
部屋の中は綺麗に片付いており、家事が苦手な男の代りに恋人が掃除をしてくれたのだろう。
これが見たくないという理由もあり、宅飲みは断っていたのだが、大事な話があるからと言われて彼についてきた訳だ。
山本は二十年以上も田中を想い続けている。
自分がゲイである事は彼も知っている。それなのにずっと親友で居てくれるのは、偏見を持つことなく友達だと思ってくれているから。それを壊してまで想いを告げる事は山本にはできなかった。
「俺もそろそろ落ち着こうかなって」
離婚を一度経験し、その後も何度か女性と付き合っていたが長続きしない。
その度に話を聞かされて酷く傷ついてきた。それはいつまでも慣れる事無く山本の心に棘をさす。
「そうか。お前の事だ、優しくて家庭的な女性なんだろ?」
田中のタイプは良く知っているので先に口にすれば、
「そうだ。優しくて家庭的な奴。という訳で、付き合ってくれないか、山本」
今、耳にしたことが信じられず、目を瞬かせる。
「なん、だって?」
「なんだよ、耳が遠くなったか、お・じ・さ・ん」
と、肩に手を置く田中に、山本はその手を払い除けて、
「ちゃんと聞こえている。冗談じゃないぞ。俺は男が好きだがお前はお断り。この歳で面倒な奴は嫌だね」
他を当たれと言い捨てる。
すぐに信じられないのは当然だ。今まで付き合ってきたのは一回りも違う女性ばかりだから。
「やだよ、俺はお前が良いんだ。山本は俺の駄目な所を唯一知っているし、それでも一緒にいてくれる」
「その手近な所でどうにかしようって考えが嫌なんだよ。今までみたいにガツガツ行けって。折角、年の割に見た目が若々しいんだからさ」
考えがみえみえだ。ただ、楽をしたくなっただけだろう。
山本は家事が得意で世話をやきたがるタイプだ。
傍に置いておけば、毎日、手作りの料理を食べられるし、洗濯も掃除も毎日きちんとする。いくら好いた男だからといって、そんな理由で恋人同士になっても嬉しくはない。
「良いよ。もう、若い子との恋愛は疲れた」
恋人になった子の話しについていけるように若い奴等と積極的に話をしたり、身体を見られたときにガッカリされないようにと、時間がある時はフィットネスクラブに通ったりしている。
そういうことに対してはマメな男が、そんな事を言うなんて。
「はっ、お前がそんな事を言うようになったなんてなぁ」
「無理して合わせていたんだよ。なぁ、俺と付き合おう?」
ゆっくりと恋愛を楽しみたいんだと、両手を掴まれる。
「やめとけ。はじめは物珍しさから楽しいと思えるかもしれない。でも、そのうちに、なんでオッサンと付き合っているんだろうって、そう思うようになるさ」
そこには親友としての愛はあっても恋人としての愛がない。日がたつにつれて辛くなるに決まっている。
「そんな事、付き合ってみないと解らないだろうが」
それでもしつこく迫ってくる田中に、
「俺はお前の性格を良く知っている。違うと思ったら、お前、すぐに駄目になるだろう? 俺はさ、この歳でそれを味わうのは嫌なんだよ」
掴んでいる手を振り払い、この話はお仕舞とばかりに立ちあがる。
「待てって。俺はあきらめんぞ。定年になったら、縁側で日向ぼっこをしながら庭で花壇や盆栽を弄るお前を見るんだからな」
そんな先の事まで考えている事に驚いた。
もしも、本気ならば、こんなに嬉しい事は無い。
「……馬鹿野郎、俺が喜ぶとか思って言っているだけだろ」
咄嗟に口に出ただけかもしれない。だけど頬が熱くなる事は止められそうにない。
「そんなわけあるか。そんな事をしたら嫌われるだろ?」
指で頬を撫でられ、田中が目尻を下げて微笑む。
「当たり前だ。この歳で友達をなくしたくないぞ」
「それなら、俺が本気なくらい解るだろう?」
頬を撫でていた指が、唇へとおりてくる。
「お前の残りの人生、俺に全部くれ」
真っ直ぐな目。
これ以上は田中の事を拒否できない。本気で欲しがってくれているのが伝わってくる。それに自分だって、同じくらい本気なのだ。
「くそ、持っていきやがれ」
その身に抱きつくとドライな香りが仄かにする。
ミドル脂臭を気にしてつけている事は知っているが、どんな匂いがしようとも自分は気にしない。愛おしい彼の一部なのだから。
「お前は何もつけてないのに匂わないのな」
スンスンと鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。それが犬みたいだと髪を撫でれば、怪しい動きをし始める。
「おいっ」
シャツの上から乳首を噛まれて身体が反応する。
「おっ」
口角を上げ、唾液で濡れた箇所を甘噛みし、舌で執拗に弄りだす。
「やめろ」
「いやぁ、だってさ、いやらしくねぇ?」
濡れたシャツが張りついて輪郭が浮かび上がっている。
「助平ジジイが。今まで付き合ってきた奴にもこんなことしているのか?」
「するわけないだろう。お前なら許してくれるかな、と」
甘えながらいうなんてずるい。
「確信犯」
そして彼の思惑通りに許してしまっている自分がいる。
「そりゃ、付き合いが長いですし」
と、シャツのボタンを素早く外して肌を撫でる。
喜びを感じる心と身体が敏感に反応してしまい、田中が口元を緩ませた。
「お前の肌は白くて綺麗だな」
指が突起した乳首を摘まんで弄る。その度に刺激されて胸をそらす。
「は、何処が、綺麗だよ……。お世辞など、いらない」
今まで若い子ばかりと関係を持っていたのだ。ただの中年オヤジの身体を見てもつまらないだろう。
だが、その顔は欲情していた。それが山本を驚かせる。
「本当にそう思っているから、たっているんでしょうが」
と、田中のモノを股間へと押し当てた。
「そのようだな」
「だろ? お前、コッチの方面、まだ枯れてないよね」
そのままこすり付けられて、声はどうにか我慢したが、身体は飛び跳ねてしまう。
「よしよし、ちゃんと反応している」
「どこが可愛い声なんだよ。それに、最近使ってはいないけれど、まだ枯れる年じゃねぇよ」
恥ずかしくてそれを誤魔化すように田中の頬を叩くように両手で挟んだ。
「そうなんだ。それでは、丁重に解させてもらうわ」
手を伸ばし、ナイトテーブルから潤滑ゼリーを取り出した。
「お前、用意周到だな」
今まで付き合っていた恋人は全て女性の筈。ということは山本の為に用意したのだろう。
「そりゃ、想いが伝われば抱きたいなって。これ、必要なんだろ?」
「どうせ調べたんだろ」
「勿論。大事なお尻を傷物には出来んでしょ」
痔になったら大変とか、デリカシーの欠片もないことを言う田中の頬を摘まんだ。
「もうしゃべるな。本当、お前ってさ、相手が俺だとそうだよな」
「ふへへ、えんりょらしにいへんのはおまへしかいらいもん」
良い歳をした男の、舌足らずなしゃべり方は流石にキツイ。
だが、言いたいことは伝わってきたし、それが自分だけという事が嬉しくない訳がない。
口から手を離すと、四つん這いにされて腰を持ち上げられる。
「そういう事で、垂らすぞ」
後孔にゼリーをたらし、指が入り込む。
久しぶりに味わう感覚、しかもそれは愛しい男の指だ。
「ふっ」
くちゅくちゅと水音と共に、中を丁寧に解していく。だが、それも次第にもどかしくなり、じれてくる。
「もう良いから入れろ」
「まだだ。お互いに無理は駄目だろ?」
若くないんだからと、指が更に増えて良い所をかすめる。
「んっ」
「ん、ここが良いのか?」
嬉しそうに言うと、今度はそこの箇所ばかり弄りだす。
「く、そこばかり、弄るな。さっさとこい」
「えぇ、何? 最近、耳が遠くて良く聞こえないわ」
指が抜けて、うつ伏せから仰向けにされる。
覆いかぶさる田中の首に腕を回し、
「お前こそ、耳が遠くなったんじゃないか、お・じ・さ・ん」
先ほど言われたことを言い返し、耳を噛んで舌で舐める。
「おわっ、おま、俺の耳が弱いって知って……」
「だからやっているんだよ。お前の事なら良く知っているからな」
「仕返しって? こら、マジでやめなさいって」
顔を遠ざけ、その代りに唇を重ねた。
「ふぁ」
幸せだ。
ウットリとしながらキスを味わっていれば、
「ふ、とろとろだな」
「んぁ?」
と唇が離れて濡れた唇を田中の指が拭う。
「お前のそういう顔、もっと早く見ておけばよかった」
と、足を開かされ、熱くてかたい物が後孔へと宛がう。
「あっ」
ずっと欲しかったモノだ。
つい、唇が綻んでしまい、それを田中にばっちりと見られてしまった。
「ふっ、入れるぞ」
表情が緩んでいる。
それを見たら余計に恥ずかしくなってきて、
「あぁ。まだ若いのに負けてないって所を俺に見せろ」
と強気な事を口にする。
「もちろんだ」
ゆっくりと中へと入り込む田中に、こんなものかと挑発するように見れば、口角を上げて激しく揺さぶられた。
「え? あ、くぁっ」
「煽りやがって。優しくしてやれねぇからな」
このまま心臓が止まってしまうのでは、と、思うくらいに鼓動が激しく波打つ。
「く、はっ」
出来るだけ声を出さぬようにと手で口を押えていたが、
「山本サンよ、声を押さえる必要はないぞ」
と田中の手が山本の手を掴み口から引き離す。
「だが、俺の喘ぎなんて聞いたらお前が萎える」
折角、繋がりあえたのに。途中でお仕舞なんて事になったら嫌だった。
「嫌だ。折角、お前と」
二度と触れて貰えなくなったら、と、そんな事ばかりが頭に浮かぶ。
「そんな訳ないだろ? 俺は可愛く喘ぐお前の声が聞きたいの」
と、奥を突かれた。
「んっ、あぁっ」
思わず出てしまった声を手で押さえるが、田中がこちらを見てにやりと笑う。
「萎えねぇよ」
お前が一番感じているだろうと言われ、田中のモノは変わらず、熱く膨らんだままだ。
「声、我慢するなよ」
「わかった」
全てを晒しても田中は繋がっていてくれる。そうわかった途端に素直になった。
喘ぎ、身体を善がらせ、中のモノを離さないとばかりにしめつけた。
流石に体力が持たず、回数を重ねる事などできない。
自分の中で田中がイき、布団へと身を預ける。
「もう無理だ」
「そうか」
中から田中のモノが抜け、後孔から放ったモノが太ももを伝い流れおちる。
その感覚がすこし気持ち悪く、田中が気付いてティッシュでふき取ってくれた。
「いつもなら、足りねぇって思う所なんだけど、お前が相手だからか、すごく満たされた」
「何それ」
ここでそんな事を言うなんて。頬が熱くなるのを止められない。
「何、もしかして照れているのかな?」
「煩い」
「なぁ、抱いたまま寝てもいい?」
「俺もそうして欲しいと思っていた」
「おっ、意思疎通ってやつ」
背後から腕を回して身体を抱き寄せられる。
その暖かさに、ほっと息を吐けば、田中がクツクツと笑う。
「明日、筋肉痛になるかもしれないな」
「……恨むぞ」
よくよく思えば、休日まであと二日も仕事へいかなければならない。
「マジですまん」
それでなくとも運動不足で体がかたい。体勢をかえて田中と向き合うと、わざとらしくため息をついた後、胸へ顔を埋める。
「身体はキツイだろう。でも、それよりも嬉しい方が勝っているから、な」
「くそっ、山本、もう一回」
手が怪しい動きをはじめ、
「ふざけるな、助平ジジイ」
と手の甲を抓った。
若い頃は肌の張りが良く体力もあった。だが、今はどうだ。ただ薄くて細い身体だし、疲れがなかなかとれなくなった。
だが、目の前の男は違う。流石に老けたが身体を鍛えているようで、シャツの上から見ても解るくらいに良い体をしているのがわかる。
彼ならばもっと若い人をパートナーとして迎える事が出来るのではと思うのに、どうして自分なんかを口説いているのだろう。
久しぶりに田中の住むマンションへときた。
以前は宅飲みをしようと誘われては遅くまで何本も酒を空けたものだが、この頃はたまに居酒屋で飲むか喫煙室で話をするくらいだ。
部屋の中は綺麗に片付いており、家事が苦手な男の代りに恋人が掃除をしてくれたのだろう。
これが見たくないという理由もあり、宅飲みは断っていたのだが、大事な話があるからと言われて彼についてきた訳だ。
山本は二十年以上も田中を想い続けている。
自分がゲイである事は彼も知っている。それなのにずっと親友で居てくれるのは、偏見を持つことなく友達だと思ってくれているから。それを壊してまで想いを告げる事は山本にはできなかった。
「俺もそろそろ落ち着こうかなって」
離婚を一度経験し、その後も何度か女性と付き合っていたが長続きしない。
その度に話を聞かされて酷く傷ついてきた。それはいつまでも慣れる事無く山本の心に棘をさす。
「そうか。お前の事だ、優しくて家庭的な女性なんだろ?」
田中のタイプは良く知っているので先に口にすれば、
「そうだ。優しくて家庭的な奴。という訳で、付き合ってくれないか、山本」
今、耳にしたことが信じられず、目を瞬かせる。
「なん、だって?」
「なんだよ、耳が遠くなったか、お・じ・さ・ん」
と、肩に手を置く田中に、山本はその手を払い除けて、
「ちゃんと聞こえている。冗談じゃないぞ。俺は男が好きだがお前はお断り。この歳で面倒な奴は嫌だね」
他を当たれと言い捨てる。
すぐに信じられないのは当然だ。今まで付き合ってきたのは一回りも違う女性ばかりだから。
「やだよ、俺はお前が良いんだ。山本は俺の駄目な所を唯一知っているし、それでも一緒にいてくれる」
「その手近な所でどうにかしようって考えが嫌なんだよ。今までみたいにガツガツ行けって。折角、年の割に見た目が若々しいんだからさ」
考えがみえみえだ。ただ、楽をしたくなっただけだろう。
山本は家事が得意で世話をやきたがるタイプだ。
傍に置いておけば、毎日、手作りの料理を食べられるし、洗濯も掃除も毎日きちんとする。いくら好いた男だからといって、そんな理由で恋人同士になっても嬉しくはない。
「良いよ。もう、若い子との恋愛は疲れた」
恋人になった子の話しについていけるように若い奴等と積極的に話をしたり、身体を見られたときにガッカリされないようにと、時間がある時はフィットネスクラブに通ったりしている。
そういうことに対してはマメな男が、そんな事を言うなんて。
「はっ、お前がそんな事を言うようになったなんてなぁ」
「無理して合わせていたんだよ。なぁ、俺と付き合おう?」
ゆっくりと恋愛を楽しみたいんだと、両手を掴まれる。
「やめとけ。はじめは物珍しさから楽しいと思えるかもしれない。でも、そのうちに、なんでオッサンと付き合っているんだろうって、そう思うようになるさ」
そこには親友としての愛はあっても恋人としての愛がない。日がたつにつれて辛くなるに決まっている。
「そんな事、付き合ってみないと解らないだろうが」
それでもしつこく迫ってくる田中に、
「俺はお前の性格を良く知っている。違うと思ったら、お前、すぐに駄目になるだろう? 俺はさ、この歳でそれを味わうのは嫌なんだよ」
掴んでいる手を振り払い、この話はお仕舞とばかりに立ちあがる。
「待てって。俺はあきらめんぞ。定年になったら、縁側で日向ぼっこをしながら庭で花壇や盆栽を弄るお前を見るんだからな」
そんな先の事まで考えている事に驚いた。
もしも、本気ならば、こんなに嬉しい事は無い。
「……馬鹿野郎、俺が喜ぶとか思って言っているだけだろ」
咄嗟に口に出ただけかもしれない。だけど頬が熱くなる事は止められそうにない。
「そんなわけあるか。そんな事をしたら嫌われるだろ?」
指で頬を撫でられ、田中が目尻を下げて微笑む。
「当たり前だ。この歳で友達をなくしたくないぞ」
「それなら、俺が本気なくらい解るだろう?」
頬を撫でていた指が、唇へとおりてくる。
「お前の残りの人生、俺に全部くれ」
真っ直ぐな目。
これ以上は田中の事を拒否できない。本気で欲しがってくれているのが伝わってくる。それに自分だって、同じくらい本気なのだ。
「くそ、持っていきやがれ」
その身に抱きつくとドライな香りが仄かにする。
ミドル脂臭を気にしてつけている事は知っているが、どんな匂いがしようとも自分は気にしない。愛おしい彼の一部なのだから。
「お前は何もつけてないのに匂わないのな」
スンスンと鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。それが犬みたいだと髪を撫でれば、怪しい動きをし始める。
「おいっ」
シャツの上から乳首を噛まれて身体が反応する。
「おっ」
口角を上げ、唾液で濡れた箇所を甘噛みし、舌で執拗に弄りだす。
「やめろ」
「いやぁ、だってさ、いやらしくねぇ?」
濡れたシャツが張りついて輪郭が浮かび上がっている。
「助平ジジイが。今まで付き合ってきた奴にもこんなことしているのか?」
「するわけないだろう。お前なら許してくれるかな、と」
甘えながらいうなんてずるい。
「確信犯」
そして彼の思惑通りに許してしまっている自分がいる。
「そりゃ、付き合いが長いですし」
と、シャツのボタンを素早く外して肌を撫でる。
喜びを感じる心と身体が敏感に反応してしまい、田中が口元を緩ませた。
「お前の肌は白くて綺麗だな」
指が突起した乳首を摘まんで弄る。その度に刺激されて胸をそらす。
「は、何処が、綺麗だよ……。お世辞など、いらない」
今まで若い子ばかりと関係を持っていたのだ。ただの中年オヤジの身体を見てもつまらないだろう。
だが、その顔は欲情していた。それが山本を驚かせる。
「本当にそう思っているから、たっているんでしょうが」
と、田中のモノを股間へと押し当てた。
「そのようだな」
「だろ? お前、コッチの方面、まだ枯れてないよね」
そのままこすり付けられて、声はどうにか我慢したが、身体は飛び跳ねてしまう。
「よしよし、ちゃんと反応している」
「どこが可愛い声なんだよ。それに、最近使ってはいないけれど、まだ枯れる年じゃねぇよ」
恥ずかしくてそれを誤魔化すように田中の頬を叩くように両手で挟んだ。
「そうなんだ。それでは、丁重に解させてもらうわ」
手を伸ばし、ナイトテーブルから潤滑ゼリーを取り出した。
「お前、用意周到だな」
今まで付き合っていた恋人は全て女性の筈。ということは山本の為に用意したのだろう。
「そりゃ、想いが伝われば抱きたいなって。これ、必要なんだろ?」
「どうせ調べたんだろ」
「勿論。大事なお尻を傷物には出来んでしょ」
痔になったら大変とか、デリカシーの欠片もないことを言う田中の頬を摘まんだ。
「もうしゃべるな。本当、お前ってさ、相手が俺だとそうだよな」
「ふへへ、えんりょらしにいへんのはおまへしかいらいもん」
良い歳をした男の、舌足らずなしゃべり方は流石にキツイ。
だが、言いたいことは伝わってきたし、それが自分だけという事が嬉しくない訳がない。
口から手を離すと、四つん這いにされて腰を持ち上げられる。
「そういう事で、垂らすぞ」
後孔にゼリーをたらし、指が入り込む。
久しぶりに味わう感覚、しかもそれは愛しい男の指だ。
「ふっ」
くちゅくちゅと水音と共に、中を丁寧に解していく。だが、それも次第にもどかしくなり、じれてくる。
「もう良いから入れろ」
「まだだ。お互いに無理は駄目だろ?」
若くないんだからと、指が更に増えて良い所をかすめる。
「んっ」
「ん、ここが良いのか?」
嬉しそうに言うと、今度はそこの箇所ばかり弄りだす。
「く、そこばかり、弄るな。さっさとこい」
「えぇ、何? 最近、耳が遠くて良く聞こえないわ」
指が抜けて、うつ伏せから仰向けにされる。
覆いかぶさる田中の首に腕を回し、
「お前こそ、耳が遠くなったんじゃないか、お・じ・さ・ん」
先ほど言われたことを言い返し、耳を噛んで舌で舐める。
「おわっ、おま、俺の耳が弱いって知って……」
「だからやっているんだよ。お前の事なら良く知っているからな」
「仕返しって? こら、マジでやめなさいって」
顔を遠ざけ、その代りに唇を重ねた。
「ふぁ」
幸せだ。
ウットリとしながらキスを味わっていれば、
「ふ、とろとろだな」
「んぁ?」
と唇が離れて濡れた唇を田中の指が拭う。
「お前のそういう顔、もっと早く見ておけばよかった」
と、足を開かされ、熱くてかたい物が後孔へと宛がう。
「あっ」
ずっと欲しかったモノだ。
つい、唇が綻んでしまい、それを田中にばっちりと見られてしまった。
「ふっ、入れるぞ」
表情が緩んでいる。
それを見たら余計に恥ずかしくなってきて、
「あぁ。まだ若いのに負けてないって所を俺に見せろ」
と強気な事を口にする。
「もちろんだ」
ゆっくりと中へと入り込む田中に、こんなものかと挑発するように見れば、口角を上げて激しく揺さぶられた。
「え? あ、くぁっ」
「煽りやがって。優しくしてやれねぇからな」
このまま心臓が止まってしまうのでは、と、思うくらいに鼓動が激しく波打つ。
「く、はっ」
出来るだけ声を出さぬようにと手で口を押えていたが、
「山本サンよ、声を押さえる必要はないぞ」
と田中の手が山本の手を掴み口から引き離す。
「だが、俺の喘ぎなんて聞いたらお前が萎える」
折角、繋がりあえたのに。途中でお仕舞なんて事になったら嫌だった。
「嫌だ。折角、お前と」
二度と触れて貰えなくなったら、と、そんな事ばかりが頭に浮かぶ。
「そんな訳ないだろ? 俺は可愛く喘ぐお前の声が聞きたいの」
と、奥を突かれた。
「んっ、あぁっ」
思わず出てしまった声を手で押さえるが、田中がこちらを見てにやりと笑う。
「萎えねぇよ」
お前が一番感じているだろうと言われ、田中のモノは変わらず、熱く膨らんだままだ。
「声、我慢するなよ」
「わかった」
全てを晒しても田中は繋がっていてくれる。そうわかった途端に素直になった。
喘ぎ、身体を善がらせ、中のモノを離さないとばかりにしめつけた。
流石に体力が持たず、回数を重ねる事などできない。
自分の中で田中がイき、布団へと身を預ける。
「もう無理だ」
「そうか」
中から田中のモノが抜け、後孔から放ったモノが太ももを伝い流れおちる。
その感覚がすこし気持ち悪く、田中が気付いてティッシュでふき取ってくれた。
「いつもなら、足りねぇって思う所なんだけど、お前が相手だからか、すごく満たされた」
「何それ」
ここでそんな事を言うなんて。頬が熱くなるのを止められない。
「何、もしかして照れているのかな?」
「煩い」
「なぁ、抱いたまま寝てもいい?」
「俺もそうして欲しいと思っていた」
「おっ、意思疎通ってやつ」
背後から腕を回して身体を抱き寄せられる。
その暖かさに、ほっと息を吐けば、田中がクツクツと笑う。
「明日、筋肉痛になるかもしれないな」
「……恨むぞ」
よくよく思えば、休日まであと二日も仕事へいかなければならない。
「マジですまん」
それでなくとも運動不足で体がかたい。体勢をかえて田中と向き合うと、わざとらしくため息をついた後、胸へ顔を埋める。
「身体はキツイだろう。でも、それよりも嬉しい方が勝っているから、な」
「くそっ、山本、もう一回」
手が怪しい動きをはじめ、
「ふざけるな、助平ジジイ」
と手の甲を抓った。
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