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古強者は恋慕う
幸せになろう(2)
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食事を終えて片づけをしている間、宗は自室へ向かいしまっておいた大切なものを取り出した。
「朱玉、とうとうこれをクレイグに渡す時が来たぞ」
形見としてサイドテーブルには朱玉が大切にしていたブレスレットが置かれている。
これは宗に持っていて欲しいと手渡された物だった。
それをポケットに入れると二人のいる所へと戻る。
「それは……?」
一つはクレイグが彼に贈った品が入った箱、そして皮の袋に何かがはいっている。
それをテーブルの上に置いた。
「クレイグ、お前から先に」
箱を手渡すと、それを受け取ったクレイグが中からカフスを取り出す。
「ソウ、俺の伴侶としてこれから先も傍にいてください」
耳に飾り、そしてキスをする。
「あぁ。やっとお前を手に入れたんだ。誰にもやらん」
愛してる、と、皮の袋から銀の剣をとりだし、そして手紙と共に手渡した。
「剣と、手紙?」
ソウからかと聞かれて、違うと首を横に振る。
封を開いて中身を取り出して読み始めたクレイグが、あ、と小さく声を上げる。
「ソウ、これ」
「朱玉から頼まれていたんだ」
内容は秘密だと、彼女が唇に人差し指を当てた。その姿を思い出して、ふっと笑みを浮かべる。
手紙を読み終えたクレイグが宗に手紙を渡す。
「この手紙はクレイグ宛だ。俺が読むわけには……」
「シュギョクの為にも読んで欲しい」
それを受け取り読み始める。
宗と朱玉が婚姻した理由、クレイグに対する想いと交わした約束の事、そして剣を二人で選んだこと、最後に、宗に対する気持ち、そして、幸せにしてやって欲しいと、そう書いてあった。
「朱玉……ッ」
家族となったあの日から、宗へ対する気持ちの方が大きくなり、クレイグは憧れの人とかわった。
幸せだった。宗と周と共に暮らした日々が、と、そう手紙には書いてあった。
「俺も、君が大切だった」
同じだ、と、手紙を胸に抱きしめる。
「大切にする。ソウも、シュギョクの想いも」
剣へ、宗の唇へと軽く触れる位のキスをする。
「クレイグ」
「愛してる」
と、今度は深くキスをする。
「おめでとうございます。父さん、クレイグさん」
「ありがとう、シュウ」
心から嬉しそうな笑顔を見せた。
「そうだ。周、悪いがクレイグの家へ行ってくれるか?」
それだけで何をするか察した周は、素直にわかりましたとクレイグから鍵を受け取る。
「お二人とも、程ほどになさってくださいね」
「はは。流石に若い頃のようには無理だわな」
「ほう、若い頃はそんなにご盛んだったのか、ん? そういえば、キスの件もまだ聞いてなかったな」
ぎゅっと耳を摘ままれて引っ張られる。
「そ、そんな、お話するような程では……」
「ふふ、それでは俺はクレイグさんの家に向かいますから。お二人とも、お風呂に入ってゆっくりしていてください」
「お、風呂! うん、そうだな。ソウ、先にはいれ」
「解った。じゃぁ、その後にベッドの上でじっくりと話を聞こうか」
「勘弁してくれよぉ」
そんな二人の姿に、周が「喧嘩しちゃ駄目ですよ」と笑みを浮かべながら声をかけた。
今まで宗の耳に無かったシルバーのカフス。そして、昨夜の情事の痕が残る身体を晒す。
あの後、クレイグは容赦なかった。
胸をしつこく吸われたせいで服がこすれていたいし、休む間もなく後ろを突かれて腰がだるい。
それでも、彼と一つになれたことが嬉しという気持ちが勝っているので、身体が辛いのも我慢できる。
「おめでとうございます」
二人がそういう関係になったのだと理解したまわりの者が、次々とお祝いの言葉を掛けてくる。
「ふ、お前等は若い奴等みたいな反応は見せないな」
若い騎士達は目を反らして恥ずかしそうにしている。その姿が初々しい。
「そりゃ、いつかはそうなると思ってましたし。ま、ちょっとヤバいとは思ってますよ。色気、半端ないし」
「そうそう。半端ないっす」
上半身裸の姿を見て、クレイグが真っ赤になりながら宗を自分の背中に隠す。
「こら、お前等、見るんじゃない」
「クレイグさん、可愛すぎます、その反応」
「昨日もそんなだったんですかぁ」
散々からかわれて、剣を抜くクレイグに、まわりは一目散に散らばった。
「あいつら」
「くく、あはははっ」
「ソウ!!」
楽しそうな笑い声に、クレイグはしゃがみ込んで手で顔を覆った。
「朱玉、とうとうこれをクレイグに渡す時が来たぞ」
形見としてサイドテーブルには朱玉が大切にしていたブレスレットが置かれている。
これは宗に持っていて欲しいと手渡された物だった。
それをポケットに入れると二人のいる所へと戻る。
「それは……?」
一つはクレイグが彼に贈った品が入った箱、そして皮の袋に何かがはいっている。
それをテーブルの上に置いた。
「クレイグ、お前から先に」
箱を手渡すと、それを受け取ったクレイグが中からカフスを取り出す。
「ソウ、俺の伴侶としてこれから先も傍にいてください」
耳に飾り、そしてキスをする。
「あぁ。やっとお前を手に入れたんだ。誰にもやらん」
愛してる、と、皮の袋から銀の剣をとりだし、そして手紙と共に手渡した。
「剣と、手紙?」
ソウからかと聞かれて、違うと首を横に振る。
封を開いて中身を取り出して読み始めたクレイグが、あ、と小さく声を上げる。
「ソウ、これ」
「朱玉から頼まれていたんだ」
内容は秘密だと、彼女が唇に人差し指を当てた。その姿を思い出して、ふっと笑みを浮かべる。
手紙を読み終えたクレイグが宗に手紙を渡す。
「この手紙はクレイグ宛だ。俺が読むわけには……」
「シュギョクの為にも読んで欲しい」
それを受け取り読み始める。
宗と朱玉が婚姻した理由、クレイグに対する想いと交わした約束の事、そして剣を二人で選んだこと、最後に、宗に対する気持ち、そして、幸せにしてやって欲しいと、そう書いてあった。
「朱玉……ッ」
家族となったあの日から、宗へ対する気持ちの方が大きくなり、クレイグは憧れの人とかわった。
幸せだった。宗と周と共に暮らした日々が、と、そう手紙には書いてあった。
「俺も、君が大切だった」
同じだ、と、手紙を胸に抱きしめる。
「大切にする。ソウも、シュギョクの想いも」
剣へ、宗の唇へと軽く触れる位のキスをする。
「クレイグ」
「愛してる」
と、今度は深くキスをする。
「おめでとうございます。父さん、クレイグさん」
「ありがとう、シュウ」
心から嬉しそうな笑顔を見せた。
「そうだ。周、悪いがクレイグの家へ行ってくれるか?」
それだけで何をするか察した周は、素直にわかりましたとクレイグから鍵を受け取る。
「お二人とも、程ほどになさってくださいね」
「はは。流石に若い頃のようには無理だわな」
「ほう、若い頃はそんなにご盛んだったのか、ん? そういえば、キスの件もまだ聞いてなかったな」
ぎゅっと耳を摘ままれて引っ張られる。
「そ、そんな、お話するような程では……」
「ふふ、それでは俺はクレイグさんの家に向かいますから。お二人とも、お風呂に入ってゆっくりしていてください」
「お、風呂! うん、そうだな。ソウ、先にはいれ」
「解った。じゃぁ、その後にベッドの上でじっくりと話を聞こうか」
「勘弁してくれよぉ」
そんな二人の姿に、周が「喧嘩しちゃ駄目ですよ」と笑みを浮かべながら声をかけた。
今まで宗の耳に無かったシルバーのカフス。そして、昨夜の情事の痕が残る身体を晒す。
あの後、クレイグは容赦なかった。
胸をしつこく吸われたせいで服がこすれていたいし、休む間もなく後ろを突かれて腰がだるい。
それでも、彼と一つになれたことが嬉しという気持ちが勝っているので、身体が辛いのも我慢できる。
「おめでとうございます」
二人がそういう関係になったのだと理解したまわりの者が、次々とお祝いの言葉を掛けてくる。
「ふ、お前等は若い奴等みたいな反応は見せないな」
若い騎士達は目を反らして恥ずかしそうにしている。その姿が初々しい。
「そりゃ、いつかはそうなると思ってましたし。ま、ちょっとヤバいとは思ってますよ。色気、半端ないし」
「そうそう。半端ないっす」
上半身裸の姿を見て、クレイグが真っ赤になりながら宗を自分の背中に隠す。
「こら、お前等、見るんじゃない」
「クレイグさん、可愛すぎます、その反応」
「昨日もそんなだったんですかぁ」
散々からかわれて、剣を抜くクレイグに、まわりは一目散に散らばった。
「あいつら」
「くく、あはははっ」
「ソウ!!」
楽しそうな笑い声に、クレイグはしゃがみ込んで手で顔を覆った。
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