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9章 新たな生活(陽華の苦難、リターンズ)

第2話 陽華と信繁(6)

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「信繁君、私・・・」
「そのまま、ここにいて大丈夫だよ」

「けど、私には返せるものがない・・・。
 こんなに良い人なのに・・・。
 もらうばっかり・・・」
「そんな事気にしなくても・・・。
 僕は、みんなが言うようにそんなに良い人じゃない。
 星華は、高校の時に居場所がなかったから、それを援助した。
 その結果、僕から離れる事ができなくなった。
 めぐみもそう。
 居場所がなかった時に居場所を提供した。
 その結果、星華と共に家族に・・・」

「そうかもしれないけど、困った時に助けてくれたのが信繁君だよね。
 それに感謝するのは普通だと思うけど・・・。
 そんな事、なかなかできないよ」
「そういう考え方もできるけど、二人をお金で買ったようなものかもしれないよ」

「星華もめぐみも幸せそうだから、良いと思うけど・・・」
「星華もめぐみ以外と家族になるつもりもないし・・・。
 陽華さんは、何か求めるものがあるの?」

「そんなの求めてないよ。
 求めるものか・・・。
 もし、私が死んだら、息子を引き取って欲しい。
 十分に可愛がって・・・。
 それぐらいかなぁ」
「それは、大丈夫だけど・・・。
 一度、ご両親に会った方が良いと思うけど・・・。
 病気の事も言ってないんでしょう」

「うん。言ってない」
「それからだね」
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