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28.犠牲
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「蛇移しをされると……どんなふうに死んでしまうんですか?」
「………君には…とても言い難いんだけどね。身体中に…蛇の鱗のような痣が浮き出てくる。まるで脱皮のように、皮膚が剥け、臓器を食らって出てきた蛇は、皮膚を食っていなくなる。」
「……ぅっ………それ、結構きついですね…。」
「水葵!……なんてこと言うんですか!
それにっ、助ける方法だってあるんじゃないですか?」
「すまない……。
助ける方法はあるにはあるんだが……。」
「本当ですか!!」
「………少し、涙に話があるんだ。
水葵君は少しあっちの部屋で休んでおいで。」
「……はい。」
なんの話をしているのかとても気になったけれど、何故だかそれを聞く気にはなれなかった。
宮川さんは、とても苦しそう顔をしていたから。
「………涙。今日さ、吸涙…してくれないか?」
「何言ってるの!……早く寝ないと体に障るかもし……」
「お願い。頼むから…して?」
吸涙という理由がないと、
涙の前で泣きたくなかったんだ。
素直に泣けないだなんて、
気づいたら最近そんな事はなくなっていたのに。
「………涙っ………んっ………。」
今日はいつもよりキスが長い。
ねっとりと絡みつく舌からは
いつもの熱さは感じない。
「水葵っ……んんっ……ちゅ……」
離れたくない……のに。
あと5日。
その言葉は鋭く、俺の胸を刺す。
「………ぅっ……んっ……っ……」
熱いのは、頬を伝う俺の涙だけ。
「……っ……水葵。」
今度は、熱く、強く俺を抱き締める。
「……っ。何も出来なくて。ごめん。」
「なんでっ……なんでお前が……謝るんだよ。」
「だって……。」
「お前…俺の隣に居てくれるだけでいいんだよ。」
「それじゃっ……僕が嫌なんだっ!」
「!?……」
「だからね、僕は……」
真っ直ぐに見つめる瞳が、
その意思は、諦めかけている俺には
とても怖いものだった。
「自分を犠牲にしても、水葵を助ける。」
「………君には…とても言い難いんだけどね。身体中に…蛇の鱗のような痣が浮き出てくる。まるで脱皮のように、皮膚が剥け、臓器を食らって出てきた蛇は、皮膚を食っていなくなる。」
「……ぅっ………それ、結構きついですね…。」
「水葵!……なんてこと言うんですか!
それにっ、助ける方法だってあるんじゃないですか?」
「すまない……。
助ける方法はあるにはあるんだが……。」
「本当ですか!!」
「………少し、涙に話があるんだ。
水葵君は少しあっちの部屋で休んでおいで。」
「……はい。」
なんの話をしているのかとても気になったけれど、何故だかそれを聞く気にはなれなかった。
宮川さんは、とても苦しそう顔をしていたから。
「………涙。今日さ、吸涙…してくれないか?」
「何言ってるの!……早く寝ないと体に障るかもし……」
「お願い。頼むから…して?」
吸涙という理由がないと、
涙の前で泣きたくなかったんだ。
素直に泣けないだなんて、
気づいたら最近そんな事はなくなっていたのに。
「………涙っ………んっ………。」
今日はいつもよりキスが長い。
ねっとりと絡みつく舌からは
いつもの熱さは感じない。
「水葵っ……んんっ……ちゅ……」
離れたくない……のに。
あと5日。
その言葉は鋭く、俺の胸を刺す。
「………ぅっ……んっ……っ……」
熱いのは、頬を伝う俺の涙だけ。
「……っ……水葵。」
今度は、熱く、強く俺を抱き締める。
「……っ。何も出来なくて。ごめん。」
「なんでっ……なんでお前が……謝るんだよ。」
「だって……。」
「お前…俺の隣に居てくれるだけでいいんだよ。」
「それじゃっ……僕が嫌なんだっ!」
「!?……」
「だからね、僕は……」
真っ直ぐに見つめる瞳が、
その意思は、諦めかけている俺には
とても怖いものだった。
「自分を犠牲にしても、水葵を助ける。」
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