27 / 44
26.震える肩
しおりを挟む
「宮川。」
「あれ?今日水葵くんは?」
「………お前。何が目的だ?」
「何って……あぁ、水葵くん話しちゃったのか。」
「………君が毒を盛ったからでしょ」
「おぉ…そんなことまで分かっちゃったのか……」
「今はもう寝ているけど、他に何が副作用があったりしないよね。」
「さぁ?どうでしょう。」
「………蛇がこんな所にに居るとバレたら大変なんじゃないのか?確か蛇の一族は
殺されたはずだ。」
「……そうだよ。吸涙鬼の一族にね。
だから、俺が居なくなったら最後さ」
「それは……どういう……。」
「今の水葵くんにちょっとだけおまじないをかけたのさっ。」
「………まさか、あの呪いとかじゃないよな。」
「ご名答!よくわかったねぇ。
蛇移し。これで僕は自由!ははっ!
水葵くんには、感謝してもしきれないよ~!あははっ!」
「お前っ……!そっかぁ………ふふっ……
この為に持ってきておいてよかったよ。」
「……!?そ、そんなっ…カッター?……
やっ、やめろぉっ!やめてくれぇぁああ」
「……っ……涙…。」
「!?……水葵。」
「……何っ…やってんだよ、人殺しになる気か……」
「……なんで部屋から出たのっ!
ダメだよ……。こんな体じゃ……」
「帰ろう。涙。一緒に……」
「……………うん。」
俺は、涙の震える手を強く握った。
「水葵……さっきの、どこまで聞いてた?」
「……………蛇移しの所から。」
「……っ………大丈夫、水葵は僕が守るから。」
「……蛇移しって、一体なんなんだ?」
「………それは、蛇一族から抜けたいと思うものが行う呪いのようなものだよ。」
「呪い?」
「そう、普通の人間に蛇を移す呪術。」
「!?……俺は、蛇になるの…か?」
「違うんだ……普通の人間はその力に耐えられない………っ……だから……」
「……………命を落とす?」
「………。」
涙は静かに頷く。
「………そう…か………
俺も、もう死んでいく人は見たくないからな…だから、俺が先にっ………先に死ねば……………。」
涙の表情を見て、状況を深く把握すると
震えが止まらなくなる。
死ぬの? どんなふうに? 痛い?苦しい?
もっと、涙と居たかった。
本当は信じられない。
でも、涙のこんな苦しそうな表情を見てしまったら信じざるを得ないじゃないか。
「………っ」
涙に強く抱き締められる。
涙の体は震えていた。
(涙も…怖いんだ。)
「……………っ。水葵……絶対、
守るからっ。」
自分も震えているのに、強がって俺を慰める涙に俺は心底惚れているのだと、
改めて自覚させられる。
「あれ?今日水葵くんは?」
「………お前。何が目的だ?」
「何って……あぁ、水葵くん話しちゃったのか。」
「………君が毒を盛ったからでしょ」
「おぉ…そんなことまで分かっちゃったのか……」
「今はもう寝ているけど、他に何が副作用があったりしないよね。」
「さぁ?どうでしょう。」
「………蛇がこんな所にに居るとバレたら大変なんじゃないのか?確か蛇の一族は
殺されたはずだ。」
「……そうだよ。吸涙鬼の一族にね。
だから、俺が居なくなったら最後さ」
「それは……どういう……。」
「今の水葵くんにちょっとだけおまじないをかけたのさっ。」
「………まさか、あの呪いとかじゃないよな。」
「ご名答!よくわかったねぇ。
蛇移し。これで僕は自由!ははっ!
水葵くんには、感謝してもしきれないよ~!あははっ!」
「お前っ……!そっかぁ………ふふっ……
この為に持ってきておいてよかったよ。」
「……!?そ、そんなっ…カッター?……
やっ、やめろぉっ!やめてくれぇぁああ」
「……っ……涙…。」
「!?……水葵。」
「……何っ…やってんだよ、人殺しになる気か……」
「……なんで部屋から出たのっ!
ダメだよ……。こんな体じゃ……」
「帰ろう。涙。一緒に……」
「……………うん。」
俺は、涙の震える手を強く握った。
「水葵……さっきの、どこまで聞いてた?」
「……………蛇移しの所から。」
「……っ………大丈夫、水葵は僕が守るから。」
「……蛇移しって、一体なんなんだ?」
「………それは、蛇一族から抜けたいと思うものが行う呪いのようなものだよ。」
「呪い?」
「そう、普通の人間に蛇を移す呪術。」
「!?……俺は、蛇になるの…か?」
「違うんだ……普通の人間はその力に耐えられない………っ……だから……」
「……………命を落とす?」
「………。」
涙は静かに頷く。
「………そう…か………
俺も、もう死んでいく人は見たくないからな…だから、俺が先にっ………先に死ねば……………。」
涙の表情を見て、状況を深く把握すると
震えが止まらなくなる。
死ぬの? どんなふうに? 痛い?苦しい?
もっと、涙と居たかった。
本当は信じられない。
でも、涙のこんな苦しそうな表情を見てしまったら信じざるを得ないじゃないか。
「………っ」
涙に強く抱き締められる。
涙の体は震えていた。
(涙も…怖いんだ。)
「……………っ。水葵……絶対、
守るからっ。」
自分も震えているのに、強がって俺を慰める涙に俺は心底惚れているのだと、
改めて自覚させられる。
1
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説




鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ダメリーマンにダメにされちゃう高校生
タタミ
BL
高校3年生の古賀栄智は、同じシェアハウスに住む会社員・宮城旭に恋している。
ギャンブル好きで特定の恋人を作らないダメ男の旭に、栄智は実らない想いを募らせていくが──
ダメリーマンにダメにされる男子高校生の話。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる