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24.蛇
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「ん?なんだこれ。」
下駄箱を開けると中に小さな紙が入っていた。
『また放課後体育館裏に来い』
涙の事がある限り行かざるを得ない。
怒った涙は怖いけど、
それ以前に俺はあいつを失いたくない。
「やぁ、昨日は災難だったねぇ。」
「……で、なんだ俺の血が欲しいのか。」
「あぁ、そうそう。話が早くて助かるよ。」
「……この間。痛くしないって言ったの忘れてないよな。」
「はいはい。痛くしなければいいんだろ。気持ちよければっ……」
首に宮川の息がかかる。
やっぱり、気持ちが悪い。
「はぁっ………」
宮川は大きく息を吸い、
俺の首に牙を当てた。
「……っ……いっ……た……い…」
皮膚を貫く牙が熱く、ヒリヒリと痛む。
当たる舌の感触と、息が気持ちが悪い。
(でも…なん、か…クラクラする…。)
「フワフワして……気持ちいでしょう?」
「……っあっ…そんな…ことは…。」
「痛くはない…。違う?」
痛くはない。
確かにそうだが…涙の時とは…何か違う。
クラクラして…なにか…熱い。
「……っ。終わった…か?」
「……ん…ごちそうさま。」
「これ…で、もういいだろ。」
「う~ん、そうだねぇ…俺専属の餌になって欲しかったけど、流石に眼が無くなるのは勘弁かな。」
「そう…か、じゃあ、涙の件は…」
「大丈夫。提供をやめたりはしないよ。」
「……はぁっ…よかった……。」
「君……もしかして…いや、まぁ、
美味しかったよ。助かった。」
「あっ、おかえり~!水葵」
「ただいま………、はぁ…」
「ん?なんか水葵…顔が赤くない?」
「え…そうか?……そう言えば…なん…か」
クラクラする。
熱い。喉が渇く。
それに、なんか…ムラムラ?する気が…
「えぇ!?水葵…この首の跡どうしたの?」
(やばっ、血を吸われた所か…隠すの忘れてた…。)
「あっ、いや、これは……。」
「……もしかして…これは、吸血鬼…とも違うな……まさかっ、蛇?!」
「蛇?! 蛇になんか、会ってないけど……。」
「………宮川 優か。あいつ……」
険しい表情。憎むような瞳。
「俺は、大丈夫……だから。」
「大丈夫じゃないよっ!
これは…毒だ。しかも、媚毒。」
「媚毒!?………そう言えば…なんか、変な感じが。」
体が火照って、力が入らない。
「水葵…なんで吸血なんかに手を貸したの?」
「そ…れは……。あいつ…宮川が、
お前の涙を提供してもらっている会社の社長の息子だって…。」
「はぁっ…それで脅されたのか…。」
「……ごめんなさ………んっ!?」
涙に強く抱き締められる。
強いのに痛くなくて、すごく優しい。
とても心地がいい。
「……僕のためになんてっ…こんな事になってまでっ………ばか…。」
肩に感じる涙の吐息は気持ちがいい。
「俺だって………一応…お前のこと…す
好きなんだから…当然だろ。」
それに、こいつと俺が逆の立場だったら
迷わずこいつは俺を助けていたはずだ。
俺ばっかり助けられるのはもう嫌だ。
「………僕も大好きだよ、水葵。」
下駄箱を開けると中に小さな紙が入っていた。
『また放課後体育館裏に来い』
涙の事がある限り行かざるを得ない。
怒った涙は怖いけど、
それ以前に俺はあいつを失いたくない。
「やぁ、昨日は災難だったねぇ。」
「……で、なんだ俺の血が欲しいのか。」
「あぁ、そうそう。話が早くて助かるよ。」
「……この間。痛くしないって言ったの忘れてないよな。」
「はいはい。痛くしなければいいんだろ。気持ちよければっ……」
首に宮川の息がかかる。
やっぱり、気持ちが悪い。
「はぁっ………」
宮川は大きく息を吸い、
俺の首に牙を当てた。
「……っ……いっ……た……い…」
皮膚を貫く牙が熱く、ヒリヒリと痛む。
当たる舌の感触と、息が気持ちが悪い。
(でも…なん、か…クラクラする…。)
「フワフワして……気持ちいでしょう?」
「……っあっ…そんな…ことは…。」
「痛くはない…。違う?」
痛くはない。
確かにそうだが…涙の時とは…何か違う。
クラクラして…なにか…熱い。
「……っ。終わった…か?」
「……ん…ごちそうさま。」
「これ…で、もういいだろ。」
「う~ん、そうだねぇ…俺専属の餌になって欲しかったけど、流石に眼が無くなるのは勘弁かな。」
「そう…か、じゃあ、涙の件は…」
「大丈夫。提供をやめたりはしないよ。」
「……はぁっ…よかった……。」
「君……もしかして…いや、まぁ、
美味しかったよ。助かった。」
「あっ、おかえり~!水葵」
「ただいま………、はぁ…」
「ん?なんか水葵…顔が赤くない?」
「え…そうか?……そう言えば…なん…か」
クラクラする。
熱い。喉が渇く。
それに、なんか…ムラムラ?する気が…
「えぇ!?水葵…この首の跡どうしたの?」
(やばっ、血を吸われた所か…隠すの忘れてた…。)
「あっ、いや、これは……。」
「……もしかして…これは、吸血鬼…とも違うな……まさかっ、蛇?!」
「蛇?! 蛇になんか、会ってないけど……。」
「………宮川 優か。あいつ……」
険しい表情。憎むような瞳。
「俺は、大丈夫……だから。」
「大丈夫じゃないよっ!
これは…毒だ。しかも、媚毒。」
「媚毒!?………そう言えば…なんか、変な感じが。」
体が火照って、力が入らない。
「水葵…なんで吸血なんかに手を貸したの?」
「そ…れは……。あいつ…宮川が、
お前の涙を提供してもらっている会社の社長の息子だって…。」
「はぁっ…それで脅されたのか…。」
「……ごめんなさ………んっ!?」
涙に強く抱き締められる。
強いのに痛くなくて、すごく優しい。
とても心地がいい。
「……僕のためになんてっ…こんな事になってまでっ………ばか…。」
肩に感じる涙の吐息は気持ちがいい。
「俺だって………一応…お前のこと…す
好きなんだから…当然だろ。」
それに、こいつと俺が逆の立場だったら
迷わずこいつは俺を助けていたはずだ。
俺ばっかり助けられるのはもう嫌だ。
「………僕も大好きだよ、水葵。」
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