吸涙鬼のごはんになりました。

黒咲ゆかり

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12.林間学校⑤

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(誰って……失礼にも程があるだろ。)

「……ふつう、自分がから名乗るのが礼儀なんじゃないのか?」

「あ?あぁ…それはすまない。
俺は沖水 宗介。涙の従兄弟だよ。」

「俺は、高橋 水葵。」

(吸涙鬼の一族は涙が最後っていってなかったか?てっきり…親族は居ないのかと。)

「それで、なんでその従兄弟がこの林間学校に居るんだ?」

「え?俺も涙と同じ日に転校してきたんだよ。」

「そうだったのか…。」

(まぁ、ほかのクラスのことなんて
聞く機会のない俺は知らなくても当然か)

「んで…沖水。お前は迷った…とか言わないよな?」

「おぉ!すげぇ!なんでわかんの!?」

(っ…………くっそぉ………。)

「宗介はどの道から来たか覚えてる?」

「ん~…確か、こっちだった気がする」


(こいつに任せておいてだいなのだろうか。)

俺は小さめの声で言う。

「おいっ…涙…こんなアホそうなやつについて行って大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思うけどなぁ…
あいつ、やる時はやるよ~」

(ん…なんだ。涙に結構信用されてるんだな。)

「多分…次は…こっちだ!」

「なんだこの、勢いに任せっぱなしなかんじは…」

(まじか……)

沖水の向かっていく方向には
懐中電灯のあかりが見えた。


「おぉ…やっと帰ってきたのかぁ
心配したぞ…。」

先生が急ぎ足で俺達の方へ向かってくる。

「すいません。なんか、2日連続でご迷惑を…」

「あぁ…それだけどな、」

やはりあの順路標識は誰かのいたずらで
逆にしてあったらしい。

(一体誰が…こんなこと。)

俺の頭によぎったのは。

沖水宗介だった。

あんな時間にしかも、この肝試しはクラス別だ。
何で違うクラスのあいつが来る必要があったか。
それは、俺に罠を仕掛けるためのものだったんだろう。
順路標識はまた元の標示に戻さなくてはならない。それを直しに来たときに、運悪く俺達に会った、と。
いくら、迷わされただけとはいえ、
昨日のことでよくわかったが、夜の山はとても危険だ。もしかしたら、命まで狙われているかもしれない。

(こ…れは、涙に言うべきなのか?)

涙は沖水を信用している。
俺の事を信じない可能性がある。
だが、これだけのことをやってのける奴だ
これで引き下がるとは思えない。
とりあえず、出先での争いは控えた方が良さそうだ。学校で会った時改めて話そう。
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