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10.いじめ

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「……まっ、まこ!」

教室の前で待っていたなおが、
緊張気味に声をかけてくる。

「おぉ、なお!帰ろ~ぜ」

「うんっ!」

わぁっ……なんて癒しオーラ全開な笑みなんだっ。

後に花が見える様だぜ……

「あれ?ゆうくんは?」

うっわぁ……超言い難いけど。


「あぁ…なんか、先に帰るって。」



「……………………そっか。」


やはり、悲しそうな顔をさせてしまった。


「……そ、そうそう、あいつ!基本的早く帰って勉強したいタイプの人間だからさ!
ほんっっと、真面目だよなぁ…………」

横目でなおの顔をチラりと確認する。

「わぁ……そ~なんだ!俺も勉強頑張らなきゃなぁ」

あっさりと、俺の言い訳を信じたようだ。

うぅっ……なんかごめんっ


「あ、俺のクラスのこっちの下駄箱だから
履き替えたらあそこで待ち合わせな!」


「うんっ」


上履きを脱ぬぎ、靴に履き替え、
待ち合わせ場所で待つ。


…………あれ?なんか、遅くないか?

もしかしてっ!また‪α‬に襲われてるんじゃ?!

と、思いなおのクラスの下駄箱まで行ってみる。


「なお?……なんかあったの…か」


なおの下駄箱には、何故かゴミが沢山敷き詰められていた。

?!

「まっ…まこ…………」


「……………………これ…誰がやったんだ。」


心の底から怒りが込み上げる。

「……ぁ、いや…………」

横でクスクスと笑う声がした。

「……っ!お前か?!こんな幼稚なことしたのは!」

笑う生徒の胸ぐらに掴みかかる。

「…………ちょっ…まこ!」
漫画でよく見るいじめシーンでよく見る喧嘩のシーン。

これはまた、王道な展開になってしまったが。

俺はどうもこういうことが許せない。


「……はぁ?お前βの分際で‪α‬の俺に手を出すのかよっ……ははっ…ばかじゃねぇの?」


「……っ!」


「てかっ、やれって命令したの俺じゃないし。だぁかぁらぁ~俺は関係ないのっ、わかるっ?」

余裕をかましたこいつの態度にさらに腹がたつ。
しかも、これが本の中のシーンだった場合
助けなくてはならない。

まぁ、シナリオになくても助けるけどなっ…

「……誰だよ、その命令したやつ。」


「………はぁ?教えてどぉ~すんだよ、
イキリβのお前なんかにっ」


「…………っ…ぶっ潰す」

堪忍袋の緒なんてとっくに切れていたが、
さらに、何かが切れた音がした。

「………………ははははっ…まじでいってん…
ぐはぁっ…」

拳がジンジンと痛む。

やっっべぇ……なんの計画もせずに殴っちまったぁっ!


「…………この俺を殴ったな?…」



なっ、なんか嫌な予感がするっ!!!


「な、なお!………お前は急いで寮帰れ!」


「そっ…そんなこと出来ないよ……」


「……2人とも殴られたら誰が助けよぶんだよ!」


「わっ、わかった!」


「…………はぁ?助けだぁ?…そんなもん呼ぶ前にお前なんかボコボコだせ?」


「…………っ…」



「…………ま、殴ったら傷が残るからなぁ…学校にバレたら面倒だ……」


ニヤッと片方の口角を上げる。
その顔はゆうに似ているようで……
全く似ていなかった。

男が何かポケットから出し、
俺には見えないスピードで突きつける。


「っつ…………?!」


ビリビリと体に電撃が走り、意識が遠くなる。




ま…た…………気絶か…よ






⿴  ⿻  ⿸  ⿴  ⿻  ⿸






目を覚ますと、そこはまたもや王道の体育倉庫だった。


「あ?起きた~?……」


「っつ、こんな所に閉じ込めても何にもならないだろ!」


ど~すんだよ!門限破って反省文書かされたらっ!


じゃなくって……なおが戻ってきたら…。

な、なんか、縛られてるしな。

まぁ、俺はΩじゃないし……そういう展開にはならないはずだけど。


…………じゃあ、何俺は閉じ込められてんのさっ?!


「………………お前さぁ…顔は綺麗だよな…
細いし、華奢だしなぁ…実は、Ω何じゃね~のか?」


何故か熱視線を向けられる。
これもまた、ゆうと似ているようで、
やはり違う。


「はぁ?……そんな訳ね~だろ……脳みそ狂ったのか?」


「………………そうだ…βなら妊娠しないだろ
しかも、今こいつは逃げられないっ……
俺はやっぱり頭がいいなぁっ……」


え?妊娠?




今こいつ、なんて言った???



「………………え…ちょっ、何すん…」


男に服の上から、股間をサワサワと撫でられる。




ぉぉおおおおおお?!?!




ちょっと待て?!




やっぱこういう展開かよっ!!!










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