喰鬼

初喰

美しい花には棘があり、猛毒で痛くて死ぬ

痛い

彼女は人間とは思えないくらい美しい
彼女は皆を魅了して、皆に疎まれ、皆に好かれる
選ぶ男はよりどりみどり、彼女は無敵で彼女は最強なのだ
誰も疑わない。誰も非力な彼女を疑わない
だって見た目はただの美人なのだから
ただ、彼女には

そんな僕は、ただの平凡な大学生

ただ講義を受けて、バイトをして、寝る
彼女なんていない
僕の生きる価値なんてきっと彼女の肉でしかないのだから
毎日毎日、僕は彼女に
って僕は彼女に会うまではそう思っていた退屈な日々なんてつまらないと
でもね、退屈だと思うから人は幸せなんだと気づけるんだって心底思ったよ
何故って
そう起こる全てが痛いから
僕は彼女と出会って恋をした
間違いだった
彼女は綺麗で痛い
間違いだった
彼女は美しくて痛い
間違いだった
彼女は優しくて痛い

僕は彼女を知ってしまった誰もが羨むくらいの美女を手に入れるのだから

なんであいつがって
俺だって好きなのに
贅沢だなって

いつでも変わってやりたい

だ

け

ど

僕は彼女に選ばれて、神も僕を選んだ

こんな不幸で幸せで愛しい彼女がたまらなく怖いのだ

お願いだから食べないで欲しい

嫌だ

お願いだからお願いだから

今日も美味しくいただきますね

いだい、あぁー

きっと慣れますよ、だってこの恋は永遠に続くのだから