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第二章 秘められた悪意
未練
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「失礼します」
そう言って、キースリーの執務室を後にしたエフェルローンは、ふらふらと壁に手を突いた。
怒りとも嫉妬とも付かない感情がぐるぐると心の中を渦巻いている。
それでも。
額に汗しながら、エフェルローンは壁伝いにゆっくりと歩を進めていく。
クローディア――エフェルローンが心から愛した元婚約者。
今は、彼女の父の意向でキースリー元に嫁ぎ、キースリー伯爵夫人となった人。
――自分にもっと力があれば。
――こんな身体じゃなければ。
あのとき、違う選択をしていたなら――。
「先輩、ひどい汗……。顔色も良くないですよ、誰か呼んできましょうか?」
ルイーズが心配そうに辺りの様子を伺う。
そんなルイーズをよそに。
「チッ」
エフェルローンはそう舌打ちすると、まるで自分の感情を吐露するかのようにその拳を思いっきり壁に叩き込んだ。
――ミシッ。
壁が蜘蛛の巣のように凹み、そこに血が滲む。
「せ、先輩―—!」
ルイーズが小さな叫び声をあげる。
脳裏に思い浮かぶのは、やはり[あの時の選択]。
もしあの時、[爆弾娘]を見殺しにしていたならば。
クローディアも、ディーンもギルもダニーも。
皆、笑顔で幸せでいられたのだろうか。
誰も傷つかず、誰も死なずに済んだのだろうか。
(俺が、[正しい選択]をしていれば―—)
かつて天才と持て囃された頃の面影は、今や微塵もない。
ただ今は、自分の不甲斐なさに涙が出る。
そんな惨めな自分に嫌気がさし、エフェルローンは憎しみを込めて更に壁を殴る。
「くそっ……!」
愛する人や友のために、何も出来ない自分。
そんな自分が、不甲斐ない。
不甲斐なくて、情けなくて。
「くそっ、くそっ、くそっ!」
エフェルローンは壁を殴り続ける。
壁の亀裂に滲んでいく、血、血、血――。
その異様な光景に、固まっていたルイーズが急いで止めに入った。
「先輩! 止めてください! 血が……!」
ルイーズが渾身の力を込めて、エフェルローンの小さな拳を両手で押さえる。
「先輩、先輩――止めて下さい……!」
ルイーズがぼろぼろと涙を零してエフェルローンの名を呼ぶ。
エフェルローンはそのまま床に崩れ落ちると、血まみれの拳もそのままに、ぐったりと項垂れた。
「結局、俺は……誰も助ける事が出来ないんだ、誰も……」
そう言って皮肉な笑みを浮かべるエフェエルローンに、ルイーズは涙も気にせず力強い口調でこう言った。
「そんな事ありません! そんな事……絶対に!」
「なんで、そう言い切れる?」
瞳に殺気を宿しながら、エフェルローンはそう言ってルイーズを嘲笑(あざわら)う。
そんなエフェルローンに、ルイーズは怯むことなくなくはっきりとこう言った。
「[爆弾娘《リズ・ボマー》]は、きっと感謝してます。どこの誰よりも、先輩に……」
エフェルローンは思わず笑う。
「ふん……[爆弾娘《リズ・ボマー》]ね。でも俺はいつも悩んでる。あの子を、[爆弾娘《リズ・ボマー》]を助けた事を。あの選択は、本当に正しかったのかってね」
「……そう、ですか。でも! きっと……感謝していますよ、[爆弾娘《リズ・ボマー》]は。私が保証します」
きっぱりとそう言うと、ルイーズは至極真面目な顔でエフェルローンをじっと見つめた。
そんなルイーズに、エフェルローンはげんなりとした表情をすると、ため息を吐きながらこう突っ込んだ。
「保障ってなぁ、お前……[爆弾娘《リズ・ボマー》]でもあるまいし」
その言葉に、ルイーズは一瞬きょとんとした顔をするものの、すぐに「そうでした」とばかりに舌を出し、苦笑しながらこう言った。
「あはは……テキトーなこと言ってすみませんでした、先輩。でも、先輩」
「あ?」
気のない返事をするエフェルローンの前に正座してかがみこむと、ルイーズは真摯な眼差しでエフェルローンを覗き込むとこう言った。
「先輩は、間違ってません。私はそう信じて……ううん、そう確信しています」
その言葉は、エフェルローンの心の奥の何かに触れた。
怒りが、嫉妬が……まるで、潮が引くように引いていく。
思わず、ルイーズの目をまじまじと見つめるエフェルローンに、口元に笑みを浮かべながら手を差し出すルイーズ。
エフェルローンはバツが悪そうに頭を掻くと、ふいと顔を背けながらこう言った。
「……そうかな? まあ、そうあれるよう努力はしてみるよ」
エフェルローンのその言葉に、ルイーズは満面の笑顔を浮かべると元気よくこう言った。
「はい!」
そんなルイーズの差し出した手を借りて立ち上がったエフェルローンに、ルイーズは更に含むような口調でこう言った。
「それで先輩、次はとこに行きますか?」
「は? どこ?」
(それは俺が聞きたいんだけど)
エフェルローンがそう心の中で呟き、あっけにとられていると。
ルイーズは悪戯を思い付いた子供のように目をキラキラ輝かせると、エフェルローンをけしかけるようにこう言った。
「この事件……キースリーに取り上げられたからって、そう簡単に諦めちゃうような、そんなヤワな男じゃありませんよね、先輩は」
煽てられている感は否めなかったが、諦める気など確かに毛頭ない。
エフェルローンはルイーズの煽りに素直に乗ることにする。
「……ふん、確かに。そうとなれば……そうだな、まずはディーンの家でも訪ねてみるか」
憲兵を正式に辞めたなら、高確率で家にいるのではないか。
そう推測したのである。
「ディーンの家は確か……」
早速向かおうとするエフェルローンの腕を掴むと、ルイーズはこう言った。
「先輩! 先ずはその手!」
「あ……」
改めて自分の血まみれの手を見る。
「ひどいな」
眉を顰め、思わず苦笑しながらそう漏らすと、ルイーズはため息混じりにこう言った。
「もう、止めるの大変だったんですからね! さあ、治療しに医務室に行きますよ!」
ルイーズに腕を引かれるように。
エフェルローンはこうして個人的に、[魔魂石]事件とアデラの関係を調べ始めるのであった。
そう言って、キースリーの執務室を後にしたエフェルローンは、ふらふらと壁に手を突いた。
怒りとも嫉妬とも付かない感情がぐるぐると心の中を渦巻いている。
それでも。
額に汗しながら、エフェルローンは壁伝いにゆっくりと歩を進めていく。
クローディア――エフェルローンが心から愛した元婚約者。
今は、彼女の父の意向でキースリー元に嫁ぎ、キースリー伯爵夫人となった人。
――自分にもっと力があれば。
――こんな身体じゃなければ。
あのとき、違う選択をしていたなら――。
「先輩、ひどい汗……。顔色も良くないですよ、誰か呼んできましょうか?」
ルイーズが心配そうに辺りの様子を伺う。
そんなルイーズをよそに。
「チッ」
エフェルローンはそう舌打ちすると、まるで自分の感情を吐露するかのようにその拳を思いっきり壁に叩き込んだ。
――ミシッ。
壁が蜘蛛の巣のように凹み、そこに血が滲む。
「せ、先輩―—!」
ルイーズが小さな叫び声をあげる。
脳裏に思い浮かぶのは、やはり[あの時の選択]。
もしあの時、[爆弾娘]を見殺しにしていたならば。
クローディアも、ディーンもギルもダニーも。
皆、笑顔で幸せでいられたのだろうか。
誰も傷つかず、誰も死なずに済んだのだろうか。
(俺が、[正しい選択]をしていれば―—)
かつて天才と持て囃された頃の面影は、今や微塵もない。
ただ今は、自分の不甲斐なさに涙が出る。
そんな惨めな自分に嫌気がさし、エフェルローンは憎しみを込めて更に壁を殴る。
「くそっ……!」
愛する人や友のために、何も出来ない自分。
そんな自分が、不甲斐ない。
不甲斐なくて、情けなくて。
「くそっ、くそっ、くそっ!」
エフェルローンは壁を殴り続ける。
壁の亀裂に滲んでいく、血、血、血――。
その異様な光景に、固まっていたルイーズが急いで止めに入った。
「先輩! 止めてください! 血が……!」
ルイーズが渾身の力を込めて、エフェルローンの小さな拳を両手で押さえる。
「先輩、先輩――止めて下さい……!」
ルイーズがぼろぼろと涙を零してエフェルローンの名を呼ぶ。
エフェルローンはそのまま床に崩れ落ちると、血まみれの拳もそのままに、ぐったりと項垂れた。
「結局、俺は……誰も助ける事が出来ないんだ、誰も……」
そう言って皮肉な笑みを浮かべるエフェエルローンに、ルイーズは涙も気にせず力強い口調でこう言った。
「そんな事ありません! そんな事……絶対に!」
「なんで、そう言い切れる?」
瞳に殺気を宿しながら、エフェルローンはそう言ってルイーズを嘲笑(あざわら)う。
そんなエフェルローンに、ルイーズは怯むことなくなくはっきりとこう言った。
「[爆弾娘《リズ・ボマー》]は、きっと感謝してます。どこの誰よりも、先輩に……」
エフェルローンは思わず笑う。
「ふん……[爆弾娘《リズ・ボマー》]ね。でも俺はいつも悩んでる。あの子を、[爆弾娘《リズ・ボマー》]を助けた事を。あの選択は、本当に正しかったのかってね」
「……そう、ですか。でも! きっと……感謝していますよ、[爆弾娘《リズ・ボマー》]は。私が保証します」
きっぱりとそう言うと、ルイーズは至極真面目な顔でエフェルローンをじっと見つめた。
そんなルイーズに、エフェルローンはげんなりとした表情をすると、ため息を吐きながらこう突っ込んだ。
「保障ってなぁ、お前……[爆弾娘《リズ・ボマー》]でもあるまいし」
その言葉に、ルイーズは一瞬きょとんとした顔をするものの、すぐに「そうでした」とばかりに舌を出し、苦笑しながらこう言った。
「あはは……テキトーなこと言ってすみませんでした、先輩。でも、先輩」
「あ?」
気のない返事をするエフェルローンの前に正座してかがみこむと、ルイーズは真摯な眼差しでエフェルローンを覗き込むとこう言った。
「先輩は、間違ってません。私はそう信じて……ううん、そう確信しています」
その言葉は、エフェルローンの心の奥の何かに触れた。
怒りが、嫉妬が……まるで、潮が引くように引いていく。
思わず、ルイーズの目をまじまじと見つめるエフェルローンに、口元に笑みを浮かべながら手を差し出すルイーズ。
エフェルローンはバツが悪そうに頭を掻くと、ふいと顔を背けながらこう言った。
「……そうかな? まあ、そうあれるよう努力はしてみるよ」
エフェルローンのその言葉に、ルイーズは満面の笑顔を浮かべると元気よくこう言った。
「はい!」
そんなルイーズの差し出した手を借りて立ち上がったエフェルローンに、ルイーズは更に含むような口調でこう言った。
「それで先輩、次はとこに行きますか?」
「は? どこ?」
(それは俺が聞きたいんだけど)
エフェルローンがそう心の中で呟き、あっけにとられていると。
ルイーズは悪戯を思い付いた子供のように目をキラキラ輝かせると、エフェルローンをけしかけるようにこう言った。
「この事件……キースリーに取り上げられたからって、そう簡単に諦めちゃうような、そんなヤワな男じゃありませんよね、先輩は」
煽てられている感は否めなかったが、諦める気など確かに毛頭ない。
エフェルローンはルイーズの煽りに素直に乗ることにする。
「……ふん、確かに。そうとなれば……そうだな、まずはディーンの家でも訪ねてみるか」
憲兵を正式に辞めたなら、高確率で家にいるのではないか。
そう推測したのである。
「ディーンの家は確か……」
早速向かおうとするエフェルローンの腕を掴むと、ルイーズはこう言った。
「先輩! 先ずはその手!」
「あ……」
改めて自分の血まみれの手を見る。
「ひどいな」
眉を顰め、思わず苦笑しながらそう漏らすと、ルイーズはため息混じりにこう言った。
「もう、止めるの大変だったんですからね! さあ、治療しに医務室に行きますよ!」
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