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第零章 すべての始まり
禁忌魔法の守護者、闇に落つ
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そこには奇妙だが、しかし、繊細で美しい文様が直径約三フィール(約三メートル)に渡り描かれていた。
イリシア大陸の最北端に位置する小国アルカサール。
その王都ファルクに聳え立つ王城・ホワイトファングの地中深くに広がる自然洞窟。
その自然洞窟の剥き出しの黄味がかった岩肌の地面の上に。
奇妙で美しい文様――[魔法陣]は、細かな砂埃に塗れながらも、その存在を静かに主張していた。
丸い円の中に、すっぽりと収まるように描かれた逆さの星。
よく見ると、その[魔法陣]の星の中央部分には、円形の台座が据えられており、その上には、一頭の山羊と一人の少女が供えられていた。
少女は仰向けに、雄山羊はその少女の腹の上に置かれている。
とはいっても、雄山羊には首から下の部分が無かった。
代わりに、赤黒いぬめぬめしたものが雄山羊の首の根元から少女を介し、更に台座を伝って地面にしたたり落ちている。
魔法陣はその赤黒いしたたりをゆっくりと味わうように啜ると。
その身をより一層赤く光らせ、更なる犠牲を要求する――。
と、そんな明らかに尋常ならざるこの光景を、誰よりも待ち望んでいたと言わんばかりに。
ひとりの女魔術師が感慨深げにその情景を眺めている。
唇をゆっくりと舐め、妖艶に微笑むその女は、尋常ならざるその力の源の成長と誕生を目の前に、「ほう……」と嘆息した。
それはまるで、愛し焦がれた男とひとつに結ばれる瞬間を迎えた時のように。
女は恍惚の表情を浮かべると、両手を魔法陣の上に翳し、悦びに震える声でこう叫んだ。
――我の召還に応じよ、[プロスクリスィ]!
それは、魔術師だけが操れる[古代上級魔法語]。
しかし、それは厳密にはそうではない。
彼女が唱えたその言葉――それは魔術の中でも禁忌中の禁忌とされる禁句。
悪魔への挨拶――[悪魔召喚]。
「くそ、遅かったか……」
台座を中心に溢れ出す、何とも禍々しい空気の流れ。
それは心臓の鼓動のようにドクン、ドクンと脈打つと、生暖かい空気と鉄混じりの生臭さを伴い、辺り一帯をゆっくりと浸食していく。
「まずいな」
そう言って、灰青色の瞳を細めると。
蜂蜜色の髪の青年は首元の詰め襟を指で徐に緩めた。
詰襟部には剣を軸とした天秤――[正義の天秤]のピンバッジが留まり、さらに金で出来た三つの小さな星が、薄闇の中、頼り無げに辺りを照らす明かり取りの炎の元で、力強く光っている。
アルカサール王国の、法と秩序を守護する治安維持組織――憲兵隊。
その中でも、金の星三つを頂く最上級の憲兵魔術師エフェルローンは、その階級を以てしても尚、渋い顔をした。
「状況は?」
天然の地下空洞の入り口の影を背にし、もうひとりの青年がそう声を掛けてくる。
片手に両手剣をひっさげたその青年は、不用心にも洞窟内部を堂々と覗き込んだ。
「馬鹿、よせって……」
そう言って、栗色の頭髪をグイと物陰に押しやる蜂蜜色の髪の青年に、両手剣の青年――ディーンは薄い茶色の瞳をスッと細めると、不適に笑ってこう言った。
「なぁに、百年にひとりの逸材がここには居るんだ。な、そうだろ? 天才魔術師エフェルローン様?」
そう言って茶化すディーンに。
エフェルローンと呼ばれた青年は、呆れながら両肩を竦める。
「馬鹿が。相手はこの国の筆頭魔術師、世界でも指折りの魔術の使い手だぞ? 二十年かそこらの修練如きの俺が、そこまで余裕あると思うか? はっきり言って無い。協力する気がゼロなら一人で仕留めてこい。その力はあるんだろ? なぁ、アルカサールのエース騎士殿?」
素気なくそう言い返されたディーンの襟元には、[正義の天秤]のほかに、三つの金の星が光っていた。
「ははは」
そう笑ってごまかすと。
ディーンは今一度、洞窟全体を見渡してこう言った。
「で、改めて状況は?」
ディーンの言葉に促され、エフェルローンは意識を五感に集中させる。
洞窟内を流れる活発な魔力に応呼するように。
手足に感じる空気に若干の抵抗を感じる。
エフェルローンは至極真面目にこう応えた。
「[重力魔法]が掛かってる。おそらく騎士除けだとは思うけど、ありきたりの魔法だからといって気は抜かないほうがいい。高位の術者が使う、ありきたりの術ほど厄介なものはないからね」
その、慎重に慎重を重ねたエフェルローンの言葉に。
相棒ディーンは、ニヤリと笑ってみせるとこう言った。
「分かってるって。それにしても重力魔法で騎士の利点、スピードを封じ込めるときたか。詠唱時間を稼ぐつもりなんだろうが……軍属のエース騎士に対してならまだしも、格下の憲兵騎士の俺にまでこの対応とか、ほんと容赦なしだよな……っていうか、俺も高く買われたものだ」
そう言って困った様に肩を竦めるディーン。
それから、ふと神妙な顔をしたかと思うと、ディーンはエフェルローンにこう尋ねる。
「でもいいのか、本当に。相手はお前の――」
そう真面目な顔で話を切り出すディーンに。
エフェルローンは、地下洞窟の中央で禍々しくうごめく黒い炎を見つめながらこう言った。
「構わない。人の道を踏み外したんだ。ならばそれを止めるのは[憲兵]である俺たちの役目、だろ?」
どこか躊躇いを感じさせるエフェルローンの語尾の疑問符に。
ディーンは深いため息を吐くとこう言った。
「……ま、あのアデラ・クロウリーを俺たちが止められればの話だけどな」
そう言って、ディーンが投げやりな視線を送った先。
そこには、禍々しい気配を一秒ごとに増していく魔法陣の前で恍惚に浸る、白髪交じりの女魔術師――アデラ・クロウリーの姿があった。
――アデラ・クロウリー
アルカサール王国魔術師団の長であり魔法大学の名誉学長。
そして、呪術魔法の権威で禁忌魔法の守護者でもある、偉大なる女魔術師。
その力と栄光に満ちた彼女は今、[禁忌魔法の無断使用]により[国家反逆罪]で捕らえられようとしている。
その、なんとも後味の悪い捕縛任務に抜擢されたのは、憲兵騎士の中でも五本の指に入る、将来を嘱望されたディーンと、期待の新人ダニー、そして、百年に一度の逸材と言われている憲兵魔術師のエフェルローンであった。
「相手が手強いからと言って、こんなところでうだうだしてても埒があかない。エフェル、俺は行くぜ」
そう言うが早いが、せっかちなディーンは力強く大地を蹴り上げると、重力魔法などものともせず地下洞窟の中へと跳び込んで行く。
目指すは洞窟の中央、そして、[国家反逆者]アデラ・クロウリーの首――。
(くそ、ディーンの奴! 死にたいのか!)
そう心の中で毒付くエフェルローンの真横を、何かが水をかき分けるようにゆっくりと通り過ぎて行く。
(……?)
ひょろ長く、いかにも頼りなさそうなその影は、空気に溺れんばかりの体でディーンの後を必死に追っている。
「せっ、先輩! ま、待って……」
空気を掻き、息を切らせながらそう言うと。
ひょろ長い影――新人憲兵魔術師ダニーは、天然のぬめぬめした岩の壁を背に、腰にぶら下げていた革袋の水を激しく煽った。
極度の緊張の為とはいえ、その無防備な行動に冷静さは微塵も感じられない。
(そうだった……)
エフェルローンは心の中で舌打ちする。
(この新人、どうしたものか)
ディーンは、憲兵騎士の中でも五本の指に入る優秀な上級騎士。
一方、ダニーはというと。
[期待の新人]という触れ込みとは異なり、持ち前の臆病な性格が災いしてその実力の半分も発揮できていないという、かなりかわいそうな状況にあった。
(ったく、しょうがないな)
エフェルローンは辺りを警戒しつつ、大きな岩伝いにダニーの側まで一気に近づくと、力尽くでダニーを自分の方に向かせる。
そして、そのか細い骨張った両肩を力強く掴むと、恐怖に怯える二つの瞳をしっかり捉えてこう言った。
「ダニー、緊張するのは分かる。でも馴れろ。生き残れるか否かは[冷静さ]に掛かってる。挑発に乗るな、いつもクールでいる努力を怠るなよ」
「……は、はい」
そうは言ったものの、縋るようにエフェルローンを見詰めるダニーの瞳は、どこと無く定まらない。
(新人は誰しも始めはこんなものだろうが、でも――)
エフェルローンは心の中で唇を噛む。
新人だからと言って、この場――事件現場に足を踏み入れたからには犯人に容赦されることは無い。
気を抜けば、棺に眠る未来が待っている。
(さて、これからどうやって我が国でも指折りの[大魔術師]と渡り合い、ダニーを守り切るかだが)
エフェルローンは視線を前方、魔法陣の方へと移す。
そこには、いつになく生き生きと、それは愉快そうに禁忌魔法を操る大魔術師の姿があった。
(……あんな姿)
エフェルローンの中に、沸々と怒りが込み上げてくる。
(あの人のあんな姿なんか、見たくなんて無かった!)
あまりのやり切れなさに、エフェルローンはさらに下唇を噛む。
血の味が口の中にじわりと広がり、エフェルローンはその不快さに唾を吐き捨てた。
この女魔術師――アデラ・クロウリーは、エフェルローンの育ての親であり、尚且つ魔術の師でもあったのである。
イリシア大陸の最北端に位置する小国アルカサール。
その王都ファルクに聳え立つ王城・ホワイトファングの地中深くに広がる自然洞窟。
その自然洞窟の剥き出しの黄味がかった岩肌の地面の上に。
奇妙で美しい文様――[魔法陣]は、細かな砂埃に塗れながらも、その存在を静かに主張していた。
丸い円の中に、すっぽりと収まるように描かれた逆さの星。
よく見ると、その[魔法陣]の星の中央部分には、円形の台座が据えられており、その上には、一頭の山羊と一人の少女が供えられていた。
少女は仰向けに、雄山羊はその少女の腹の上に置かれている。
とはいっても、雄山羊には首から下の部分が無かった。
代わりに、赤黒いぬめぬめしたものが雄山羊の首の根元から少女を介し、更に台座を伝って地面にしたたり落ちている。
魔法陣はその赤黒いしたたりをゆっくりと味わうように啜ると。
その身をより一層赤く光らせ、更なる犠牲を要求する――。
と、そんな明らかに尋常ならざるこの光景を、誰よりも待ち望んでいたと言わんばかりに。
ひとりの女魔術師が感慨深げにその情景を眺めている。
唇をゆっくりと舐め、妖艶に微笑むその女は、尋常ならざるその力の源の成長と誕生を目の前に、「ほう……」と嘆息した。
それはまるで、愛し焦がれた男とひとつに結ばれる瞬間を迎えた時のように。
女は恍惚の表情を浮かべると、両手を魔法陣の上に翳し、悦びに震える声でこう叫んだ。
――我の召還に応じよ、[プロスクリスィ]!
それは、魔術師だけが操れる[古代上級魔法語]。
しかし、それは厳密にはそうではない。
彼女が唱えたその言葉――それは魔術の中でも禁忌中の禁忌とされる禁句。
悪魔への挨拶――[悪魔召喚]。
「くそ、遅かったか……」
台座を中心に溢れ出す、何とも禍々しい空気の流れ。
それは心臓の鼓動のようにドクン、ドクンと脈打つと、生暖かい空気と鉄混じりの生臭さを伴い、辺り一帯をゆっくりと浸食していく。
「まずいな」
そう言って、灰青色の瞳を細めると。
蜂蜜色の髪の青年は首元の詰め襟を指で徐に緩めた。
詰襟部には剣を軸とした天秤――[正義の天秤]のピンバッジが留まり、さらに金で出来た三つの小さな星が、薄闇の中、頼り無げに辺りを照らす明かり取りの炎の元で、力強く光っている。
アルカサール王国の、法と秩序を守護する治安維持組織――憲兵隊。
その中でも、金の星三つを頂く最上級の憲兵魔術師エフェルローンは、その階級を以てしても尚、渋い顔をした。
「状況は?」
天然の地下空洞の入り口の影を背にし、もうひとりの青年がそう声を掛けてくる。
片手に両手剣をひっさげたその青年は、不用心にも洞窟内部を堂々と覗き込んだ。
「馬鹿、よせって……」
そう言って、栗色の頭髪をグイと物陰に押しやる蜂蜜色の髪の青年に、両手剣の青年――ディーンは薄い茶色の瞳をスッと細めると、不適に笑ってこう言った。
「なぁに、百年にひとりの逸材がここには居るんだ。な、そうだろ? 天才魔術師エフェルローン様?」
そう言って茶化すディーンに。
エフェルローンと呼ばれた青年は、呆れながら両肩を竦める。
「馬鹿が。相手はこの国の筆頭魔術師、世界でも指折りの魔術の使い手だぞ? 二十年かそこらの修練如きの俺が、そこまで余裕あると思うか? はっきり言って無い。協力する気がゼロなら一人で仕留めてこい。その力はあるんだろ? なぁ、アルカサールのエース騎士殿?」
素気なくそう言い返されたディーンの襟元には、[正義の天秤]のほかに、三つの金の星が光っていた。
「ははは」
そう笑ってごまかすと。
ディーンは今一度、洞窟全体を見渡してこう言った。
「で、改めて状況は?」
ディーンの言葉に促され、エフェルローンは意識を五感に集中させる。
洞窟内を流れる活発な魔力に応呼するように。
手足に感じる空気に若干の抵抗を感じる。
エフェルローンは至極真面目にこう応えた。
「[重力魔法]が掛かってる。おそらく騎士除けだとは思うけど、ありきたりの魔法だからといって気は抜かないほうがいい。高位の術者が使う、ありきたりの術ほど厄介なものはないからね」
その、慎重に慎重を重ねたエフェルローンの言葉に。
相棒ディーンは、ニヤリと笑ってみせるとこう言った。
「分かってるって。それにしても重力魔法で騎士の利点、スピードを封じ込めるときたか。詠唱時間を稼ぐつもりなんだろうが……軍属のエース騎士に対してならまだしも、格下の憲兵騎士の俺にまでこの対応とか、ほんと容赦なしだよな……っていうか、俺も高く買われたものだ」
そう言って困った様に肩を竦めるディーン。
それから、ふと神妙な顔をしたかと思うと、ディーンはエフェルローンにこう尋ねる。
「でもいいのか、本当に。相手はお前の――」
そう真面目な顔で話を切り出すディーンに。
エフェルローンは、地下洞窟の中央で禍々しくうごめく黒い炎を見つめながらこう言った。
「構わない。人の道を踏み外したんだ。ならばそれを止めるのは[憲兵]である俺たちの役目、だろ?」
どこか躊躇いを感じさせるエフェルローンの語尾の疑問符に。
ディーンは深いため息を吐くとこう言った。
「……ま、あのアデラ・クロウリーを俺たちが止められればの話だけどな」
そう言って、ディーンが投げやりな視線を送った先。
そこには、禍々しい気配を一秒ごとに増していく魔法陣の前で恍惚に浸る、白髪交じりの女魔術師――アデラ・クロウリーの姿があった。
――アデラ・クロウリー
アルカサール王国魔術師団の長であり魔法大学の名誉学長。
そして、呪術魔法の権威で禁忌魔法の守護者でもある、偉大なる女魔術師。
その力と栄光に満ちた彼女は今、[禁忌魔法の無断使用]により[国家反逆罪]で捕らえられようとしている。
その、なんとも後味の悪い捕縛任務に抜擢されたのは、憲兵騎士の中でも五本の指に入る、将来を嘱望されたディーンと、期待の新人ダニー、そして、百年に一度の逸材と言われている憲兵魔術師のエフェルローンであった。
「相手が手強いからと言って、こんなところでうだうだしてても埒があかない。エフェル、俺は行くぜ」
そう言うが早いが、せっかちなディーンは力強く大地を蹴り上げると、重力魔法などものともせず地下洞窟の中へと跳び込んで行く。
目指すは洞窟の中央、そして、[国家反逆者]アデラ・クロウリーの首――。
(くそ、ディーンの奴! 死にたいのか!)
そう心の中で毒付くエフェルローンの真横を、何かが水をかき分けるようにゆっくりと通り過ぎて行く。
(……?)
ひょろ長く、いかにも頼りなさそうなその影は、空気に溺れんばかりの体でディーンの後を必死に追っている。
「せっ、先輩! ま、待って……」
空気を掻き、息を切らせながらそう言うと。
ひょろ長い影――新人憲兵魔術師ダニーは、天然のぬめぬめした岩の壁を背に、腰にぶら下げていた革袋の水を激しく煽った。
極度の緊張の為とはいえ、その無防備な行動に冷静さは微塵も感じられない。
(そうだった……)
エフェルローンは心の中で舌打ちする。
(この新人、どうしたものか)
ディーンは、憲兵騎士の中でも五本の指に入る優秀な上級騎士。
一方、ダニーはというと。
[期待の新人]という触れ込みとは異なり、持ち前の臆病な性格が災いしてその実力の半分も発揮できていないという、かなりかわいそうな状況にあった。
(ったく、しょうがないな)
エフェルローンは辺りを警戒しつつ、大きな岩伝いにダニーの側まで一気に近づくと、力尽くでダニーを自分の方に向かせる。
そして、そのか細い骨張った両肩を力強く掴むと、恐怖に怯える二つの瞳をしっかり捉えてこう言った。
「ダニー、緊張するのは分かる。でも馴れろ。生き残れるか否かは[冷静さ]に掛かってる。挑発に乗るな、いつもクールでいる努力を怠るなよ」
「……は、はい」
そうは言ったものの、縋るようにエフェルローンを見詰めるダニーの瞳は、どこと無く定まらない。
(新人は誰しも始めはこんなものだろうが、でも――)
エフェルローンは心の中で唇を噛む。
新人だからと言って、この場――事件現場に足を踏み入れたからには犯人に容赦されることは無い。
気を抜けば、棺に眠る未来が待っている。
(さて、これからどうやって我が国でも指折りの[大魔術師]と渡り合い、ダニーを守り切るかだが)
エフェルローンは視線を前方、魔法陣の方へと移す。
そこには、いつになく生き生きと、それは愉快そうに禁忌魔法を操る大魔術師の姿があった。
(……あんな姿)
エフェルローンの中に、沸々と怒りが込み上げてくる。
(あの人のあんな姿なんか、見たくなんて無かった!)
あまりのやり切れなさに、エフェルローンはさらに下唇を噛む。
血の味が口の中にじわりと広がり、エフェルローンはその不快さに唾を吐き捨てた。
この女魔術師――アデラ・クロウリーは、エフェルローンの育ての親であり、尚且つ魔術の師でもあったのである。
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