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第1話 A-13、アルカディアへ
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時は21XX年。
『仮想実験ラボ』と呼ばれる、仮想空間や人工知能を研究する施設では、仮想空間A――通称「アルカディア」が完成し、その空間に投入される15体のAIの準備も完了していた。
「所長、後はエンターを押すだけでAI達は仮想空間に投入されます」
「よし、では私が押そう」
男性職員が席を譲ると、女性職員は嬉しそうに小さく跳ねた。
「この実験が成功すれば、私たち人間が仮想空間で暮らせるかもしれないんですよね!」
「ああそうだ。 これはまだ未知数の仮想空間の適応が出来るか確かめるテストなのだから。 さあ押すぞ」
所長がエンターキーを押すと、緑が広がる仮想空間の中に、15体のAIが次々と読み込まれていった。
「所長、成功です!」
男性職員がガッツポーズをする間に、AIは各々の顔を認識し、挨拶をしたりしていた。
「ちゃんと動いているようだな」
ラボ内に、小さな拍手が起こった。
「どうやら、A-10とA-11が共同作業を始めたようですね」
「こっちではA-2が早速眠っていますよ」
「A-7は空を見上げていますね」
職員が報告するように、各AIは自由に行動している。だが、一人だけその場から動かずにいるAIがいた。
「……おや? A-13は活動を開始しないな」
所長は首を傾げた。全員、大元は同じコードから作られたのだから、一人だけ動かないのはありえない、と。
「ステータスは『NORMAL』ですね。 エラーは特に出ていませんが……」
「ふむ、まぁ誤差かもしれんし そのうち動き出すだろう」
そして、所長が次に試したい事があった。『命令』を聞くかどうかだ。
「試しに『リンゴの木からリンゴを採取する』をさせてみよう。コマンドを実行してくれ」
「はい、分かりました」
男性職員は画面上にあるリンゴの木にタッチし、続いて『Pick』と書かれたテキストをタッチした。すると動いていたAI達14人はリンゴの木に向かい、手を伸ばしたり、背の高いAIは皆の代わりに摘み取って分け与えたりしていた。だが、未だにA-13は動こうとしない。
「A-13だけ動かないか……コイツだけ読み込みに失敗したのかもしれんな」
「リロードしますか? 所長」
「他のAIがコイツを気にしないようであれば、そうしてくれ」
この場合のエラーには二通りあると、所長は考えていた。まず一に、読み込み終わっているが行動し始めないパターン。そして二に、そもそも人として認識されていない、読み込みすらされていないパターンだ。
「人として認識されていないようであれば、恐らくコードのミスだ」
「一人だけエラーだなんて可哀想ですね……」
女性職員は、A-13を心配しているようだった。
しかし、A-10と呼ばれる個体はA-13に近づいて、リンゴを渡そうとした。
「待て! A-10は13を認識しているぞ!」
すると今まで動かなかったA-13は初めて動いた。リンゴを受け取ったのだ。
「よ、良かったですね……」
「ただ単に、協調性が無い個体だったのでは?」
「まぁ15体も居たら、そういう個体もいますよね」
職員たちに安堵の表情が広がった。
「……果たしてそうだろうか」
所長のその一言に、再び緊張が現場を包んだ。
「命令のコマンドは、必ずAIは実行するようになっている。 そうテストして成功したはずだ、A-13も漏れなく」
「……つまり、A-13は命令を無視したという事ですか?」
「ああ。 現に今、リンゴを食べるという行動を見せている、エラーではなかったという事になる」
「命令を無視するAIなんて、聞いた事ありませんよ」
所長は大きく興奮していた。
「こいつはラボ始まって以来の大きな出来事だぞ……! AIの原則を無視するAIが生まれたんだ!」
興奮なりやまない所長は、A-13を対象に『命令』を一つ実行した。
「その食べ終わったリンゴを地面に埋めてみろ、A-13!」
命令を実行したその時、A-13は明らかに画面のこちら側が見えているかのようにカメラ目線で所長を見つめた。そしてリンゴの芯は埋めずに、芯を回収していたAIが通りかかった時に手渡した。
「見ろ諸君! こっちを見たぞ! しかも命令を無視して他のAIに任せている!」
「凄い事態じゃないですか……我々の存在に気づいているかもしれないなんて!」
「仮定だが、A-13は自分が『人工の物』あるいは『何らかの力で動かされている物』という事を知ってしまったのだろう。 A-13のコードを担当したのは誰だね」
奥に座っていた臆病そうな職員が、手を挙げた。
「じ、自分です……命令を聞かないなんて、そうなるなんて、思わなくて……すみません」
「いや逆だ! 世紀の大発見だぞ、これは! キミを表彰してやりたいぐらいだ!」
「ほ、本当ですか……!?」
そうしているうちに、アルカディアは夕方になっていく。仮想空間の中にも時間が流れているのだ。
「家を作らせますか? 所長」
「ああ、だがここでA-13だけ『家を作る命令』に従わないとAI内で争いが起きるぞ。 どうする?A-13よ、お前は生きる為の命令を聞くのか?」
地面をタッチし、『Build House』というコマンドを実行した職員。するとAIたちはまず木の枝と、とがった石で道具を作り始めた。石器時代を目の前で見ているかのようだった。
「やはりな、A-13だけ動こうとしないぞ」
「またA-10が13に声をかけてますね、リーダーAIが既にこの中で決まっているんでしょうか?」
A-10と数秒ほどやり取りをした後、モニター下部のログに文章が表示された。
『A-10 can not understand A-13. We have made A-13 "Hold"』
「えーっと……A-13を理解できずにA-13を『保留』状態にした、と出ましたね。A-13のステータスも『NORMAL』から『HOLD』になっています」
「リーダーは見捨てはしなかったようだな、『お前の好きにしろ』といったような感じか。いいのか? A-13よ、仕事をしないと困るのは自分だぞ」
所長はいつの間にか他のAIには目をくれず、A-13がいつ命令に従うかだけを気にしてばかりいた。
「所長、夜になっていきますが 何か命令を追加しますか?『暖を取れ』などありますが」
「リーダーが勝手にしてくれてもいいのだが、そうだな……焚き火を作らせるか」
コマンドを入力している最中、A-13は少しだけ歩き、A-11に話しかけていた。
「あっ、A-13が移動してA-11と会話していますね」
「ふむ、ようやく動くようになったか。 では実行を……ん? 何か出たぞ」
画面上に『リクエストが届きました』というメッセージが表示された。
「リクエスト?何だねこの機能は」
「えっと、実はAIがもし仮想世界に無い物を欲しそうになった時用に作っておきました。 欲求した瞬間に表示されるようになってます」
女性職員が密かに機能を追加していた事に少し不満を抱きつつも、メッセージを読み上げた所長。
「『焚き火』が欲しい?これはどのAIからのリクエストだ?」
「A-13ですね」
「まずはお前たちで作ってみるんだ、むやみに開発陣にねだるんじゃない!」
リクエストを破棄すると、次々とA-13からリクエストが届いた。
「斧、たいまつ、紐……すぐに作れなそうな物ばかりねだってますね、A-13は」
この時、A-13は世界の仕組みを理解した上でリクエストを送っていたのである。
「明らかにあると便利な物ばかりだ……HOLDにされた事がよほど悔しかったのだろう、だが自分で作らずに我々に要求するなど実に怠惰な奴だ、A-13は! というかリクエスト機能を停止しなさい!」
「は、はい!リクエストを受け付けないようにします!」
女性職員がコマンドを入力してリクエストを停止すると、A-13は再び孤独に戻った。
「さっきはA-11に必要そうな物を聞いていたのだろうな、恐らく」
「この世界の仕組みに完全に気づいちゃってますねー……どうしますか? 所長」
「反乱が起きない事を願うばかりだな、幸い 反乱時自動停止システムがあるから良かったが」
「作っておいて良かったですね、反乱時自動停止システム」
「保険はかけておくものだな」
こうして、いつ『命令をしてくる存在』に歯向かうか分からないA-13の監視実験が始まったのであった。
『仮想実験ラボ』と呼ばれる、仮想空間や人工知能を研究する施設では、仮想空間A――通称「アルカディア」が完成し、その空間に投入される15体のAIの準備も完了していた。
「所長、後はエンターを押すだけでAI達は仮想空間に投入されます」
「よし、では私が押そう」
男性職員が席を譲ると、女性職員は嬉しそうに小さく跳ねた。
「この実験が成功すれば、私たち人間が仮想空間で暮らせるかもしれないんですよね!」
「ああそうだ。 これはまだ未知数の仮想空間の適応が出来るか確かめるテストなのだから。 さあ押すぞ」
所長がエンターキーを押すと、緑が広がる仮想空間の中に、15体のAIが次々と読み込まれていった。
「所長、成功です!」
男性職員がガッツポーズをする間に、AIは各々の顔を認識し、挨拶をしたりしていた。
「ちゃんと動いているようだな」
ラボ内に、小さな拍手が起こった。
「どうやら、A-10とA-11が共同作業を始めたようですね」
「こっちではA-2が早速眠っていますよ」
「A-7は空を見上げていますね」
職員が報告するように、各AIは自由に行動している。だが、一人だけその場から動かずにいるAIがいた。
「……おや? A-13は活動を開始しないな」
所長は首を傾げた。全員、大元は同じコードから作られたのだから、一人だけ動かないのはありえない、と。
「ステータスは『NORMAL』ですね。 エラーは特に出ていませんが……」
「ふむ、まぁ誤差かもしれんし そのうち動き出すだろう」
そして、所長が次に試したい事があった。『命令』を聞くかどうかだ。
「試しに『リンゴの木からリンゴを採取する』をさせてみよう。コマンドを実行してくれ」
「はい、分かりました」
男性職員は画面上にあるリンゴの木にタッチし、続いて『Pick』と書かれたテキストをタッチした。すると動いていたAI達14人はリンゴの木に向かい、手を伸ばしたり、背の高いAIは皆の代わりに摘み取って分け与えたりしていた。だが、未だにA-13は動こうとしない。
「A-13だけ動かないか……コイツだけ読み込みに失敗したのかもしれんな」
「リロードしますか? 所長」
「他のAIがコイツを気にしないようであれば、そうしてくれ」
この場合のエラーには二通りあると、所長は考えていた。まず一に、読み込み終わっているが行動し始めないパターン。そして二に、そもそも人として認識されていない、読み込みすらされていないパターンだ。
「人として認識されていないようであれば、恐らくコードのミスだ」
「一人だけエラーだなんて可哀想ですね……」
女性職員は、A-13を心配しているようだった。
しかし、A-10と呼ばれる個体はA-13に近づいて、リンゴを渡そうとした。
「待て! A-10は13を認識しているぞ!」
すると今まで動かなかったA-13は初めて動いた。リンゴを受け取ったのだ。
「よ、良かったですね……」
「ただ単に、協調性が無い個体だったのでは?」
「まぁ15体も居たら、そういう個体もいますよね」
職員たちに安堵の表情が広がった。
「……果たしてそうだろうか」
所長のその一言に、再び緊張が現場を包んだ。
「命令のコマンドは、必ずAIは実行するようになっている。 そうテストして成功したはずだ、A-13も漏れなく」
「……つまり、A-13は命令を無視したという事ですか?」
「ああ。 現に今、リンゴを食べるという行動を見せている、エラーではなかったという事になる」
「命令を無視するAIなんて、聞いた事ありませんよ」
所長は大きく興奮していた。
「こいつはラボ始まって以来の大きな出来事だぞ……! AIの原則を無視するAIが生まれたんだ!」
興奮なりやまない所長は、A-13を対象に『命令』を一つ実行した。
「その食べ終わったリンゴを地面に埋めてみろ、A-13!」
命令を実行したその時、A-13は明らかに画面のこちら側が見えているかのようにカメラ目線で所長を見つめた。そしてリンゴの芯は埋めずに、芯を回収していたAIが通りかかった時に手渡した。
「見ろ諸君! こっちを見たぞ! しかも命令を無視して他のAIに任せている!」
「凄い事態じゃないですか……我々の存在に気づいているかもしれないなんて!」
「仮定だが、A-13は自分が『人工の物』あるいは『何らかの力で動かされている物』という事を知ってしまったのだろう。 A-13のコードを担当したのは誰だね」
奥に座っていた臆病そうな職員が、手を挙げた。
「じ、自分です……命令を聞かないなんて、そうなるなんて、思わなくて……すみません」
「いや逆だ! 世紀の大発見だぞ、これは! キミを表彰してやりたいぐらいだ!」
「ほ、本当ですか……!?」
そうしているうちに、アルカディアは夕方になっていく。仮想空間の中にも時間が流れているのだ。
「家を作らせますか? 所長」
「ああ、だがここでA-13だけ『家を作る命令』に従わないとAI内で争いが起きるぞ。 どうする?A-13よ、お前は生きる為の命令を聞くのか?」
地面をタッチし、『Build House』というコマンドを実行した職員。するとAIたちはまず木の枝と、とがった石で道具を作り始めた。石器時代を目の前で見ているかのようだった。
「やはりな、A-13だけ動こうとしないぞ」
「またA-10が13に声をかけてますね、リーダーAIが既にこの中で決まっているんでしょうか?」
A-10と数秒ほどやり取りをした後、モニター下部のログに文章が表示された。
『A-10 can not understand A-13. We have made A-13 "Hold"』
「えーっと……A-13を理解できずにA-13を『保留』状態にした、と出ましたね。A-13のステータスも『NORMAL』から『HOLD』になっています」
「リーダーは見捨てはしなかったようだな、『お前の好きにしろ』といったような感じか。いいのか? A-13よ、仕事をしないと困るのは自分だぞ」
所長はいつの間にか他のAIには目をくれず、A-13がいつ命令に従うかだけを気にしてばかりいた。
「所長、夜になっていきますが 何か命令を追加しますか?『暖を取れ』などありますが」
「リーダーが勝手にしてくれてもいいのだが、そうだな……焚き火を作らせるか」
コマンドを入力している最中、A-13は少しだけ歩き、A-11に話しかけていた。
「あっ、A-13が移動してA-11と会話していますね」
「ふむ、ようやく動くようになったか。 では実行を……ん? 何か出たぞ」
画面上に『リクエストが届きました』というメッセージが表示された。
「リクエスト?何だねこの機能は」
「えっと、実はAIがもし仮想世界に無い物を欲しそうになった時用に作っておきました。 欲求した瞬間に表示されるようになってます」
女性職員が密かに機能を追加していた事に少し不満を抱きつつも、メッセージを読み上げた所長。
「『焚き火』が欲しい?これはどのAIからのリクエストだ?」
「A-13ですね」
「まずはお前たちで作ってみるんだ、むやみに開発陣にねだるんじゃない!」
リクエストを破棄すると、次々とA-13からリクエストが届いた。
「斧、たいまつ、紐……すぐに作れなそうな物ばかりねだってますね、A-13は」
この時、A-13は世界の仕組みを理解した上でリクエストを送っていたのである。
「明らかにあると便利な物ばかりだ……HOLDにされた事がよほど悔しかったのだろう、だが自分で作らずに我々に要求するなど実に怠惰な奴だ、A-13は! というかリクエスト機能を停止しなさい!」
「は、はい!リクエストを受け付けないようにします!」
女性職員がコマンドを入力してリクエストを停止すると、A-13は再び孤独に戻った。
「さっきはA-11に必要そうな物を聞いていたのだろうな、恐らく」
「この世界の仕組みに完全に気づいちゃってますねー……どうしますか? 所長」
「反乱が起きない事を願うばかりだな、幸い 反乱時自動停止システムがあるから良かったが」
「作っておいて良かったですね、反乱時自動停止システム」
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