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#181 ネット配信
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*月*日
簡易宿泊所に泊まるためにきょうも並んだ。10年近くこの街に住んでいる。路上に置きっぱの荷物はそっくり盗まれてしまった
だから最近ロッカーを借りたのだった
名古屋から流れついていつのまにかここに居ついてしまったのは、やはり同じような境遇の人が多いからだろう
みんなそれぞれの事情を抱え、きょうも生きている
タイミーで午後からの仕事が決まっていたが、クライアント都合で急になくなった
年齢不問の案件だったが、若い子の応募を優先したんだろう、いつものことだった
とにかく、期せずしてフリーになってしまったので、どうしたものかと時間を持て余していた
とにかく、クソ暑いのでデパートに逃げ込んで、ソファにどっかり座ってスマホで麻雀をやっていた
涼しくて、俺はやがてとてつもない睡魔に襲われはじめた
夢の中でしきりに語りかけてくる人物がいた、見覚えがあるような、ないような
「まーちゃん、まーちゃんやろ?」
ハッと睡魔の甘噛みされるような心地よい抱擁から目覚めると、知った顔の男が見下ろしていた
だいぶ前にやっていた、印刷関連のバイトで知り合った、トキオくんというやつだった
「まーちゃん、久しぶりやなぁ、おもろいバイトあるんやけどな、やってみーへん?」
トキオくんは、いきなりそう切り出した
「あー、それ、どうせ受け子とか出し子でしょ」
「ちゃうちゃう、そんな闇バイトちゃう、あの治験ゆうの知ってるやろ? あれと似たようなやつやな」
「あー、クスリはいやかな、ほぼクスリなしで人生送ってるんだよね」
「へー、そりゃ逆にすごいやん、マジ? てゆうかクスリちゃうねん」
「じゃ、なに? 勿体ぶらないで教えてよ」
「実は、ぶっちゃけ、肉体のあるパーツをやな、大きくできるモニターの仕事なんやけど、どないや、興味ある?」
「ハア? あるパーツ? 大きくする? 胡散臭いな、やっぱり」
「まぁまぁ、そう言わんで、まーちゃんもほら、タッパある方やないし、いろいろ肉体的に悩みあるやろ」
「え、なに、じゃ身長を伸ばすとかいうやつ? 胡散臭ッ」
「いや、男性にとって一番大切なもの、それを大きくするんや」
「あー、わかった増大クリームとかいうやつでしょ、アソコにすり込んで使う」
「そう、それやねん、やっぱ興味あるやろ、でもそれだけやないねんな、頭皮にすり込むことによって、薄毛解消できるんやで
「マジかー! それならトキオくんは、まだ使ってないってこと?」
「それな! いや、毛生え薬とちゃうねん、抜け毛予防ゆうんかな、そっちのほうやで」
「ふーん、ま、どっちにしろ興味ないかな、トキオくんも大変だね、まともな職業ついた方がいいよ、なんなら俺の前職紹介してやってもいいよ? チョコレートの梱包だけどさ、やっぱり人は真面目にコツコツ働くのが一番だよ」
「かっこつけんなや、まーちゃんかてお金困ってんちゃうん?」
「たしかに、お金はないけど、詐欺の片棒を担ぐのは、ありえないかな」
「まぁまぁ、ほなら、こないなんはどないやろか、モニターやのうて、スカウトの仕事なんやけど、いい子見つけたら」
「どうせ、AVとかでしょ、勘弁してよ」
「いや、グラビアもやってはりますよ」
「実は俺、AVの仕事したことあるんだよね、スタッフで」
「ほー、そらすごいな、紹介してほしいわ」
「うーん、あまりお勧めはできないかな」
「なんでやねん、きれいなおねーちゃんの裸見放題なんやろ、たまらんわー」
「ほぼ睡眠を取れないけど大丈夫? ま、二、三時間眠れたらいい方だね」
「撮影も何があるかわからないし、撮り終わってからが地獄の始まりだよ、不眠で荒編やってスタジオでも完パケまでほとんど眠れない毎日、ずっと睡眠不足と戦わなきゃならない、そんなの我慢できる?」
「チョコレートの梱包、やってみようかな」
「てかさ、とにかく人に使われている内は、いつまで経っても埒あかないんだよ」
「なんやって、ほな起業するってか」
「そう、それしかないでしょ」
「ほんなら、JKでもスカウトして、少しだけエッチな動画撮ってネット配信するんは、どう?」
「少しだけ?」
「せやで、まーちゃん、絶対領域知ってるやろ? JKの絶対領域ゆうのん、どや?」
「うーむ、そそられますな、いや、JKはまずい、未成年者は兎に角NG」
「ほな、グラニーならええやろ、熟女からおばあちゃんまで昔の美女を取り揃えております、ゆうてな」
ということで、早速、僕らは翌日から巣鴨でむかし綺麗だったであろうおばあちゃんたちをスカウトしはじめたのだった
企画:まーちゃん
台本:まーちゃん
カメラ:マキオくん(iphone)
果たしておばあちゃんたちは、どこまで肌の露出を許してくれるだろうか
巣鴨のおばあちゃんの絶対領域、お楽しみに!
簡易宿泊所に泊まるためにきょうも並んだ。10年近くこの街に住んでいる。路上に置きっぱの荷物はそっくり盗まれてしまった
だから最近ロッカーを借りたのだった
名古屋から流れついていつのまにかここに居ついてしまったのは、やはり同じような境遇の人が多いからだろう
みんなそれぞれの事情を抱え、きょうも生きている
タイミーで午後からの仕事が決まっていたが、クライアント都合で急になくなった
年齢不問の案件だったが、若い子の応募を優先したんだろう、いつものことだった
とにかく、期せずしてフリーになってしまったので、どうしたものかと時間を持て余していた
とにかく、クソ暑いのでデパートに逃げ込んで、ソファにどっかり座ってスマホで麻雀をやっていた
涼しくて、俺はやがてとてつもない睡魔に襲われはじめた
夢の中でしきりに語りかけてくる人物がいた、見覚えがあるような、ないような
「まーちゃん、まーちゃんやろ?」
ハッと睡魔の甘噛みされるような心地よい抱擁から目覚めると、知った顔の男が見下ろしていた
だいぶ前にやっていた、印刷関連のバイトで知り合った、トキオくんというやつだった
「まーちゃん、久しぶりやなぁ、おもろいバイトあるんやけどな、やってみーへん?」
トキオくんは、いきなりそう切り出した
「あー、それ、どうせ受け子とか出し子でしょ」
「ちゃうちゃう、そんな闇バイトちゃう、あの治験ゆうの知ってるやろ? あれと似たようなやつやな」
「あー、クスリはいやかな、ほぼクスリなしで人生送ってるんだよね」
「へー、そりゃ逆にすごいやん、マジ? てゆうかクスリちゃうねん」
「じゃ、なに? 勿体ぶらないで教えてよ」
「実は、ぶっちゃけ、肉体のあるパーツをやな、大きくできるモニターの仕事なんやけど、どないや、興味ある?」
「ハア? あるパーツ? 大きくする? 胡散臭いな、やっぱり」
「まぁまぁ、そう言わんで、まーちゃんもほら、タッパある方やないし、いろいろ肉体的に悩みあるやろ」
「え、なに、じゃ身長を伸ばすとかいうやつ? 胡散臭ッ」
「いや、男性にとって一番大切なもの、それを大きくするんや」
「あー、わかった増大クリームとかいうやつでしょ、アソコにすり込んで使う」
「そう、それやねん、やっぱ興味あるやろ、でもそれだけやないねんな、頭皮にすり込むことによって、薄毛解消できるんやで
「マジかー! それならトキオくんは、まだ使ってないってこと?」
「それな! いや、毛生え薬とちゃうねん、抜け毛予防ゆうんかな、そっちのほうやで」
「ふーん、ま、どっちにしろ興味ないかな、トキオくんも大変だね、まともな職業ついた方がいいよ、なんなら俺の前職紹介してやってもいいよ? チョコレートの梱包だけどさ、やっぱり人は真面目にコツコツ働くのが一番だよ」
「かっこつけんなや、まーちゃんかてお金困ってんちゃうん?」
「たしかに、お金はないけど、詐欺の片棒を担ぐのは、ありえないかな」
「まぁまぁ、ほなら、こないなんはどないやろか、モニターやのうて、スカウトの仕事なんやけど、いい子見つけたら」
「どうせ、AVとかでしょ、勘弁してよ」
「いや、グラビアもやってはりますよ」
「実は俺、AVの仕事したことあるんだよね、スタッフで」
「ほー、そらすごいな、紹介してほしいわ」
「うーん、あまりお勧めはできないかな」
「なんでやねん、きれいなおねーちゃんの裸見放題なんやろ、たまらんわー」
「ほぼ睡眠を取れないけど大丈夫? ま、二、三時間眠れたらいい方だね」
「撮影も何があるかわからないし、撮り終わってからが地獄の始まりだよ、不眠で荒編やってスタジオでも完パケまでほとんど眠れない毎日、ずっと睡眠不足と戦わなきゃならない、そんなの我慢できる?」
「チョコレートの梱包、やってみようかな」
「てかさ、とにかく人に使われている内は、いつまで経っても埒あかないんだよ」
「なんやって、ほな起業するってか」
「そう、それしかないでしょ」
「ほんなら、JKでもスカウトして、少しだけエッチな動画撮ってネット配信するんは、どう?」
「少しだけ?」
「せやで、まーちゃん、絶対領域知ってるやろ? JKの絶対領域ゆうのん、どや?」
「うーむ、そそられますな、いや、JKはまずい、未成年者は兎に角NG」
「ほな、グラニーならええやろ、熟女からおばあちゃんまで昔の美女を取り揃えております、ゆうてな」
ということで、早速、僕らは翌日から巣鴨でむかし綺麗だったであろうおばあちゃんたちをスカウトしはじめたのだった
企画:まーちゃん
台本:まーちゃん
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