パサディナ空港で

＃ １６５ 変顔

死のうと思った。

マスクでなんとか誤魔化していた。


ある日、何気なく頭を掻いていて異質な感じを覚えた。頭皮を指の腹で触っていくと、ぶつけた憶えなんてないのに、後頭部がなんかゴツゴツしていた。


身体の方は一切変化はない。もし変化の兆しがあったらヤバいと思った。

顔ならばいいけれど、女性の身体になるとなると生々しいことになるから、それは勘弁してほしかった。


一旦、顔の造作の変貌は終了したようだったが、美人というほどの顔ではないし、あまり好きなタイプの顔ではないので、かなり落胆した、ということはあった。

しかし、ある日。新しい顔にもう我慢が出来なくなって、やはり死んでしまおうと思った。

可能性に引きづられて、新しい顔で頑張ってみようと思ったけれど、見事に当てが外れた。

でも、あるアホな考えがふと脳裏に浮かんだ。

死ぬ前にダメ元で、チェンジと言ってみよう！

実にアホらしいとは思ったけれどダメ元で、ダメ元でと自分に言い聞かせるように呟いて、「チェンジ」と高らかに宣言するように言ってみた。