パサディナ空港で

#１０６ カメラ小僧

＊月＊日

KALDIのオリジナルらしい、カメラ缶チョコレートで撮影会に参加した。


チョコがカメラ型のカンカンに入っている。


推しメンの彼女は契約満期でアイドルグループを卒業してしまった。


でもまだコンカフェと撮影会で会えることがわかった。


なので、いそいそとカメラ缶チョコレートを携えて撮影会にでかけてきた。


彼女はセーラー服を着ていた。カメラ小僧になって、レリーズしまくった。


むろんカメラ缶チョコレートに、シャッターボタンはないし、フィルムも装填できない。


レンズもついていない。


それでもフィシュアイのF値が1.2くらいの明るいレンズのつもりで間近から推しメンを撮る。


シャッター音はしないので、レリーズするそのたんびに口でシャッター音を鳴らす。


「カシャッ、カシャッ、カシャカシャ、カシャッ」


推しメンの笑顔がたまらない。
　

そう。いいよ。

もっともっと。



「カシャッ、カシャッ、カシャカシャ、カシャッ」


  絶対結婚しようね！

　
「カシャッ、カシャッ、カシャカシャ、カシャッ」






そのとき、ウェディングドレスを身に纏った神々しいほどの光に包まれた推しメンがたしかに見えた




だが、その横で微笑みながら、おごそかに佇む人物は、自分ではなかった