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#99 Blue in Green
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*月*日
マイルスのペットの音が、部屋のなかをゆっくりとたゆたいはじめると、とたんにおれは、静寂を意識した。
心のなかが澄み清まっていく感じ、といえばいいだろうか。フラグメントが、じょじょに像を結んでゆく。
おれのなかで窓枠に縁取られた、萌える若葉が音もなく揺れている。
おれは真希といることも忘れ、一心にそれを見つめ続ける。
無音の世界。
そうしていつしか、身を切るような切ない調べが、陽炎のようにゆらゆらと立ち現われる。
『blue in green』
おれは、この曲がこの世にあるすべての楽曲のなかで、いちばん好きかもしれない。
気の遠くなるほどの甘美な旋律。
その底知れぬはかなさは、暗黒のがらん洞のなかで生まれ、虚無の深淵へとふたたび吸い込まれてゆく。
とらえようとして手を伸ばしても、どこまでも届くことはなく、引き潮のようにおごそかにひいていくそのさだめを、とめる手立てはない。ちょうどそれは、おれと真希のように。
マイルスのペットの音が、部屋のなかをゆっくりとたゆたいはじめると、とたんにおれは、静寂を意識した。
心のなかが澄み清まっていく感じ、といえばいいだろうか。フラグメントが、じょじょに像を結んでゆく。
おれのなかで窓枠に縁取られた、萌える若葉が音もなく揺れている。
おれは真希といることも忘れ、一心にそれを見つめ続ける。
無音の世界。
そうしていつしか、身を切るような切ない調べが、陽炎のようにゆらゆらと立ち現われる。
『blue in green』
おれは、この曲がこの世にあるすべての楽曲のなかで、いちばん好きかもしれない。
気の遠くなるほどの甘美な旋律。
その底知れぬはかなさは、暗黒のがらん洞のなかで生まれ、虚無の深淵へとふたたび吸い込まれてゆく。
とらえようとして手を伸ばしても、どこまでも届くことはなく、引き潮のようにおごそかにひいていくそのさだめを、とめる手立てはない。ちょうどそれは、おれと真希のように。
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