パサディナ空港で

＃５６ 写真詐欺

＊月＊日

   バカとかマヌケだとかクズ、果ては低脳、無能、サンノブザビッチ、オカマヤローとか言われ続けて一年あまり、ひとり情シスを必死こいてやってきたけれど、ここにきてもうマジでイヤになった、というのもマッチングアプリのプロフィール画像が盛り過ぎとか加工しすぎとかのレベルではなく完璧に別人28号‼️アンタ誰？ の世界。

   まあ、そういう人ばかりではないだろうと大人げない自分を反省し、気を取り直して、懲りずにコツコツやっていた甲斐があったという女性に巡り会えた時には心底うれしかった。

   彼女は、カメラが趣味らしくプロフィールのトプ画には意表を突くモノクロの写真で、結構目立っていた。黒髪ロングが似合う知的でマジに美しい女性だったから、迂闊にも俺は、一目惚れしてしまった。

   他の画像もセピア色系の写真が多かったが、レトロモダンな雰囲気が好きだということらしかった。なかでも圧巻だったのは、ヘルメットを被った彼女が大勢の学生たちと一緒に角材をもち、機動隊員らと小競り合いをしてる一枚で、背景には安田講堂らしき建物が見切れていた。

   たしかに彼女が気高く凛として美しかったの事実だ。しかし、それは1960年代当時の話。つまり、安田講堂事件のあった1969年頃に、二十歳くらいだから現在はアラセブン、70歳超えている。

   というわけで、今夜も俺は侘しくひとりHを極めて寝ます。