パサディナ空港で

＃３３ スキという気持ちを大切に♡

＊月＊日

    コンビニに行こうと思って部屋を出た。人に話しかけられることなど久しくないがエレベーターを待っている際に声を掛けられた。

    若い女性だった。だが何をいっているのかさっぱりわからない。会釈だけしてエレベーターに一緒に乗り込んだ。

    愛想笑いしながら誰なのか懸命に思い出そうと努めたが、やっぱりわからない。彼女はずっと話しかけてくる。

    若年性アルツハイマー発症？   もしやと思い自問自答する。誕生日はわかる。年齢もわかる。住所もわかる。もちろん名前もいえる。

    エレベーターが1Fに到着しドアが開くや彼女は降りしな、悲しげな目をするとビンタを食らわし出ていった。

    痛い頰をさすりながらロビーに出たが、もしかしたら恋人だったのかなと思ったら、痛みもなにやら蠱惑的なものに変わっていった。