パサディナ空港で

トリヤマケイ

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#26ステープラー ホッチキスのある風景

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*月*日

 あの日から、おれはホッチキスの針を毎日一針ずつ飲むことにしている。
 あゆみの苦しみを思えば、こんなことは何でもない。
 首を絞めながらのほにゃにゃららが、たまらなく好きだった。
 そんなおれの嗜好をあいつは何にも言わずに許してくれた。
 あゆみの苦しみもがく顔を、おれはほんとうに美しいと思った。
 でも、あゆみは浮気したんだ。
 たった一度でも浮気は浮気。
 だから、おれはもう浮気ができないようにしてやった。
 首を絞めながら最後のほにゃにゃららをしてあげながら、どうしてやろうかと思っていたら、ちょうどそのときステープラーが目に入った。
 ホッチキス。
 これだと思った。
 思いっきり中出ししたほにゃにゃららから、どろりとスペルマが垂れてくるのを待ち構えてラビアを引っ張るとバチバチとホッチキスでとめていった。
 塞がったびらびらの端から、血と混ざったスペルマが糸を引くように垂れ落ちていく。
 正気ならば、とても我慢できないだろう。
 あゆみは、とうに気絶していた。
 この頃は、首をきつく絞めすぎて気絶する時間がじょじょに延びていた。
 こちらに戻ってこなければ、殺人だ。
 そう思った。
 そう思ったけど、もうどうでもいいじゃんとも思った。
 あゆみの美しい顔と塞がってしまったほにゃにゃらららを見比べた。
 こんな綺麗な顔をしているのに、なんていやらしいほにゃらららしてるんだろう。
 いつもそう思ってた。
 あいつのほにゃらららが憎かった。
 いや、世の中のすべてのほにゃらららが憎かった。
 なんていやらしいんだろう。
 清楚で美しいフランス人形みたいな顔をしているのに、なんていやらしいんだろう。
 蚊も殺さないような優しい顔してるのに、ほにゃらららはなんていやらしんだろう。
 ていうか、塞がったほにゃらららは、やっぱりほにゃらららじゃなかった。
 ちゃんとしたほにゃらららをもう一度見たかった。
 震える指先で、ホッチキスの針をひとつひとつ取っていく。
 視点もなかなか定まらない。
 急にズームしたり、ぼけぼけになったり。
 やっと針を外し終えるや否や、愛液と血液とスペルマでぐちゃぐちゃのほにゃらららにかぶりついていった。
 これだ。
 これでなくっちゃいけない。
 べろんべろんに舐め回し、陰毛を歯で引きちぎって飲み込んだ。
 もう、おれのは助さん格さんだった。
 また、ぶち込んだ。
 アナスターシャが寂しそうだったので、交互にぶち込んだ。
 サイコーだった。
 ん? サイコだった、かな?
 

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