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川崎市夜光編
海を割る
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と、そこでオレは意識を取り戻した。
カメラを抱きかかえるようにして、金網のフェンスを背にしゃがみこんでいた。
気を失ったのは、炎天下に帽子も被らず歩きつづけたせいだろうか、早くも二の腕から手の甲にかけて赤く日焼けしているし、やはりこの陽射しにやられたのだと思ったが、とにもかくにも喉がカラカラだった。
一眼レフのストラップを首に掛け(二眼レフの方は左肩に掛けたままだった)、よいしょと手をついて起き上がると、再び歩き出す。
風がそよりとも吹かない。肌着は汗でぐっしょりと湿り、かさばって重たい感じがする。玉のようにしたたり落ちる汗を掌で拭いながら、引きずるように歩を進めていると、ありがたいことにガソリンスタンドの看板が見えた。
もしかしたら、ジュースの自販機があるのではないかと、足早になる。すると、案の定GSの手前にL字型に7、8台の自販機が並んでいた。右ポケットから財布を取り出すと、ハラリと紙片が足元に落ちた。領収書の類だろうと拾い上げてみると、そこにはやけに丸っこい文字が並んでいた。
『千鳥公園で待つ』
千鳥公園?何だろう、これは。ポケットのなかにいつ紛れ込んだんだろうか――そう思った途端、ぱっとこれまでの出来事が鮮明に蘇り脳裏を駆け巡った。
ああ、思い出した、そうか全ては夢だったのか。何か安心したと同時に一抹の寂しさみたいな感慨もあり、気が抜けたような感じで脱力感を覚えたが、すぐさまいや待てよ、と思い直した。
それでは、この紙片をどう説明すればいいのか。まさか降って湧いた筈でもないのだから、意識を失っていたときに何者かがポケットに突っ込んだと考えるのが一番妥当だろうけれど――だが、そうなると、なんの目的で? 今度はその真意がわからないという新たな問題に逢着し、そう考えるよりも、やはりあれは、みんな現実の出来事だったのではないか、と考える方がいちばん楽で辻褄が合うような気もした。
そして更に、むろんあの出来事は、すべて夢のなかでの出来事に違いないだろうけれど、夢のつづきが現実に引き継がれていると考えてもいいのではないかと思った。
つまり、このメッセージこそ夢のなかで追い求めていた彼女のメッセージなのではないか、ということなのだ。
そう考えると辻褄が合うし、理屈を超えたところで、呼応する恋する者同士による直感が、そう告げるのだ――なんていう風に考えたかったけれど、それは、まったくご都合主義もいいところであって、論理の整合性に欠けてはいるのだが、しかし、こうしている今も、もしかしたなら夢のつづきなのかもしれないとしたならば、すべては納得がゆくことに気がついた。
そうか、まだ夢のつづきなのか。そう思ったら、何か気が楽になった。それならばそれで、いっそのこと大いにこの夢を愉しんでやれと思い、ともかくメッセージが告げるその千鳥公園とやらに行こうと思った。
天然水を使っているという清涼飲料水をがぶ飲みし、更に進んでゆくとすぐに『浮島釣り公園』という板の切れっぱしをただ打ち付けたような看板を見つけた。
左に矢印が向いている。ここまでずっと道なりに直進して来たが、はじめて左に折れるわけだ。
するとそこは、別世界なのだった。
京浜島のつばさ公園を思い出す。空気の浄化の為にも水辺付近には緑を配置するということなのだろうか。
芝生があって、松が生い茂り、東屋があってというちょっとした箱庭を想わせる景観。左奥の小高い丘の上には、なにやらモダンな全面鏡張りのスクエアな建物があり、鏡の壁面に映りこむ青空と積乱雲に見入っていると、轟音と共にジェット機が建物の背後から不意に顔を覗かせるや、一気に飛び去ってゆく。
機影を追いながら右に身体を向けると、コンクリートの護岸があり、そこには釣り糸を垂れる老若男女がたむろしていた。
この近辺に人家などないだろうに、いったいどこからやって来たのだろう、驚くほどの人数だ。
まあ、だからこそこの公園は浮島釣り公園なのかと、妙に納得しつつ道を訊ねる人物を物色する。
まだ喉が乾いていた。するすると焼きそばの屋台に接近していく。屋台の横には缶ジュースをつけ込んだ氷水の容器があり、コーヒーをおばちゃんに頼みながら、千鳥公園について訊いてみた。
「ああ、ここからじゃ、ちょっと遠いよ。ぐるっとまわった千鳥町の公園だからね」
おばちゃんは、缶コーヒーを僕に手渡しながら、そのぐるっとを指でなぞってみせた。
「えっ、てことは、小島新田に戻らなくっちゃだめですか」
「そういうことになるね。ここから運河を渡ればすぐなんだけど」
やっとの思いでここまでたどり着けたというのに、またふりだしにもどらなければならないとは。
オレは思い出したように額の汗を拳で拭った。するとおばちゃんは、そうそう、地図があったっけ。そう言うと、ポケット版の地図が魔法のようにどこからか現れ、「よかったら持ってけば、お客さんの忘れ物だけど」そして親切なことにバス停も教えてくれた。
「ほら、あそこ」
おばちゃんの指差したその方向に視線を遣ると、道路のずっと先の方でバス停の白いプレートがゆらゆらと陽炎に揺らめいているのが見えた。
いすずの工場をすぎた辺りで下車し、そこからまた歩いて行こうと決める。
やがてやって来たバスに乗り、冷房の効いた車内から走り去る工場を眺めながら、僕は不思議な感覚にとらわれていた。まったく身の危険を感じないのである。
おのぼりさんとでもいおうか、完壁な観光客気分の自分をそこに発見し我ながら驚いた。さっきまでひしひしと感じられていた訳のわからぬ恐怖は、影もかたちもない。
たったひとりの乗客を乗せたバスは、前を走るトラックに負けじとぐんぐんスピードをあげてゆく。
その心地好い揺れに身を任せながら走り去ってゆく景色を眺めている内に、何か急に眠くなって来た。またぞろ夢の中へと引き込まれていってしまいそうだ。
と、そこでうまい具合にバスが急停車して、目が醒めた。何事かと外を眺めてみると、そこは運河の上なのである。橋の上というわけではない。バス自体が浮いているのだ。
バスは、スローモーションで音もなく滑るように運河の上を走ってゆく。まるでモーゼの奇跡を想わせるようにバスの両側に高々と波の幕をはね上げながら。
何か夢を見ているような、そんな光景を目の当たりにして、つまらんイメージだなあと思う。夢だとしたら出来損ないの夢だな、こんなの。ていうか、貧相な想像力にあきれて涙しそうなほどだ。
明らかにモーゼが紅海を割ったというエピソードを下敷きにしただけのイメージじゃないの。そして、それを隠そうともしない。
愚鈍だ。彼の天才アラーキーでさえも、先人からの影響をひたかくしに隠してるというのに、臆面もなくというか、これだけはっきりと赤裸々に露呈されると逆に大物かなと思えてもくる。
やがてバスは、頭上にかかるアーチ状の橋をかいくぐると、信号につかまり、アイドリングさせながら青に変わるのを待っていたが、いざ青になると滑り出しはせずに今度はゆっくりと回転しはじめたのだが、バス自体がまわっているのか、周りがまわっているのか、そんなことを考える余裕すら与えないほどの猛烈な勢いで回転しつづけ、終いには、スピンしながら空高く舞い上がったのだった。
その図を俯瞰するように思い浮かべ、まるでガメラみたいだなあ、などとのんびり構えていられたのもそこまで。後は吐く物がなくなってヌラにかわるまで吐きつづけたとゆうわけだ。
カメラを抱きかかえるようにして、金網のフェンスを背にしゃがみこんでいた。
気を失ったのは、炎天下に帽子も被らず歩きつづけたせいだろうか、早くも二の腕から手の甲にかけて赤く日焼けしているし、やはりこの陽射しにやられたのだと思ったが、とにもかくにも喉がカラカラだった。
一眼レフのストラップを首に掛け(二眼レフの方は左肩に掛けたままだった)、よいしょと手をついて起き上がると、再び歩き出す。
風がそよりとも吹かない。肌着は汗でぐっしょりと湿り、かさばって重たい感じがする。玉のようにしたたり落ちる汗を掌で拭いながら、引きずるように歩を進めていると、ありがたいことにガソリンスタンドの看板が見えた。
もしかしたら、ジュースの自販機があるのではないかと、足早になる。すると、案の定GSの手前にL字型に7、8台の自販機が並んでいた。右ポケットから財布を取り出すと、ハラリと紙片が足元に落ちた。領収書の類だろうと拾い上げてみると、そこにはやけに丸っこい文字が並んでいた。
『千鳥公園で待つ』
千鳥公園?何だろう、これは。ポケットのなかにいつ紛れ込んだんだろうか――そう思った途端、ぱっとこれまでの出来事が鮮明に蘇り脳裏を駆け巡った。
ああ、思い出した、そうか全ては夢だったのか。何か安心したと同時に一抹の寂しさみたいな感慨もあり、気が抜けたような感じで脱力感を覚えたが、すぐさまいや待てよ、と思い直した。
それでは、この紙片をどう説明すればいいのか。まさか降って湧いた筈でもないのだから、意識を失っていたときに何者かがポケットに突っ込んだと考えるのが一番妥当だろうけれど――だが、そうなると、なんの目的で? 今度はその真意がわからないという新たな問題に逢着し、そう考えるよりも、やはりあれは、みんな現実の出来事だったのではないか、と考える方がいちばん楽で辻褄が合うような気もした。
そして更に、むろんあの出来事は、すべて夢のなかでの出来事に違いないだろうけれど、夢のつづきが現実に引き継がれていると考えてもいいのではないかと思った。
つまり、このメッセージこそ夢のなかで追い求めていた彼女のメッセージなのではないか、ということなのだ。
そう考えると辻褄が合うし、理屈を超えたところで、呼応する恋する者同士による直感が、そう告げるのだ――なんていう風に考えたかったけれど、それは、まったくご都合主義もいいところであって、論理の整合性に欠けてはいるのだが、しかし、こうしている今も、もしかしたなら夢のつづきなのかもしれないとしたならば、すべては納得がゆくことに気がついた。
そうか、まだ夢のつづきなのか。そう思ったら、何か気が楽になった。それならばそれで、いっそのこと大いにこの夢を愉しんでやれと思い、ともかくメッセージが告げるその千鳥公園とやらに行こうと思った。
天然水を使っているという清涼飲料水をがぶ飲みし、更に進んでゆくとすぐに『浮島釣り公園』という板の切れっぱしをただ打ち付けたような看板を見つけた。
左に矢印が向いている。ここまでずっと道なりに直進して来たが、はじめて左に折れるわけだ。
するとそこは、別世界なのだった。
京浜島のつばさ公園を思い出す。空気の浄化の為にも水辺付近には緑を配置するということなのだろうか。
芝生があって、松が生い茂り、東屋があってというちょっとした箱庭を想わせる景観。左奥の小高い丘の上には、なにやらモダンな全面鏡張りのスクエアな建物があり、鏡の壁面に映りこむ青空と積乱雲に見入っていると、轟音と共にジェット機が建物の背後から不意に顔を覗かせるや、一気に飛び去ってゆく。
機影を追いながら右に身体を向けると、コンクリートの護岸があり、そこには釣り糸を垂れる老若男女がたむろしていた。
この近辺に人家などないだろうに、いったいどこからやって来たのだろう、驚くほどの人数だ。
まあ、だからこそこの公園は浮島釣り公園なのかと、妙に納得しつつ道を訊ねる人物を物色する。
まだ喉が乾いていた。するすると焼きそばの屋台に接近していく。屋台の横には缶ジュースをつけ込んだ氷水の容器があり、コーヒーをおばちゃんに頼みながら、千鳥公園について訊いてみた。
「ああ、ここからじゃ、ちょっと遠いよ。ぐるっとまわった千鳥町の公園だからね」
おばちゃんは、缶コーヒーを僕に手渡しながら、そのぐるっとを指でなぞってみせた。
「えっ、てことは、小島新田に戻らなくっちゃだめですか」
「そういうことになるね。ここから運河を渡ればすぐなんだけど」
やっとの思いでここまでたどり着けたというのに、またふりだしにもどらなければならないとは。
オレは思い出したように額の汗を拳で拭った。するとおばちゃんは、そうそう、地図があったっけ。そう言うと、ポケット版の地図が魔法のようにどこからか現れ、「よかったら持ってけば、お客さんの忘れ物だけど」そして親切なことにバス停も教えてくれた。
「ほら、あそこ」
おばちゃんの指差したその方向に視線を遣ると、道路のずっと先の方でバス停の白いプレートがゆらゆらと陽炎に揺らめいているのが見えた。
いすずの工場をすぎた辺りで下車し、そこからまた歩いて行こうと決める。
やがてやって来たバスに乗り、冷房の効いた車内から走り去る工場を眺めながら、僕は不思議な感覚にとらわれていた。まったく身の危険を感じないのである。
おのぼりさんとでもいおうか、完壁な観光客気分の自分をそこに発見し我ながら驚いた。さっきまでひしひしと感じられていた訳のわからぬ恐怖は、影もかたちもない。
たったひとりの乗客を乗せたバスは、前を走るトラックに負けじとぐんぐんスピードをあげてゆく。
その心地好い揺れに身を任せながら走り去ってゆく景色を眺めている内に、何か急に眠くなって来た。またぞろ夢の中へと引き込まれていってしまいそうだ。
と、そこでうまい具合にバスが急停車して、目が醒めた。何事かと外を眺めてみると、そこは運河の上なのである。橋の上というわけではない。バス自体が浮いているのだ。
バスは、スローモーションで音もなく滑るように運河の上を走ってゆく。まるでモーゼの奇跡を想わせるようにバスの両側に高々と波の幕をはね上げながら。
何か夢を見ているような、そんな光景を目の当たりにして、つまらんイメージだなあと思う。夢だとしたら出来損ないの夢だな、こんなの。ていうか、貧相な想像力にあきれて涙しそうなほどだ。
明らかにモーゼが紅海を割ったというエピソードを下敷きにしただけのイメージじゃないの。そして、それを隠そうともしない。
愚鈍だ。彼の天才アラーキーでさえも、先人からの影響をひたかくしに隠してるというのに、臆面もなくというか、これだけはっきりと赤裸々に露呈されると逆に大物かなと思えてもくる。
やがてバスは、頭上にかかるアーチ状の橋をかいくぐると、信号につかまり、アイドリングさせながら青に変わるのを待っていたが、いざ青になると滑り出しはせずに今度はゆっくりと回転しはじめたのだが、バス自体がまわっているのか、周りがまわっているのか、そんなことを考える余裕すら与えないほどの猛烈な勢いで回転しつづけ、終いには、スピンしながら空高く舞い上がったのだった。
その図を俯瞰するように思い浮かべ、まるでガメラみたいだなあ、などとのんびり構えていられたのもそこまで。後は吐く物がなくなってヌラにかわるまで吐きつづけたとゆうわけだ。
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