19 / 82
リアルからの離脱
マイムマイムマイムで椅子取りゲーム
しおりを挟む
いきなり、幽体離脱やら体外離脱ありきで書いているけれど、ヒトの脳には幽体離脱できる神経回路がはじめから備わっているようなのだ。その脳の部位は、右脳の角回というところらしい。
アスリート、殊に試合の全体的な流れを把握することが非常に重要であるサッカー選手などに、俯瞰的視野を持つ人がいるのは結構知られていることだと思う。上からのいわゆる俯瞰だけではなく、例えば視野の隅っこに見えた観客の服装なんかも識別していたりするのだ。
あるいは、ボクサーの優れた動体視力、体操選手などのゾーンに入る等なども、自分のプレイを客観視出来ている、つまり、もうひとりの自分が少し離れたところから俯瞰しながら統御している感じなのだと思うわけで、野球でバッターが調子がいい時にはボールが止まって見える、というのももうひとりの自分の、視野での感覚なのだとタロウは考えている。
なので、ふつうに幽体離脱などいうとスピリチュアルかよ、オカルトかよと思われるのがオチかもしれないが、まったくそんなことはない。
なんとなれば、他人から自分はどう見えているのか、自分を他人の視線に置き換えて眺めてみる、つまり、自分を客観視できるか否かは、社会人としてとても重要なスキルだからだ。
自分がどう見えているか、どう思われているか、そういった配慮がそもそも欠落している人は、現代にも結構な数いるようであり、そういう人たちはモンスターと呼ばれている人種なのだけれど、客観的に自己を顧みれない社会性のない人間なので、人外、つまりモンスターというわけらしい。
たしかにタロウの周りにも、自分の考えが絶対であり、それを押し通すためには、周囲の人に迷惑がかかろうが、どう思われようがまったく意に介さないという人物がいたが、そういう人は脳にある種の障害があるとみていいと思う。
つまり、自分を他人の視点で見ることができる神経回路が故障しているか、はなから欠落していると思うからだ。なので、幽体離脱や体外離脱という字面から受ける印象は、アニメやホラーの話くらいにしか思われないかもしれないが、人が社会性を身につけるためには必要不可欠なものだとタロウは思うのだ。
また、その能力は才能あるアスリートのみに顕著に現われているわけでもなく、女性が鏡を見るという行為は、即ち他人の視線で自らをチェックしている、まさにそれだろう。
なので、常に身だしなみに気を配っている女性は、自分を客観視する能力に長けているのではないだろうか。
女性は髪や装いを気にして、その都度鏡を通してどのように見えるか、綺麗か否かを入念に確認するのが当たり前だけれども、あれだけコンパクトやらスマホをミラーにしてチェックしていると、ある程度鏡がなくてもわかるようになるはずであり、それは、他人の目で自分を客観視する能力そのものだといえる。
いずれにせよ、三次元の外に出るから俯瞰が可能になるのだけれど、三次元から四次元、五次元という高次の存在は見えないわけで、見えないから存在していないというのはあまりにも無知極まりない。
自分を顧み社会性を獲得するためのスキル。という話に強引にもっていったが、タロウの場合、幽体離脱というよりか分身みたいな感じではないかと思っているのだった。
以前、タロウが寝しなにシャックリするみたいな感じで体外へと飛び出していった、別キャラといえばいいのか、分身といえばいいのかわからないが、それらの数を数えたことがあったけれど、それは10を超えていた。 10を超えたあたりで寝入ってしまったので、まだまだ居たのかもしれない。
そんなこんなで、タロウはそういうことが常態となっているので、他の人もそうなのだろうと思って、別段気にもとめていなかった。
◇
関東は、いっとき低気圧に覆われて一気に気温が下がり、凌ぎやすくなったのだが、さすがにそのまま秋にはならなかった。あたりまえな話だけれど、また暑さは一気にぶり返した。
タロウは、夜中過ぎに24時間テレビを見るともなしに見ながら、いったい自分はどこに向かっているのだろうと思った。
九州ではまだまだ長雨が続いているらしい。災害に遭われている方に対して不謹慎ではあるけれど、人生には土砂降りの雨に敢えて打たれたいという時もあるだろう。
未来は誰にも見えないようになっているけれど、だからこそ頑張れるということはある。
テレビでは椅子取りゲームをやりはじめた。音楽は、懐かしい『マイムマイム』だった。
タロウは、中学生の時の林間学校で、キャンプファイヤーの際に、『オクラホマミキサー』や『マイム』を踊ったことを思い出した。
あの中学生の時までが、タロウにとってほんとうに楽しい時間だったのかもしれない。でもそれは、なんの責任も負っていない子どもだったからであり、何も考えずに無邪気でいられたからだ。
タロウは、『マイムマイム』のメロディを口ずさみながら踊りはじめた。
♪マイム マイム マイム~マイム マイム マイム~
アスリート、殊に試合の全体的な流れを把握することが非常に重要であるサッカー選手などに、俯瞰的視野を持つ人がいるのは結構知られていることだと思う。上からのいわゆる俯瞰だけではなく、例えば視野の隅っこに見えた観客の服装なんかも識別していたりするのだ。
あるいは、ボクサーの優れた動体視力、体操選手などのゾーンに入る等なども、自分のプレイを客観視出来ている、つまり、もうひとりの自分が少し離れたところから俯瞰しながら統御している感じなのだと思うわけで、野球でバッターが調子がいい時にはボールが止まって見える、というのももうひとりの自分の、視野での感覚なのだとタロウは考えている。
なので、ふつうに幽体離脱などいうとスピリチュアルかよ、オカルトかよと思われるのがオチかもしれないが、まったくそんなことはない。
なんとなれば、他人から自分はどう見えているのか、自分を他人の視線に置き換えて眺めてみる、つまり、自分を客観視できるか否かは、社会人としてとても重要なスキルだからだ。
自分がどう見えているか、どう思われているか、そういった配慮がそもそも欠落している人は、現代にも結構な数いるようであり、そういう人たちはモンスターと呼ばれている人種なのだけれど、客観的に自己を顧みれない社会性のない人間なので、人外、つまりモンスターというわけらしい。
たしかにタロウの周りにも、自分の考えが絶対であり、それを押し通すためには、周囲の人に迷惑がかかろうが、どう思われようがまったく意に介さないという人物がいたが、そういう人は脳にある種の障害があるとみていいと思う。
つまり、自分を他人の視点で見ることができる神経回路が故障しているか、はなから欠落していると思うからだ。なので、幽体離脱や体外離脱という字面から受ける印象は、アニメやホラーの話くらいにしか思われないかもしれないが、人が社会性を身につけるためには必要不可欠なものだとタロウは思うのだ。
また、その能力は才能あるアスリートのみに顕著に現われているわけでもなく、女性が鏡を見るという行為は、即ち他人の視線で自らをチェックしている、まさにそれだろう。
なので、常に身だしなみに気を配っている女性は、自分を客観視する能力に長けているのではないだろうか。
女性は髪や装いを気にして、その都度鏡を通してどのように見えるか、綺麗か否かを入念に確認するのが当たり前だけれども、あれだけコンパクトやらスマホをミラーにしてチェックしていると、ある程度鏡がなくてもわかるようになるはずであり、それは、他人の目で自分を客観視する能力そのものだといえる。
いずれにせよ、三次元の外に出るから俯瞰が可能になるのだけれど、三次元から四次元、五次元という高次の存在は見えないわけで、見えないから存在していないというのはあまりにも無知極まりない。
自分を顧み社会性を獲得するためのスキル。という話に強引にもっていったが、タロウの場合、幽体離脱というよりか分身みたいな感じではないかと思っているのだった。
以前、タロウが寝しなにシャックリするみたいな感じで体外へと飛び出していった、別キャラといえばいいのか、分身といえばいいのかわからないが、それらの数を数えたことがあったけれど、それは10を超えていた。 10を超えたあたりで寝入ってしまったので、まだまだ居たのかもしれない。
そんなこんなで、タロウはそういうことが常態となっているので、他の人もそうなのだろうと思って、別段気にもとめていなかった。
◇
関東は、いっとき低気圧に覆われて一気に気温が下がり、凌ぎやすくなったのだが、さすがにそのまま秋にはならなかった。あたりまえな話だけれど、また暑さは一気にぶり返した。
タロウは、夜中過ぎに24時間テレビを見るともなしに見ながら、いったい自分はどこに向かっているのだろうと思った。
九州ではまだまだ長雨が続いているらしい。災害に遭われている方に対して不謹慎ではあるけれど、人生には土砂降りの雨に敢えて打たれたいという時もあるだろう。
未来は誰にも見えないようになっているけれど、だからこそ頑張れるということはある。
テレビでは椅子取りゲームをやりはじめた。音楽は、懐かしい『マイムマイム』だった。
タロウは、中学生の時の林間学校で、キャンプファイヤーの際に、『オクラホマミキサー』や『マイム』を踊ったことを思い出した。
あの中学生の時までが、タロウにとってほんとうに楽しい時間だったのかもしれない。でもそれは、なんの責任も負っていない子どもだったからであり、何も考えずに無邪気でいられたからだ。
タロウは、『マイムマイム』のメロディを口ずさみながら踊りはじめた。
♪マイム マイム マイム~マイム マイム マイム~
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる